品質管理 中国工場管理の基本事例(その18)

投稿日

中国

 

◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その8)

1. 中国工場の問題点を生産の3要素で捉える

 中国工場で生産するときにどの企業でも直面するのが品質問題です。日本で問題なく生産していたものでも、中国生産では同じ品質になりません。そこで「なぜ、中国工場の品質は悪いのか」について、生産の3要素(3M)を切り口として考えます。

 生産の3要素とは、次の3点のことです。

  • 人  (Man)
  • 機械 (Machine)
  • 材料 (Material)

 前回までは人(Man) について考えてきました。今回からは機械(Machine)と材料(Material)に関する要因について考えます。

 

(1)Machine(設備・機械)

 日本から中国に生産移管する企業と、次のような会話をしたことがある方もいるのではないでしょうか。

  • Q:「中国生産の品質は大丈夫ですか?」
  • A:「日本で使っていたのと同じ設備を入れるので心配いりません。日本で使っていた機械を持っていって生産するので大丈夫です」

 ところが実際に中国で生産を始めると、不良の大発生となってしまいます。一体なぜでしょうか。それは、設備・機械は同じでも、次のような問題点があるからです。

 

【オペレーションノウハウが落とし込めていない】

 日本と同じ設備を持っていっても同じ品質のものがつくれない。なぜこのようなことが起きるのか。それは次のような設備のオペレーションノウハウを持っていっていない、落し込めていないからです。 

 1)機械の微調整
 2)消耗品や摩耗品の管理が不十分
 3)メンテナンスをやっていない

 

【オペレーションノウハウとは何でしょうか?】

 1)機械の微調整

 機械で安定的に生産をするためには、微妙な調整が必要なことは多くあります。この微調整はカンとコツの世界で、いわゆる職人技や匠(たくみ)の世界がそこにあります。手順書には書かれていない暗黙知の部分が多くある訳です。

 

 ・機械の調整に関するノウハウが落とし込まれていないことで起きた日系金属加工メーカーの不良発生事例

 中国に生産を移管し、生産量を増やした時期から製品端面のキズ不良が発生するようになりました。

 端面は、Rを付けるように加工しています。そこにキズがあると顧客が使用したときにノイズが発生するなどの不良につながる可能性があるため、このキズは許容されませんでした。...

中国

 

◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その8)

1. 中国工場の問題点を生産の3要素で捉える

 中国工場で生産するときにどの企業でも直面するのが品質問題です。日本で問題なく生産していたものでも、中国生産では同じ品質になりません。そこで「なぜ、中国工場の品質は悪いのか」について、生産の3要素(3M)を切り口として考えます。

 生産の3要素とは、次の3点のことです。

  • 人  (Man)
  • 機械 (Machine)
  • 材料 (Material)

 前回までは人(Man) について考えてきました。今回からは機械(Machine)と材料(Material)に関する要因について考えます。

 

(1)Machine(設備・機械)

 日本から中国に生産移管する企業と、次のような会話をしたことがある方もいるのではないでしょうか。

  • Q:「中国生産の品質は大丈夫ですか?」
  • A:「日本で使っていたのと同じ設備を入れるので心配いりません。日本で使っていた機械を持っていって生産するので大丈夫です」

 ところが実際に中国で生産を始めると、不良の大発生となってしまいます。一体なぜでしょうか。それは、設備・機械は同じでも、次のような問題点があるからです。

 

【オペレーションノウハウが落とし込めていない】

 日本と同じ設備を持っていっても同じ品質のものがつくれない。なぜこのようなことが起きるのか。それは次のような設備のオペレーションノウハウを持っていっていない、落し込めていないからです。 

 1)機械の微調整
 2)消耗品や摩耗品の管理が不十分
 3)メンテナンスをやっていない

 

【オペレーションノウハウとは何でしょうか?】

 1)機械の微調整

 機械で安定的に生産をするためには、微妙な調整が必要なことは多くあります。この微調整はカンとコツの世界で、いわゆる職人技や匠(たくみ)の世界がそこにあります。手順書には書かれていない暗黙知の部分が多くある訳です。

 

 ・機械の調整に関するノウハウが落とし込まれていないことで起きた日系金属加工メーカーの不良発生事例

 中国に生産を移管し、生産量を増やした時期から製品端面のキズ不良が発生するようになりました。

 端面は、Rを付けるように加工しています。そこにキズがあると顧客が使用したときにノイズが発生するなどの不良につながる可能性があるため、このキズは許容されませんでした。日本で生産していたときには発生していなかった現象なので、明らかに中国生産によるものでした。

 メーカーの話では、この端面の加工は砥石(といし)を使っていました。ワークを供給するためのガイドと、砥石の間隔の調節をきちんと行わないと、隙間にワークが挟まりキズがつくとのことでした。このメーカーが使っている加工機は、すべて日本から送り込んだものです。しかし結局のところ、微妙な調整・段取りのノウハウが完全に落とし込まれていないことが問題発生につながりました。

 

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中小製造業で決定的に不足していることとは

 最近の多品種少量生産工場で、決定的に不足していることとは一体何でしょうか。品質管理の基本:統計手法、QC七つ道具、なぜなぜ分析、それともQCストーリー、...

 最近の多品種少量生産工場で、決定的に不足していることとは一体何でしょうか。品質管理の基本:統計手法、QC七つ道具、なぜなぜ分析、それともQCストーリー、...


生産管理システム導入後のトラブルとは

       今回は、製造業の情報システム部門を例として生産管理システムの導入後のトラブルについて解説します。    「トップダウンで生産管理シ...

       今回は、製造業の情報システム部門を例として生産管理システムの導入後のトラブルについて解説します。    「トップダウンで生産管理シ...


魅力品質の向上 儲かるメーカー改善の急所101項(その84)

  7、これからのモノづくり経営 ◆ 日本が目指すモノづくり  日本の製品が世界を席巻していた時には「Made in Japan」はと...

  7、これからのモノづくり経営 ◆ 日本が目指すモノづくり  日本の製品が世界を席巻していた時には「Made in Japan」はと...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
現場の見える化

       1. 現場マネジメントの精度    私は、中小製造業の現場に立って、現場リーダー...

       1. 現場マネジメントの精度    私は、中小製造業の現場に立って、現場リーダー...


CAMに求める機能の違い:金型加工と部品加工

  1. 金型加工用と部品加工用、それぞれのCAMの違い  素材は6面フライスした材料が多く荒取り加工では切削ボリュームは多い金型加工と...

  1. 金型加工用と部品加工用、それぞれのCAMの違い  素材は6面フライスした材料が多く荒取り加工では切削ボリュームは多い金型加工と...


異物混入:鳥の羽の混入

 以前、製品のパッケージがネズミにかじられて使いものにならなくなったと記事を読んだことがありました。その記事は、このようなものでした。サプライヤーの一社の...

 以前、製品のパッケージがネズミにかじられて使いものにならなくなったと記事を読んだことがありました。その記事は、このようなものでした。サプライヤーの一社の...