従業員主体で環境保護、サステナビリティへの取り組み
SDGs(持続可能な開発目標)の観点からみても重要な取り組みとして注目されている「エコチューニング」ですが、前回は法人向けに発電や小売電気事業をはじめ、電気の運用改善などを提案する日本テクノ株式会社(代表取締役社長 馬本 英一氏)が推進する省エネ活動支援サービスをご紹介しました。今回は同社の環境保全活動など、社内外の取り組みをご紹介します。
1.豊かな自然を守る、拠点ごとにボランティア活動
現在、全国に67拠点を設ける日本テクノ株式会社では拠点ごとに従業員らが主体となり、ボランティア活動に参加。環境保全活動に努めています。
沖縄県のテクノ・サテライト・オフィス(沖縄市)では沖縄クリーンコーストネットワーク(OCCN)に加盟しており、沖縄の青い海と白い砂浜を守ろうと、2007年から清掃活動を実施。社員のほか、その家族も参加しています。清掃後はビーチパーティーを開催し、社員交流の場としての役割も果たしています。
また、静岡県の浜松営業所(浜松市)では、2018(平成30)年からアカウミガメの産卵地である中田島砂丘で幼体の放流会(NPO法人サンクチュアリ主催)に参加しています。海洋ゴミによる海水や砂浜汚染により、産卵数が減少している現状を知った同営業所メンバーが毎年参加しているもので、活動を知った同社顧客や近隣の営業所、家族らも参加するなど年々増加しています。
【写真説明】テクノ・サテライト・オフィス(沖縄県)従業員らも参加し、2007年から続けられている海岸清掃活動(同社提供)
【写真説明】浜松営業所(静岡県)従業員らも参加し、中田島砂丘で続けられている幼体の放流会㊧とアカウミガメの幼体(同社提供)
これら一連の環境保護・美化への取り組みについて、同社は豊かな自然を守る一助と考え、さらに従業員への環境に対する意識向上を図る機会としても捉えており、自然と社会との共生に向け、社を挙げた取り組みが進められています。
一方、東京都の新宿本社では従業員の呼び掛けがきっかけとなり、2019(平成31、令和元)年から、貧困など様々な理由でワクチン接種のできない子どもたちに無償でワクチンを提供する「エコキャップ活動」に参加しています。ペットボトルキャップの回収は、リサイクルによるCO2の削減に貢献しているほか、集めたキャップは回収業者に売却、得られた利益は認定NPO法人「世界の子どもたちにワクチンを日本委員会(JCV)」を通じ、世界中の子どもたちに届けられています。
2.年間を通じた研修で従業員の意識改善を支援
同社では意識改善の支援として社内にCSV・CSR推進課を設置。年間を通じて階層別、職業別に環境分野からSDGs、ESGまで、幅広い知識と認識の向上に向けた研修が行われています。特に環境分野に対しては、気候変動への取...
また、同課では、全従業員に対し、全65部門で使用している電気や紙、ガソリンなどの使用量を集計した「エネルギーパフォーマンスデータ」を毎月配信。使用実績と改善案(原因・対策)の共有が図られているほか、CSRやSDGsに関する話題や情報も四半期ごとに配信されています。
一方、社外に向けた取り組みとしてウェブマガジン「Eco News」を開設し、省エネやSDGsに関連した情報を提供しています。また、同サイトのコンテンツの一つ「おばあちゃんの知恵袋」では「衣類」や「生活」、「料理・食材」、「掃除」など10コーナーが用意され、室内干しの洗濯物を早く乾かし、消臭もできる方法や、着なくなった衣類の再利用法など、古くから伝わる暮らしの知恵を垣間見ることもできます。
【写真説明】全65部門で使用している電気や紙などの使用量を集計し、配信されている「エネルギーパフォーマンスデータ」㊧と古くから伝わる暮らしの知恵を紹介する「おばあちゃんの知恵袋」サイト(同社提供)
さらに、季刊紙として「環境市場新聞」を30万部発行。環境問題をテーマとした話題をはじめ、時事ニュースや同社顧客の声、省エネ活動事例などが掲載され、顧客や学校などに年4回届けられています。同紙はパソコンやスマートフォンでも閲覧可能な電子版「環境市場新聞PLUS+」としても提供されるなど、同社営業活動にこれら情報発信を加え、省エネに有効な情報が発信されています。
【写真説明】環境問題をテーマとした話題や省エネ活動事例など掲載する「環境市場新聞」(同社提供)
3.電力使用量を賢く制御、デマンド・レスポンス
コロナウィルスの影響から、社会構造の変化がもたらす電力需要の増加に加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響から燃料供給が安定的に確保できない懸念もあり、冬の電力需給が厳しくなるとみられることから現在、政府から一般家庭や企業に対し、7年ぶりとなる節電要請が行われ、企業に対する省エネ補助金も強化されています。
兼ねてから電気小売事業者として、デマンド・レスポンス[1]の呼び掛けを進めていた同社も、顧客を中心に声掛けを行っており「お客様に有効な電力の使い方を浸透させる機会」とみています。同社・馬本社長が思い描く「中小企業と共に発展していきたい」を胸に、省エネ活動支援は続きます。
記事:産業革新研究所 編集部 深澤茂
【記事中解説】
[1]デマンド・レスポンス:電力の需給状況に合わせて、市場価格が安い時間帯は電気を積極的に使用し、市場価格が高い時間帯(電力需給ひっ迫時)は使用をできる限り控えること。