今後の配送のあり方:ラストワンマイルの行方(その3)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 今後の配送のあり方

 今後の配送のあり方は、前回ご紹介したアメリカの方式は大いに参考になるところです。日本では規制もありますので、そのまま導入することは難しいかもしれませんが今後の配送能力の不足には対応する必要があります。

 よく言われる対策に女性の活用があります。家庭の主婦が空いた時間に近所の配送を行うのです。大きなトラックを使わず手押し台車で歩ける範囲で配送して回ります。これをもっと広げれば一定の空き時間を持つ労働力を活用することができます。この方式は大いに活用していくことが望ましいと思います。

 一方で受取場所の多様化も進めていくとよいでしょう。たとえば最近ではコンビニ受取が増えてきています。既存のコンビニにとってみると今まで通販商品の受取ポイントになっていなかったため商品の置き場所に苦慮しているようです。今後のコンビニ店舗設計の際にはこういった場所も考慮した設計が求められるでしょう。

 コンビニ受取が始まってみて商品を受けとりに来るお客さんのほとんどの方が「ついで買い」をしていくそうです。これはコンビニにとっては大きなメリットになりますね。商店はいかにお客さんに来てもらうかが重要でありその点でこの方式は画期的だったということでしょう。

 楽天は駅に宅配ボックスを設置しました。ロッカータイプで帰宅途中などに受け取れる方式です。これもとても便利だと思います。課題は場所の確保です。一部の地方では路線バスと宅配業者がコラボしてバスの一部をカーゴエリアにして運ぶ方式を始めました。

 昔は国鉄が客車の後ろに貨物車を連結していましたがJRになってからそのようなことは行われなくなりました。旅客会社と貨物会社に分離されてしまったからでしょう。しかしこのような工夫は再開すべき時期が来たのではないでしょうか。バスで運ぶ、列車で運ぶ、タクシーで運ぶ、個人が空き時間に運ぶ、このような工夫が取り入れられてもよいのではないでしょうか。

 とかく「危険が・・・」とか「不安だ・・・」という発想が先に...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 今後の配送のあり方

 今後の配送のあり方は、前回ご紹介したアメリカの方式は大いに参考になるところです。日本では規制もありますので、そのまま導入することは難しいかもしれませんが今後の配送能力の不足には対応する必要があります。

 よく言われる対策に女性の活用があります。家庭の主婦が空いた時間に近所の配送を行うのです。大きなトラックを使わず手押し台車で歩ける範囲で配送して回ります。これをもっと広げれば一定の空き時間を持つ労働力を活用することができます。この方式は大いに活用していくことが望ましいと思います。

 一方で受取場所の多様化も進めていくとよいでしょう。たとえば最近ではコンビニ受取が増えてきています。既存のコンビニにとってみると今まで通販商品の受取ポイントになっていなかったため商品の置き場所に苦慮しているようです。今後のコンビニ店舗設計の際にはこういった場所も考慮した設計が求められるでしょう。

 コンビニ受取が始まってみて商品を受けとりに来るお客さんのほとんどの方が「ついで買い」をしていくそうです。これはコンビニにとっては大きなメリットになりますね。商店はいかにお客さんに来てもらうかが重要でありその点でこの方式は画期的だったということでしょう。

 楽天は駅に宅配ボックスを設置しました。ロッカータイプで帰宅途中などに受け取れる方式です。これもとても便利だと思います。課題は場所の確保です。一部の地方では路線バスと宅配業者がコラボしてバスの一部をカーゴエリアにして運ぶ方式を始めました。

 昔は国鉄が客車の後ろに貨物車を連結していましたがJRになってからそのようなことは行われなくなりました。旅客会社と貨物会社に分離されてしまったからでしょう。しかしこのような工夫は再開すべき時期が来たのではないでしょうか。バスで運ぶ、列車で運ぶ、タクシーで運ぶ、個人が空き時間に運ぶ、このような工夫が取り入れられてもよいのではないでしょうか。

 とかく「危険が・・・」とか「不安だ・・・」という発想が先に頭に思い浮かんでしまいます。しかし今後の輸送力不足、高齢化による買い物困難者の増加、ますます増えるネットでの買い物などを考えると考え方を転換する時期に来ているのではないでしょうか。

 

 私たちは常にユーザーの視点に立ってラストワンマイルのあり方を考えなければならないのだと思います。今熱い視線が向けられている無人運転技術の活用も含めて将来の物流について構想を練る時期に来ていることは間違いありません。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンにおける収益向上のメカニズム

 オペレーションの連携、すなわちシンクロナイゼーションがサプライチェーンマネジメントの課題です。一般的なジャストインタイムの定義は、必要なものを、必要な時...

 オペレーションの連携、すなわちシンクロナイゼーションがサプライチェーンマネジメントの課題です。一般的なジャストインタイムの定義は、必要なものを、必要な時...


SCMの適切な評価指標 SCM最前線 (その11)

1. SCMには適切な評価指標がない    自社のSCMがどのレベルにあるのかは、興味深い問題でしょう。競合する企業のSCMレベルが自社に対...

1. SCMには適切な評価指標がない    自社のSCMがどのレベルにあるのかは、興味深い問題でしょう。競合する企業のSCMレベルが自社に対...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その1)

第1回 日本流物流はグローバルスタンダードにあらず   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地に持って行くべき「物流指導...

第1回 日本流物流はグローバルスタンダードにあらず   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地に持って行くべき「物流指導...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
今の状況が良いのか悪いのか 本当の見える化で効率向上(その4)

◆ 物流現場を管理状態に置く  仕事の「計画」と「実績」がわかるということは、物流現場が管理状態にあるということです。それがわからなければ残念ながら...

◆ 物流現場を管理状態に置く  仕事の「計画」と「実績」がわかるということは、物流現場が管理状態にあるということです。それがわからなければ残念ながら...


物流先進企業とは 物流関心度を高める(その5)

 前回のその4に続いて解説します。    物流先進企業というと、どの会社をイメージするでしょうか。一般消費者であれば、通販企業かもしれません。 オーダ...

 前回のその4に続いて解説します。    物流先進企業というと、どの会社をイメージするでしょうか。一般消費者であれば、通販企業かもしれません。 オーダ...


情報発信で物流改善を進めよう 物流サイドからの情報発信(その3)

 前回のその2:物流に表れる 生産・調達・営業の結果に続いて解説します。 1. 物流部門からの情報発信  物流は往々にして何らかの行動の結果と...

 前回のその2:物流に表れる 生産・調達・営業の結果に続いて解説します。 1. 物流部門からの情報発信  物流は往々にして何らかの行動の結果と...