事業継続計画とは 物流のリスク認識を高める(その2)

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サプライチェーンマネジメント

◆ 物流BCPに取り組む

 BCPとは 「Business continuity Plan」 の略です。日本語にすると事業継続計画ということになります。リスク管理といえばBCPが重要です。私たちはサプライチェーンの根幹を握っている立場にいるため、リスク管理については入念に取り組まなければなりません。

 BCPは、そのリスクが発生すると会社の存続にかかわるような事象に対して的確な対応を打っていく事業継続計画のことを指します。東日本大震災直後にこのBCPの作成がブームになりました。取引先にもこのBCPの作成を義務づけたり、新たな取り引きの条件にしたりすることも増えました。ということで皆さんもご記憶にあるのではないでしょうか。

 このBCPは主として大きな災害に備えて整備されることが一般的です。例えば大地震や津波、風水害などが典型的な例です。まさに東日本大震災で現実化してしまったわけですが「めったに起きない」という意識が強すぎて「100年に一度のことに対して備えるゆとりはない」という考え方もあります。

 しかし日本は地震国な上、四方を海に囲まれた島国でありますから今さらこのような認識で確実なビジネスを行っていくことには大きな疑問があります。そこで物流のリスク管理としてはぜひBCPを作成していくことをお勧めしたいと思います。

 BCPでは想定される災害の規模を定義します。例えば震度6強の地震に遭った時とか津波が事業所を襲った場合などです。そしてその際に被ると思われる被害を想定します。たとえば「事業所が機能不全になり、保有するトラックの50%が使えなくなる」などです。

 そういったリスクが発現してしまった時は人や設備など使える資源が極めて限定されますので、どの...

サプライチェーンマネジメント

◆ 物流BCPに取り組む

 BCPとは 「Business continuity Plan」 の略です。日本語にすると事業継続計画ということになります。リスク管理といえばBCPが重要です。私たちはサプライチェーンの根幹を握っている立場にいるため、リスク管理については入念に取り組まなければなりません。

 BCPは、そのリスクが発生すると会社の存続にかかわるような事象に対して的確な対応を打っていく事業継続計画のことを指します。東日本大震災直後にこのBCPの作成がブームになりました。取引先にもこのBCPの作成を義務づけたり、新たな取り引きの条件にしたりすることも増えました。ということで皆さんもご記憶にあるのではないでしょうか。

 このBCPは主として大きな災害に備えて整備されることが一般的です。例えば大地震や津波、風水害などが典型的な例です。まさに東日本大震災で現実化してしまったわけですが「めったに起きない」という意識が強すぎて「100年に一度のことに対して備えるゆとりはない」という考え方もあります。

 しかし日本は地震国な上、四方を海に囲まれた島国でありますから今さらこのような認識で確実なビジネスを行っていくことには大きな疑問があります。そこで物流のリスク管理としてはぜひBCPを作成していくことをお勧めしたいと思います。

 BCPでは想定される災害の規模を定義します。例えば震度6強の地震に遭った時とか津波が事業所を襲った場合などです。そしてその際に被ると思われる被害を想定します。たとえば「事業所が機能不全になり、保有するトラックの50%が使えなくなる」などです。

 そういったリスクが発現してしまった時は人や設備など使える資源が極めて限定されますので、どのビジネスを優先的に取り組むかも決めておく必要があります。例えば「最大の得意先であるA社にすべての資源を投入して仕事を続けるが、他社の仕事は断念する」という具合にです。

 このような取り組みを行うことで最大のビジネスを失わずに済む可能性があります。結果として会社を潰すことなく事業を継続することが可能になるわけですが、これが本当の事業継続であるといえそうです。

 次回に続きます。

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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