安全KPIと物流品質 物流KPIについて(その2)

投稿日

SCM

 

 ビジネスを実施していく際には、その状態を正しく示す重要経営指標のKPI( Key performance indicator )が必要となります。これなしにビジネスを進めることは暗闇で、当てもなくさまようようなものだからです。物流業では特にKPI管理が苦手のようです。売上高や経費、利益の把握はできていたとしても、それにつながる従業員1人当たりの売上高やトラック1台あたりの利益といった管理指標を持つ会社は少数派です。

 

 今回は「前回の物流KPIについて(その1)」経営指標の管理とはに続いて、安全KPIと物流品質について解説します。

 それでは物流KPIを把握するために重要な要素といわれる5つの「視点」の中から、今回は「S=Safety(安全)」と「Q=Quality(品質)」について考えていきましょう。

  1.  S   安全  
  2.  Q   品質  
  3.  D   納期  
  4.  C   コスト 
  5.  M  管理   

 特に物流現場のマネジメントを進めていくためには、この5つの視点で物事を見て評価、改善していく必要があります。この5つの視点で、その会社にふさわしいKPIを考えていくことが求められるのです。

 

1. S 安全KPI

 物流にとって「安全」は最も重要かつ基本的なことであると考えられます。なぜなら公道を使って仕事をするわけですから、場合によっては一般市民に危害を加えてしまうこともあり得ます。それだけに絶対、安全について管理を緩めることは許されないのです。

 例えば結果系のKPIとして「事故発生件数」を挙げたとしましょう。この「事故」には交通事故があり、人身事故とそれ以外の事故に分類できます。さらに「構内事故」もあり、それも人身事故とそれ以外の事故に分類できるわけです。

 では要因系のKPIではどのようなものが考えられるでしょうか。こちらは「安全講習実施件数」というKPIが考えられます。さらに、その講習で学んだことの「理解度」というKPIもあってもよいでしょう。理解度では「理解度テスト」を実施し、その点数を管理していくことになります。

 

2. Q 品質KPI

 この品質KPIは顧客にとってみると、非常に重要なアイテムということになります。物流品質は物流会社の顧客(荷主)にとって重要であると同時に、その顧客から商品を購入する最終ユーザーにとっても、見過ごせないものであるといえるでしょう。

 物流品質を評価するKPIとして誤出荷率というものがあります。何アイテム出荷し、その内間違っていたものが出荷された比率を取ります。いろいろな計算方法がありますが、総納品書枚数に占める誤品や誤数を含む納品書枚数という方法では30ppm程度だといわれ...

SCM

 

 ビジネスを実施していく際には、その状態を正しく示す重要経営指標のKPI( Key performance indicator )が必要となります。これなしにビジネスを進めることは暗闇で、当てもなくさまようようなものだからです。物流業では特にKPI管理が苦手のようです。売上高や経費、利益の把握はできていたとしても、それにつながる従業員1人当たりの売上高やトラック1台あたりの利益といった管理指標を持つ会社は少数派です。

 

 今回は「前回の物流KPIについて(その1)」経営指標の管理とはに続いて、安全KPIと物流品質について解説します。

 それでは物流KPIを把握するために重要な要素といわれる5つの「視点」の中から、今回は「S=Safety(安全)」と「Q=Quality(品質)」について考えていきましょう。

  1.  S   安全  
  2.  Q   品質  
  3.  D   納期  
  4.  C   コスト 
  5.  M  管理   

 特に物流現場のマネジメントを進めていくためには、この5つの視点で物事を見て評価、改善していく必要があります。この5つの視点で、その会社にふさわしいKPIを考えていくことが求められるのです。

 

1. S 安全KPI

 物流にとって「安全」は最も重要かつ基本的なことであると考えられます。なぜなら公道を使って仕事をするわけですから、場合によっては一般市民に危害を加えてしまうこともあり得ます。それだけに絶対、安全について管理を緩めることは許されないのです。

 例えば結果系のKPIとして「事故発生件数」を挙げたとしましょう。この「事故」には交通事故があり、人身事故とそれ以外の事故に分類できます。さらに「構内事故」もあり、それも人身事故とそれ以外の事故に分類できるわけです。

 では要因系のKPIではどのようなものが考えられるでしょうか。こちらは「安全講習実施件数」というKPIが考えられます。さらに、その講習で学んだことの「理解度」というKPIもあってもよいでしょう。理解度では「理解度テスト」を実施し、その点数を管理していくことになります。

 

2. Q 品質KPI

 この品質KPIは顧客にとってみると、非常に重要なアイテムということになります。物流品質は物流会社の顧客(荷主)にとって重要であると同時に、その顧客から商品を購入する最終ユーザーにとっても、見過ごせないものであるといえるでしょう。

 物流品質を評価するKPIとして誤出荷率というものがあります。何アイテム出荷し、その内間違っていたものが出荷された比率を取ります。いろいろな計算方法がありますが、総納品書枚数に占める誤品や誤数を含む納品書枚数という方法では30ppm程度だといわれています。これが総出荷個数に占める誤品個数という計算方法では、1桁ppmになると思われます。

 では要因系の品質KPIにはどのようなものが考えられるでしょうか。例えば「急所掲示検数」などはいかがでしょうか。間違いやすい製品についてそのポイントを急所として示し、物流現場に掲示することで、作業者にミス防止を促す仕掛けということになります。

 他の物流KPIについては、次回解説致します。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その5)

 前回のその4に続いて、「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その5は、商品Noの統一、仕掛品Noの逆検索について、解説します。  ...

 前回のその4に続いて、「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その5は、商品Noの統一、仕掛品Noの逆検索について、解説します。  ...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その10)

1.通常供給時のチェーンの速さが差別化になります    前回のその9に続いて解説します。高度成長期は在庫を保有して、そこから受注に応じた出荷...

1.通常供給時のチェーンの速さが差別化になります    前回のその9に続いて解説します。高度成長期は在庫を保有して、そこから受注に応じた出荷...


部品メーカーのサプライチェーン戦略

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライヤーの生産工程は自社の前工程:物流の改善ポイント(その3)

  ◆サプライヤー支援 台車を使って在庫コントロールする方式を「台車カンバン方式」と呼びます。台車カンバン方式を導入することで秩序ある生...

  ◆サプライヤー支援 台車を使って在庫コントロールする方式を「台車カンバン方式」と呼びます。台車カンバン方式を導入することで秩序ある生...


すぐできる小さな改善提案 お客様の満足を得る(その3)

◆「すぐできる改善」ネタを提供  お客様への付加価値提供は「提案にある」というお話を良くさせていただいておりますが、荷主企業からは物流会社側からこの...

◆「すぐできる改善」ネタを提供  お客様への付加価値提供は「提案にある」というお話を良くさせていただいておりますが、荷主企業からは物流会社側からこの...


物流業の知名度向上:物流の地位向上とは(その5)

  ◆物流業の知名度向上 一部の物流企業がテレビCMを打っています。これはその会社だけではなく、物流業の知名度向上に役立つ活動だと思いま...

  ◆物流業の知名度向上 一部の物流企業がテレビCMを打っています。これはその会社だけではなく、物流業の知名度向上に役立つ活動だと思いま...