◆ 契約書に記すべき業務
契約を曖昧(あいまい)にしていると、実業務が始まった後にトラブルが発生しがちです。しかし、そのトラブルのもとになる事象は大抵が想定の範囲内です。これは何を示しているのでしょうか。それは契約書を作る際、真剣に考えていないということが考えられます。または、契約書作成に慣れていないといった方がよいかもしれません。契約書は誰が作るのでしょうか。営業担当者が作るのでしょうか、それとも法務担当者でしょうか。
大きな会社であれば法務担当部門があり、契約書管理を一手に引き受けています。この場合、リーガル的な観点からは問題が無い契約書を作っています。しかしリーガル的観点以外の所が重要なのです。つまり本来発注すべき仕事、受注した仕事といった「何を」仕事として実施すべきかについての観点が外せないのです。
「何を当たり前な」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし意外と契約書に書かれていないものの、実際にはやられている業務が存在するものです。しかも受注側がこういった業務を「無償」で実施している場合があるのです。例えば、契約後に契約書に書かれた仕事以外で、次のような業務が発生していることがあります。
- 在庫数量の日々報告
- 通箱数量の報告
- 通箱の清掃
これらにつきましては、物流業務を行っていれば当たり前に発生が予測される仕事です。しかしこれらを契約書に書くかどうかは別として、発生を予測し、あらかじめ価格に織り込んでおかないと、後で大変なことになりがちです。どうしても顧客に頼まれれば断れず、簡単に引き受けてしまいがちです。しかも無償でです。一つひとつの仕事は小さくても、そういった業務が増えてくる、あるいはその仕事のボリュー...