生産管理とコストダウン (その2)

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 inf783生産管理システムとコストダウンについて、3回に分けて解説しています。第1回は、生産管理について整理しました。第2回は、生産管理ソフトについてです。
 

1.生産管理ソフトの効果

生産管理ソフトが十分に機能している工場では、以下の3つの効果・成果を上げることができます。
 
 (1)生産性の向上
 
 生産管理の業務は、一般に生産活動の準備を推し進める生産計画と生産計画通りの実現を図る生産統制の2つに分けて考えることができます。生産活動が、生産計画通りに進めることができたならば、生産性を高めることができます。
 
(2)在庫数量の削減
 
 生産活動が、生産計画通りに進めることができるならば、計画の遅れや変更を考慮に入れた在庫を保持しておく必要はありません。したがって、余分な在庫を持つ必要が無く、在庫の削減を図ることができます。
 
(3)顧客サービスの向上
 
 生産計画通りに製品を作ることができるということは、納期通りに製品が出荷できることでもあります。つまり、顧客は、納期回答のあった日時に製品を受け取ることができるわけです。この結果、顧客からの信頼を得ることができ、顧客サービスに結びつくわけです。
 

2.生産管理ソフトは役立つか

 つぎに、生産管理ソフトを導入した生産管理システムは、有効に活用されているでしょうか。生産管理ソフトを導入した企業の経営幹部の方々は、そのソフトから期待した成果を得られていると思っているでしょうか。訪問した企業の幹部の方々から、多額の投資をして生産管理ソフトを導入したのに効果的な運用ができていないという意見を聞きます。
 
 それは、生産管理ソフトを導入することによって、前述した生産性の向上、在庫の削減、顧客サービスの向上を達成につながる課題の解決を期待したからでしょう。その原因を考えますと、以下に掲げる項目が考えられるのではないでしょうか。
 
(1)経営幹部の方々が生産管理ソフトを導入すれば納期や品質などの課題が解消できると考えている。
 
(2)生産管理ソフト導入のプロジェクトリーダーが、生産管理業務への理解よりも、生産管理ソフトに
   合わせようとして、業務の効率化や課題解決を無視してしまっている。
 
(3)生産管理ソフトを導入する際の教育が不十分で、ソフトを提供する企業が、導入する企業の特徴に
   適応させる提案できない。
 
(4)生産管理に必要な情報の整備ができておらず、その情報の精度(正確さ)も確保できていない。
 
(5)自社の生産管理は特殊であると、生産管理ソフトは合わないと決めつけてしまって、どのソフトを
   導入しても無理と諦めている。
 
 まず、生産管理ソフトを導入すれば、課題が解決するという神話は無いということを知っておいてください。ソフト会社からは、多くの課題が解決できるような提案をしてくることがあります。しかし、ソフトはあくまで道具でしかないです。
 
 生産管理の業務のあり方について、十分な理解と漏れのないしくみ作りが必要です。生産管理ソフトは、そのための道具でしかありません。また、自社は特殊であるといっていたら、10社あれば10社ともに特殊であるということになります。でも、そ...
 inf783生産管理システムとコストダウンについて、3回に分けて解説しています。第1回は、生産管理について整理しました。第2回は、生産管理ソフトについてです。
 

1.生産管理ソフトの効果

生産管理ソフトが十分に機能している工場では、以下の3つの効果・成果を上げることができます。
 
 (1)生産性の向上
 
 生産管理の業務は、一般に生産活動の準備を推し進める生産計画と生産計画通りの実現を図る生産統制の2つに分けて考えることができます。生産活動が、生産計画通りに進めることができたならば、生産性を高めることができます。
 
(2)在庫数量の削減
 
 生産活動が、生産計画通りに進めることができるならば、計画の遅れや変更を考慮に入れた在庫を保持しておく必要はありません。したがって、余分な在庫を持つ必要が無く、在庫の削減を図ることができます。
 
(3)顧客サービスの向上
 
 生産計画通りに製品を作ることができるということは、納期通りに製品が出荷できることでもあります。つまり、顧客は、納期回答のあった日時に製品を受け取ることができるわけです。この結果、顧客からの信頼を得ることができ、顧客サービスに結びつくわけです。
 

2.生産管理ソフトは役立つか

 つぎに、生産管理ソフトを導入した生産管理システムは、有効に活用されているでしょうか。生産管理ソフトを導入した企業の経営幹部の方々は、そのソフトから期待した成果を得られていると思っているでしょうか。訪問した企業の幹部の方々から、多額の投資をして生産管理ソフトを導入したのに効果的な運用ができていないという意見を聞きます。
 
 それは、生産管理ソフトを導入することによって、前述した生産性の向上、在庫の削減、顧客サービスの向上を達成につながる課題の解決を期待したからでしょう。その原因を考えますと、以下に掲げる項目が考えられるのではないでしょうか。
 
(1)経営幹部の方々が生産管理ソフトを導入すれば納期や品質などの課題が解消できると考えている。
 
(2)生産管理ソフト導入のプロジェクトリーダーが、生産管理業務への理解よりも、生産管理ソフトに
   合わせようとして、業務の効率化や課題解決を無視してしまっている。
 
(3)生産管理ソフトを導入する際の教育が不十分で、ソフトを提供する企業が、導入する企業の特徴に
   適応させる提案できない。
 
(4)生産管理に必要な情報の整備ができておらず、その情報の精度(正確さ)も確保できていない。
 
(5)自社の生産管理は特殊であると、生産管理ソフトは合わないと決めつけてしまって、どのソフトを
   導入しても無理と諦めている。
 
 まず、生産管理ソフトを導入すれば、課題が解決するという神話は無いということを知っておいてください。ソフト会社からは、多くの課題が解決できるような提案をしてくることがあります。しかし、ソフトはあくまで道具でしかないです。
 
 生産管理の業務のあり方について、十分な理解と漏れのないしくみ作りが必要です。生産管理ソフトは、そのための道具でしかありません。また、自社は特殊であるといっていたら、10社あれば10社ともに特殊であるということになります。でも、それは、当然のことです。
 
 生産している製品は異なりますが、それらの製品を作るために必要な情報は、基本的に同じものです。それらの情報を活用し、必要なものを必要なときに、必要な数量、最小(適正な)のコストで調達・提供する。これが生産管理の役割です。
 
 生産管理の業務(システム)のあり方について、理解と整理をしておくことが必要であり、とくに、第1回の生産管理についての整理で述べました情報が一連の生産活動の流れに沿って、整備されている、整合性がとれていることです。そして、生産管理ソフトに過度の期待をかけるのではなく、生産管理業務を支援するツールとしての位置づけを忘れないようすることが肝要です。
 
 次回の第3回では、生産管理システムとコストダウンについての考察を行います。
 

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この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

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