設備メンテナンスと生産について

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  生産マネジメント
 
 今回は、設備のメンテナンスと生産についての事例を解説します。コスト・法律遵守という相反する基本的な問題があるなかで、設備メンテナンス及び5S活動に人員と時間を裂く余裕がないという悩みをよく耳にします。設備の老朽劣化が著しいなかで老朽化にともなう不良の発生、生産を続ける必要最低限の定期的なメンテナンス、そのような状況で「まず生産」という強いながれはどこでも同じでしょうか。
 
 今後も直し直し現在の設備をつかうとした場合、生産量を若干セーブし生産に当てていた時間を少し削り定期的に「保守整備・5S」にあてるべきなのかを解説します。
 
 現状、生産優先または生産のみに集中しているところは多いことでしょう。ものづくりの会社では、必ずと言って良いほど設備を使っていますので、同じようなことで苦労されている中小企業も多々あります。
 
 次に私が昔ある半導体関係の現場の管理者から聞いた話を紹介します。
 
 「ある日A設備が停止してしまいました。長時間かけて原因を調べたところB部品が劣化、故障していました。その部品を交換しようとしましたが、社内に在庫がなかったのです。メーカーに部品を発注したところ、この部品は製造に時間がかかるので納期は2週間と言われました。従って、この設備を含むラインは2週間停止した。」という話でした。
 
 今時こんなことをしていると、その管理者は首になるか、配置換えされるのが普通です。その間製品が作れない、つまり機会損失です。
 
 私はセミナーや教育などでは、“生産設備や付帯設備の予防保全、延命化”をクリーン化の目的の一つとして紹介しています。それは、設備を何もせず、生産だけに専念してしまうと上記の例のような問題が起きる。しかし、定期的に巡回しクリーン化視点で設備を良く観察していくと、不具合が見つかる。すべての問題が発見されるわけではありませんが、発見の確率は向上します。
 
 例えば部品の摩耗、発塵、劣化など色々な観点で観察し、不具合が発見されたときは、即修理、対応する。ただし、その都度設備を停止できない場合は、その個所を拾い、また部品も用意しておき、次の保全計画に含めて一緒にやろうということです。
 
 何もしないで、設備停止の都度、その場凌ぎの対応をしているのでは、設備は頻繁に故障を繰り返します。そして故障が多すぎて、もう新しい設備に買い替えるということになってしまいます。メンテナンスメンバーの悲鳴や愚痴も出ます。
 
 ところがよく観察し、前記のように予防保全に努めると、故障が少なくなります。裏返すと設備の延命化に繋がるということです。設備の延命化が進むと減価償却が進むことになり、安く製品が作れ、儲けが増大します。ところが故障ばかりしていると、儲ける前に設備を買い替えるということになります。
 
 これが続くと自転車操業のようになっていくことも考えられます。その状態を回避する、或いは体質を切り替える必要があります。
 
 ここで必要なのは、人財育成です。
 
 メンテナンスはそれに精通したメンバーがやるとしても、その仕事を管理職、経営者が良く観察し、指導して下さい。“メンテナンス作業はどこからどこまでかを考えること、教えること”も大切です。設備が直った、動いただけで良いのでしょうか。
 
 その場凌ぎが繰り返されると、故障頻度も改善されません。メンテナンスメンバーも忙しい環境から解放されません。もしかするとその場凌ぎからまた設備が故障する。自分の仕事が増えてしまうと言った悪のスパイラルにはまっているのかも知れません。そして品質、生産に影響が出るかもしれません。設備を修理するだけでなく、品質、生産、安全のことも考えて対応してほしい。
 
 経営者や管理職の方は、修理記録や設備の状況を見て、MTBF(平均故障間隔)が短いとすれば故障が多い設備だと見ることが出来ます。すると生産は計画通りかということも気になりますし、異物などでやり直し手直しが必要となっても、これは生産計画には含まれていないはずです。
 
 やり直し、手直しが発生すると、そこで製品が停滞し、次工程には流動されず手空きが発生したり、挽回のための時間外労働をしなくてはならないかもしれません。納期遅延も発生し、お客様に迷惑をかけるかもしれません。
 
 人手不足の現状では、設備の巡回、観察や5Sについては、経営者、管理職の方が適時現場を見ることから始めても良いと思います。単にぐるぐる回るのではなく、故障の多い設備、5Sなど着目する項目を決め実施したいです。継続することで、着眼点や問題点が見えてくると思います。
 
 工場...
 
