◆品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その5)
中国工場のスタッフについてみています。これまで作業者や管理者の班長・組長を取り上げてきましたが、今回は科長についてお話します。
1、管理者
中国工場でいう管理者とは、現場の班長さんや科長さんのことです。
(2)科長
作業者から班長・組長を経て科長になる人もいますが、多くは既に他社で管理職を経験した人や大学卒の新人を、将来の管理職候補として採用している企業が多いようです。
現場の科長には、班長・組長とはまた違った重要な役割が多くあります。現場の日常管理を任せることになるわけで、日々の生産が問題なく行われること、何か問題や異常が発生した時の対処など、生産品の品質確保という重要な役目を持っています。そういった面では、継続的な改善を進める担い手としての役割もあります。生産や工程の問題点は、常に現場にいるスタッフ、現場のことをよく理解しているスタッフが一番よく分かっているはずです。これらスタッフに改善を進める意識や力がないと改善はできません。
現場の管理の他にも作業者や班長に対する教育係としての役割も担ってもらいます。人に教えるためには、まず自分自身が理解していることが必要です。
現場の科長にこれら役割を担ってもらうことが、工場のレベルアップにつながりますし、そうした科長の中から優秀な人がさらに上のポジションに就くことが現地化につながっていきます。
新卒で入社した管理職候補が即戦力になるのことは難しいでしょう。しかし、戦力になるまで会社にいてもらわなくてはなりませんし、一人前の管理者になった後にこそ、定着させる必要があります。私が色々な工場を見てきた経験では、管理者の定着率がよくない工場の管理レベルが高いということはありませんでした。
では、管理者を定着させるのに必要なことは何でしょうか?
給料でしょうか。残念ながら違います。もちろん給料もある程度の水準は必要です。必要なことは「会社にいることが自分にとってプラスなる」と思わせることです。
大卒の中国人たちは、自分の将来を考えています。「この会社にいると何を身に付けることができるか」、「自分はこの会社で将来どのポジションまでいけるのか」について考えています。...