「シナリオプランニング法」とは、実例、メリット・デメリットを紹介

 

1. 「シナリオプランニング法」とは

シナリオプランニング法とは、潜在的な要因を含めて可能性のある将来の環境についてシナリオを作成して、あらかじめ対応策を講じておく方法で、戦略策定などで使われます。 元は第2次世界大戦時に米軍が利用していたOR手法を補うために開発され、60年代にハーマン・カーンが発表して注目を浴び、企業や政府など広い分野で使われるようになりました。 予測を目的とするのではないため、あらゆる可能性を考える事に意味はなく、最もありそうなシナリオと対比させる2,3のシナリオについて対応を備えておくことで、それが現実化した際の決断と行動を早める効果があります。

 

2.  「シナリオプランニング法」の実例

  1. 企業の新製品開発
    企業が新製品を開発する際、異なる市場環境や競合状況を想定したシナリオを作成し、それぞれのシナリオに基づいて製品の機能や価格戦略を検討する。
  2. 地域の防災計画
    地域の防災計画を策定する際、地震や洪水、火災などの異なる災害シナリオを考え、それぞれに対する避難計画や資源の配分を検討する。
  3. 個人のキャリアプラン
    自分のキャリアを考えるとき、異なる職業や業界の変化を想定したシナリオを作成し、それに基づいて必要なスキルや資格を計画する。

これらの実例は、シナリオプランニング法がどのように日常生活やビジネスに役立つかを示しています。

 

3.  「シナリオプランニング法」のメリット

  • 不確実性への対応・・・未来の不確実性を考慮し、さまざまなシナリオを描くことでリスクを軽減できる。
  • 戦略的思考の促進・・・複数のシナリオを考えることで、戦略的な視点を持つことができ、柔軟な対応が可能になる。
  • 創造性の向上・・・異なるシナリオを考えることで、創造的なアイデアや解決策が生まれやすくなる。
  • 長期的視野の確保・・・短期的な視点だけでなく、長期的な影響を考慮することで、持続可能な戦略を立てやすくなる。
  • 意思決定の質向上・・・様々なシナリオを考慮することで、質の高い意思決定ができる。

 

4.  「シナリオプランニング法」のデメリット

  • 時間とリソースの消費・・・シナリオを作成するには多くの時間と労力が必要で、特に詳細な分析が求められる場合はさらに負担が大きくなります。
  • 不確実性の高い予測・・・シナリオプランニングは未来の不確実性を扱うため、予測が外れる可能性が高く、実際の結果と乖離することがあります。
  • 主観的なバイアス・・・シナリオ作成に関与する人々の主観やバイアスが影響を与え、客観的な分析が損なわれることがあります。
  • 実行可能性の低下・・・理論的なシナリオが多くても、実際の行動に移す際に実行可能性が低くなることがあります。
  • 変化への対応の遅れ・・・シナリオが固定化されると、急な環境変化に対する柔軟な対応が難しくなることがあります。

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