  生産マネジメント
 
 今回は、設備のメンテナンスと生産についての事例を解説します。コスト・法律遵守という相反する基本的な問題があるなかで、設備メンテナンス及び5S活動に人員と時間を裂く余裕がないという悩みをよく耳にします。設備の老朽劣化が著しいなかで老朽化にともなう不良の発生、生産を続ける必要最低限の定期的なメンテナンス、そのような状況で「まず生産」という強いながれはどこでも同じでしょうか。
 
 今後も直し直し現在の設備をつかうとした場合、生産量を若干セーブし生産に当てていた時間を少し削り定期的に「保守整備・5S」にあてるべきなのかを解説します。
 
 現状、生産優先または生産のみに集中しているところは多いことでしょう。ものづくりの会社では、必ずと言って良いほど設備を使っていますので、同じようなことで苦労されている中小企業も多々あります。
 
 次に私が昔ある半導体関係の現場の管理者から聞いた話を紹介します。
 
 「ある日A設備が停止してしまいました。長時間かけて原因を調べたところB部品が劣化、故障していました。その部品を交換しようとしましたが、社内に在庫がなかったのです。メーカーに部品を発注したところ、この部品は製造に時間がかかるので納期は2週間と言われました。従って、この設備を含むラインは2週間停止した。」という話でした。
 
 今時こんなことをしていると、その管理者は首になるか、配置換えされるのが普通です。その間製品が作れない、つまり機会損失です。
 
 私はセミナーや教育などでは、“生産設備や付帯設備の予防保全、延命化”をクリーン化の目的の一つとして紹介しています。それは、設備を何もせず、生産だけに専念してしまうと上記の例のような問題が起きる。しかし、定期的に巡回しクリーン化視点で設備を良く観察していくと、不具合が見つかる。すべての問題が発見されるわけではありませんが、発見の確率は向上します。
 
 例えば部品の摩耗、発塵、劣化など色々な観点で観察し、不具合が発見されたときは、即修理、対応する。ただし、その都度設備を停止できない場合は、その個所を拾い、また部品も用意しておき、次の保全計画に含めて一緒にやろうということです。
 
 何もしないで、設備停止の都度、その場凌ぎの対応をしているのでは、設備は頻繁に故障を繰り返します。そして故障が多すぎて、もう新しい設備に買い替えるということになってしまいます。メンテナンスメンバーの悲鳴や愚痴も出ます。
 
 ところがよく観察し、前記のように予防保全に努めると、故障が少なくなります。裏返すと設備の延命化に繋がるということです。設備の延命化が進むと減価償却が進むことになり、安く製品が作れ、儲けが増大します。ところが故障ばかりしていると、儲ける前に設備を買い替えるということになります。
 
 これが続くと自転車操業のようになっていくことも考えられます。その状態を回避する、或いは体質を切り替える必要があります。
 
 ここで必要なのは、人財育成です。
 
 メンテナンスはそれに精通したメンバーがやるとしても、その仕事を管理職、経営者が良く観察し、指導して下さい。“メンテナンス作業はどこからどこまでかを考えること、教えること”も大切です。設備が直った、動いただけで良いのでしょうか。
 
 その場凌ぎが繰り返されると、故障頻度も改善されません。メンテナンスメンバーも忙しい環境から解放されません。もしかするとその場凌ぎからまた設備が故障する。自分の仕事が増えてしまうと言った悪のスパイラルにはまっているのかも知れません。そして品質、生産に影響が出るかもしれません。設備を修理するだけでなく、品質、生産、安全のことも考えて対応してほしい。
 
 経営者や管理職の方は、修理記録や設備の状況を見て、MTBF(平均故障間隔)が短いとすれば故障が多い設備だと見ることが出来ます。すると生産は計画通りかということも気になりますし、異物などでやり直し手直しが必要となっても、これは生産計画には含まれていないはずです。
 
 やり直し、手直しが発生すると、そこで製品が停滞し、次工程には流動されず手空きが発生したり、挽回のための時間外労働をしなくてはならないかもしれません。納期遅延も発生し、お客様に迷惑をかけるかもしれません。
 
 人手不足の現状では、設備の巡回、観察や5Sについては、経営者、管理職の方が適時現場を見ることから始めても良いと思います。単にぐるぐる回るのではなく、故障の多い設備、5Sなど着目する項目を決め実施したいです。継続することで、着眼点や問題点が見えてくると思います。
 
 工場を巡回すると、作業者との会話もあると思います。それに終始してはいけませんが、情報のアンテナとして活用したい。設備の汚れが酷いとか、故障が多い設備には、作業者も愛着が持てないかもしれません。そして設備の扱いが荒くなる。故障が増えるという事例もありました。
 
 再度、整理しますと、
 
  1. 現場、設備を絞り込んで良く巡回することで、徐々に不具合が見つかる。これらを予防保全していく。 → 設備故障が減り、延命化ができる。このことは、経営者や管理職の方がまずやってみる。様々なものが見えて来ると思います。
  2. 不具合や異常を発見し、品質、生産、安全、利益貢献など幅広く見たり考えたりできる人を育てる。→ 多面的にものを見る人が増え、その人たちが設備の延命化や環境改善に貢献してくれる。そして、ものづくり基盤が強くなる。つまり悪いスパイラルを断ち切り、良いスパイラルに乗っていくということです。人は材料ではなく、財産として育てたい。必ずや貢献してくれると信じて育成しましょう。
 
・ ・ ・
 
 事例を紹介しながら、設備メンテナンスと生産について、あるべき姿を羅列しました。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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