赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その6)

更新日

投稿日

中国

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その4)

 前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その3)に続いて解説します。

◆ 赴任直後にすべきこと

 今回は、中国駐在において自らの言動で失敗した、中国人スタッフから嫌われた具体的事例を紹介します。

1、中国駐在:それくらい分かるはずだ、常識でしょ、当たり前のことだ

 中国の人は我々日本人が考えているより何も分かっていないのです、知らないのです。教えていないことは知らなくて当然ですから、彼ら彼女らのせいではありません。常識とか当たり前とか、これも無理があります。常識が中国の人と日本人では違うのですから。日本人にとって当たり前のことでも、中国の人にとっては当たり前ではありません。ですから、こういう言葉は言ってはいけないのはもちろんですが、言うこと自体、まだ中国のことが分かっていないと言っているようなものです。

2、自分で考えてやれ

 これは一見自立を促しているような感じもしますが、思い通りにはいきません。

 こういうと自分勝手なやり方でやって、上手くいかないでしょう。どうしてそんなやり方をしたのかと問いただすと「自分で考えろと言ったじゃないですか。だから自分で考えてこのやり方にしました」という会話になってしまいます。

 中国の人に仕事をしてもらう上で気をつけるべきことの一つに、自分勝手なやり方をさせないことがあります。それは判断基準が会社のためではなく、自分のためになることを意味するからです。そうならないよう、常にチェックしていくことを心掛けてください。

3、日本人だったらちゃんとやる、日本企業ならこんなことにはならない

 中国の人をバカにする、見下したようになりますので、言わないようにしてください。中国に来ている訳ですから、こんなことを言っても仕方ないですね。

4、命令には従うと盲信している人

 このような駐在員もいました。上からの命令には絶対に従うと思っている人。

 これなどは、先に失敗事例として書いた工場長のように表面上は聞いたふりをしているけれど、実際は従わないというパターンになりますので仕事が全く進みません。

5、公私混同

 嫌われるのは駐在員の立場を使って公私混同する人です。

 日本人駐在員は中国人社員から見たら、住居や車での送迎などかなり優遇されています。特に総経理ともなれば専用車と運転手が用意されるケースが多いでしょう。これらを仕事で使う分には問題ないですが、プライベートでも使うと中国の人は陰でいろいろ言います。逆の立場になってみればその気持ちが分かると思います。例えば...

中国

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その4)

 前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その3)に続いて解説します。

◆ 赴任直後にすべきこと

 今回は、中国駐在において自らの言動で失敗した、中国人スタッフから嫌われた具体的事例を紹介します。

1、中国駐在:それくらい分かるはずだ、常識でしょ、当たり前のことだ

 中国の人は我々日本人が考えているより何も分かっていないのです、知らないのです。教えていないことは知らなくて当然ですから、彼ら彼女らのせいではありません。常識とか当たり前とか、これも無理があります。常識が中国の人と日本人では違うのですから。日本人にとって当たり前のことでも、中国の人にとっては当たり前ではありません。ですから、こういう言葉は言ってはいけないのはもちろんですが、言うこと自体、まだ中国のことが分かっていないと言っているようなものです。

2、自分で考えてやれ

 これは一見自立を促しているような感じもしますが、思い通りにはいきません。

 こういうと自分勝手なやり方でやって、上手くいかないでしょう。どうしてそんなやり方をしたのかと問いただすと「自分で考えろと言ったじゃないですか。だから自分で考えてこのやり方にしました」という会話になってしまいます。

 中国の人に仕事をしてもらう上で気をつけるべきことの一つに、自分勝手なやり方をさせないことがあります。それは判断基準が会社のためではなく、自分のためになることを意味するからです。そうならないよう、常にチェックしていくことを心掛けてください。

3、日本人だったらちゃんとやる、日本企業ならこんなことにはならない

 中国の人をバカにする、見下したようになりますので、言わないようにしてください。中国に来ている訳ですから、こんなことを言っても仕方ないですね。

4、命令には従うと盲信している人

 このような駐在員もいました。上からの命令には絶対に従うと思っている人。

 これなどは、先に失敗事例として書いた工場長のように表面上は聞いたふりをしているけれど、実際は従わないというパターンになりますので仕事が全く進みません。

5、公私混同

 嫌われるのは駐在員の立場を使って公私混同する人です。

 日本人駐在員は中国人社員から見たら、住居や車での送迎などかなり優遇されています。特に総経理ともなれば専用車と運転手が用意されるケースが多いでしょう。これらを仕事で使う分には問題ないですが、プライベートでも使うと中国の人は陰でいろいろ言います。逆の立場になってみればその気持ちが分かると思います。例えば、日本にある外資系企業のフランス人駐在員。高級マンションにタクシーでの通勤。その会社に勤務している日本人はどう思っていると思いますか。

6、日本人村に閉じこもる

 駐在員の中には、日本人としか付き合わない人が必ずいます。仕事以外では中国人スタッフとの関わりを持とうとせず、仕事が終わった後は、毎日他の駐在員と日本食屋に行く。中国の人は個人的な付き合いを大事にしますから、たまには仕事以外でも一緒に遊ぶとか食事をご馳走しましょう。そういう時に中国人スタッフの本音や不満が聞けてリスク管理にもなります。

 次回からは、労務管理やリスクマネジメントに関する内容です。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中国工場の実状を知る、経営層について 中国工場の品質改善(その11)

  【第2章 中国工場の実状を知る】 【経営層について】  前回のその10に続いて解説します。 (1)中国工場の良し悪しはトップの方...

  【第2章 中国工場の実状を知る】 【経営層について】  前回のその10に続いて解説します。 (1)中国工場の良し悪しはトップの方...


現場が意識することで見えるお客様の変化 人材育成・組織・マネジメント(その10)

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...


技術士第二次試験対策:過去の技術士第二次試験を振り返る

  1. 平成31年度(2019年度)の技術士第二次試験について 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこ...

  1. 平成31年度(2019年度)の技術士第二次試験について 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこ...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:自分の「徳」を知って成果を出す(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   2. 徳性、特性、才能    徳性に似た概念に特性と才能があります。この3つは、個人差...

 前回のその1に続いて解説します。   2. 徳性、特性、才能    徳性に似た概念に特性と才能があります。この3つは、個人差...


人的資源マネジメント:リーダーを育てる製品開発(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   5. 小森さんの変身    この取り組みをはじめてから1年半後、小森さんはプロジェクト...

 前回のその2に続いて解説します。   5. 小森さんの変身    この取り組みをはじめてから1年半後、小森さんはプロジェクト...


インドネシアの工場での人財育成の事例

 シンガポールの工場のクリーン化指導の時に、インドネシアのバタム島の工場にも寄ることにしていました。ここにも日系企業が集まる工業団地があります。今回はこの...

 シンガポールの工場のクリーン化指導の時に、インドネシアのバタム島の工場にも寄ることにしていました。ここにも日系企業が集まる工業団地があります。今回はこの...