1.マレー海戦日本軍勝利の原因とは
ところが日本軍は、自分たちの成功要因(海戦を制する“目標指標”は「空母機動部隊」に移行したこと)を正しく認識することなく、最後まで巨砲戦艦主義から脱することが出来ませんでした。これは日露戦争の日本海海戦など過去の成功体験にとらわれて、航空機の進歩によって戦闘の“目的指標”が変ったことに対応できなかったからです。ダーウィンは「生き残るのは環境の変化に対して変り続ける種だ」といったと伝えられます。かつて栄光に輝いた企業が突如衰退の一路をたどるのは、変ることが出来ないからと言えるでしょう。
(妹尾賢一郎著「技術力で勝てる日本がなぜ事業で負けるのか」から)
2.ゼロ戦の強さと連合国の対抗策
ではそれに対して敵はどんな対応を取ってきたでしょうか。操縦性では勝てる見込みがないので、「ゼロ戦」の操縦性を無効にする手を考えたのです。それは、「ゼロ戦」1機に対し2機で戦って、「ゼロ戦」が1機の背後に廻った時、もう1機が「ゼロ戦」”の横あるいは背後を突くという戦法でした。そして、この戦法を確実に実行するため、“2倍の数の戦闘機投入”を“目的指標”にしてきたのです。
3.重要なのは正しい目的指標の設定
戦闘をビジネスに置き換えると、戦場→市場、敵→相手(競合)企業となり、上記を要約すると以下のような3つのステップになります。
- ステップ1.市場の勝敗を支配している「既存の指標」を見つける
- ステップ2.競合企業が使っている「既存の指標」が役に立たない方策を見つける
- ステップ3.新たに見つけた方策を「目的指標」にして戦う体制を整える
(鈴木博毅著 「「超」入門 失敗の本質」より)
いつも強調しているように、イノベーションは「利益を上げ、社会に貢献する」体質を創ることです。そのために筆者は、以下の...
- 既存の何もの(知識、経験、地位、栄光など)にも捉われず、
- 世界的な視野で情報を集め、
- 既存のビジネスがどんな“目的指標”で運営されていて、
- それが将来どのような姿になるか、想定外も想定して自由な発想で考察し、
- ビジネスが永続的に発展するようなイノベーションを実現するための“目的指標”を見つけ、
- それを具現化する。