【SDGs取り組み事例】環境非配慮型プラスチック50%削減を目指して 株式会社シャトレーゼ

自然の恵み活かし、持続可能な地域活性に取り組む

【目次】

     

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    1. 国内外700店舗で菓子を販売

    菓子の製造・販売を行う株式会社シャトレーゼ(代表取締役社長 古屋 勇治氏)の創業は1954(昭和29)年。甲府市に有限会社甘太郎を出店し、今川焼き風の菓子「甘太郎」の販売(甲府市)を中心に山梨・長野両県で10店舗を展開。1964(同39)年には、甲州市(旧勝沼町)に大和アイス株式会社を設立し、アイスクリーム業界に参入すると同時に、同社主力商品であるシュークリームの研究開発が始まりました。その後、1967(昭和42)年には両社を合併、社名も株式会社シャトレーゼとし、今日まで国内外で約700店舗を展開するほか、中国やインドネシア、タイ、アラブ首長国連邦など海外にも進出しています。

    写真説明】株式会社シャトレーゼ豊富工場(山梨県中央市)㊧と店舗(同社提供)

     

    2.自然と共生する菓子工場を目指して

    ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)といった言葉が発信される以前から、環境保全や地域貢献活動などを進めてきた同社。1994(同6)年には「名水の里」として知られる北杜市の森の中に白州工場を建設。天然水をくみ上げ、自然の恵みを活かしたアイスクリームや餡子(あんこ)の生産を行っていますが、環境保護の点からも、排水の再利用やノンフロン環境型設備の導入を進めています。
    また、白州工場では破砕分離機を導入し、日々排出されるアイス製造残渣(ざんさ)をバイオマス発電の原料として引き取ってもらったり、日々排出される豆かすや焼き菓子の切れ端などを償却せず、養豚農家に買い取ってもらうことでコスト削減に繋(つな)げています。

    写真説明】同社白州工場(同社提供)

     

    3.1店舗当たりの環境非配慮型プラスチック使用量を50%削減

    「おいしいお菓子を生み出す自然環境を守る」をスローガンに掲げる同社では①「フィルム、プラスチック包材を環境配慮型素材に変更」②「プラスチック備品の使用廃止と有料化を導入」③「エコバックや容器リユースの推奨」の3点に重点を置き、2030年までに環境非配慮型プラスチックの50%削減を目指しています。2020年当初は、包材などに年間約3,100トンのプラスチックが使用されていましたが、約700店舗ある販売店での使用量(1店舗当たり年間約5.2トン)を半減することを目標に取り組みが進められています。

    関連記事:SDGsの考察(その1)17の目標と取り組み方

    ・ワインボトルをリフィルボトル方式に

    2008(平成20)年には、樽(たる)から直接ボトルに注ぐ「樽出し生ワイン」の販売に、リフィルボトル(通い瓶)方式を導入。瓶は初回購入時に157円(税込)で販売され、次回購入時からは空瓶を持参することで瓶代を無料としています。

    写真説明】樽出しワインのリフィルボトル(通い瓶・同社提供)

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    ・使い捨てスプーン有料化や包材に紙を使用

    2021年4月...

    からは、使い捨てスプーン(プラスチック製、木製)の有料化に踏み切っています。これまで、プラスチック製スプーンには年間約120トンのプラスチックが使用されていましたが、翌年は75%に当たる約90トンのプラスチックが削減されています。このほか、洋風餡をケーキ生地で包んだ焼き菓子「梨恵夢(りえむ)」では、包材に配合される紙の割合を高め、約50%に当たる6トンのプラスチック材料を削減しています。これら取り組みはモンブランやショートケーキのトレーにも採り入れられ、モンブランでは100%(6トン)、ショートケーキは約86%(同6トン)の削減を達成しています。

    写真説明】包材やトレーに配合される紙の割合を高めた「梨恵夢」㊧とショートケーキ(同社提供)

    ・レジ袋をバイオマス素材配合品へ変更

    持ち帰り用のレジ袋をバイオマス原料30%配合品に切り替え、2020年10月から有料化するとともに、消費者にもマイバック持参を呼び掛けています。これにより、レジ袋に年間約290トン使われていたプラスチック量から、約170トンを削減することに成功しています。また、自社で精米した玄米の米ぬかからこめ油を絞り使用するほか、手土産用として卵殻25%を配合したレジ袋の導入や、自社で発生した小豆(あずき)の皮を2%~3%配合した箱の導入するなど、環境保護に貢献しています。

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    4.水資源の保全と地域活性化に取り組む

    地域貢献活動では、生産時に印字のずれなど、県内各工場で規格外となった商品を集め、2021年1月から毎月、認定NPO法人フードバンク山梨(南アルプス市)に商品を提供。同社も「おやつは日々の暮らしの中でも大切な要素。お菓子が安らぎの時間を生むことを実感しています。私たちのスイーツ一つひとつが、多くの方々の笑顔に繋がり続けることを願っています」と話しています。
    一方、グループ企業の株式会社シャトレーゼホールディングス(代表取締役社長 齊藤 貴子氏)では2019(平成31、令和元)年10月、南アルプス山系を有し、名水の里日本一として知られる北杜市が進める「世界に誇る『水の山』プロジェクト」に参加。同市と協定を結び、積極的な水資源の保全活動と各種イベントを通じた市全域の地域活性化に向けた取り組みを進めています。

    写真説明】2022年7月にオープンした「シャトレーゼホテルにらさきの森」(同社提供)

    写真説明】ホテルを拠点に開かれている体感ツアーのようす(同社提供)

    このほか、ことし7月には韮崎市内に「シャトレーゼホテルにらさきの森」をオープン。同ホテルを拠点に、1泊2日で白州工場や契約農場の見学を行う体感ツアーも定期的に行っています。また、6月には韮崎市との間で同ホテルを使ったイベント実施のほか、災害時の避難場所として提供することなどが盛り込まれた包括連携協定を締結。同社も「2030年に向け、脱プラスチックをはじめ、食品ロスや自然環境保護活動など、菓子屋として貢献できることを考え、これからも取り組んでいきたい」と語ってくれました。


    記事:産業革新研究所 編集部 深澤茂

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