日常活動:エンジニアリングとしての物流(その3)

投稿日

SCM

 

◆荷姿改善と倉庫の有効活用

エンジニアリングとしての物流は、オペレーション開始後はそれをご破算にしてやり直すことは困難なので、現在の物流を改良する点に重点が置かれます。そんな中でも比較的やりやすいものが荷姿改善です。荷姿を改善することで保管エリアが縮小され、必要容器数も少なくて済みます。一番大きな効果は輸送費が少なくなることです。トラックにピッタリとはまる荷姿とすることで、荷台の上のロススペースを解消できるのです。

 

ということで、エンジニアリングとして取り組むべきは特に長距離輸送を伴う物流に使用する荷姿の改善です。輸出入コンテナの中を覗いてみましょう。荷は隙間なく入っているでしょうか。もしロススペースがあるとしたらそれは荷姿に改善の余地があるということです。コンテナ内で上の方にスペースが空いていたとしたら、そこを有効に活用するように荷姿を変更しましょう。これはトラックでも同様です。

 

倉庫の有効活用でも物流エンジニアリングは威力を発揮します。倉庫では保管効率と作業効率の両立が求められます。でも大方の倉庫ではスペースをかなり余らせており、もったいない限りです。「いやいやうちの倉庫は十分スペースを有効に活用できているよ」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

そういう方は倉庫を一つの箱ととらえ、その箱の充填率という観点で見て下さい。つまり上方スペースを有効に活用しているか、という視点です。庫内高さが10mあっても4mまでしか使っていない倉庫が多々あります。通路スペースが40%だとすると、保管スペースすべて4mで置いていたとしても、60%(保管場率)×40%(高さ活用率)でわずか24%しかその倉庫を活用できていないことになります。4mすべて使い切ることは稀でしょうから、実質は20%を切ることがほとんどです。いかがでしょうか。ちょっと驚きの数字かもしれません。

 

物流エンジニアリングを進めてくためにはこのようなKPIを持ち、その目標値を定めて活動を進めていくとよいでしょう。

 

いずれにしましても物流は生産や販売、調達などの活動の後追いではなく、自ら進んで効率的なものにしていく活動が必要です。物流は最初...

SCM

 

◆荷姿改善と倉庫の有効活用

エンジニアリングとしての物流は、オペレーション開始後はそれをご破算にしてやり直すことは困難なので、現在の物流を改良する点に重点が置かれます。そんな中でも比較的やりやすいものが荷姿改善です。荷姿を改善することで保管エリアが縮小され、必要容器数も少なくて済みます。一番大きな効果は輸送費が少なくなることです。トラックにピッタリとはまる荷姿とすることで、荷台の上のロススペースを解消できるのです。

 

ということで、エンジニアリングとして取り組むべきは特に長距離輸送を伴う物流に使用する荷姿の改善です。輸出入コンテナの中を覗いてみましょう。荷は隙間なく入っているでしょうか。もしロススペースがあるとしたらそれは荷姿に改善の余地があるということです。コンテナ内で上の方にスペースが空いていたとしたら、そこを有効に活用するように荷姿を変更しましょう。これはトラックでも同様です。

 

倉庫の有効活用でも物流エンジニアリングは威力を発揮します。倉庫では保管効率と作業効率の両立が求められます。でも大方の倉庫ではスペースをかなり余らせており、もったいない限りです。「いやいやうちの倉庫は十分スペースを有効に活用できているよ」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

そういう方は倉庫を一つの箱ととらえ、その箱の充填率という観点で見て下さい。つまり上方スペースを有効に活用しているか、という視点です。庫内高さが10mあっても4mまでしか使っていない倉庫が多々あります。通路スペースが40%だとすると、保管スペースすべて4mで置いていたとしても、60%(保管場率)×40%(高さ活用率)でわずか24%しかその倉庫を活用できていないことになります。4mすべて使い切ることは稀でしょうから、実質は20%を切ることがほとんどです。いかがでしょうか。ちょっと驚きの数字かもしれません。

 

物流エンジニアリングを進めてくためにはこのようなKPIを持ち、その目標値を定めて活動を進めていくとよいでしょう。

 

いずれにしましても物流は生産や販売、調達などの活動の後追いではなく、自ら進んで効率的なものにしていく活動が必要です。物流は最初が肝心。常に「物流を発生させない」ことを第一に活動していきましょう。なぜなら発生してしまった物流を無くすことは困難だからです。発生してしまった物流については改良が必要です。どこを攻めれば効率がよいのかを見定めてエンジニアリングとしての活動を心がけましょう。

 

◆【特集】 連載記事紹介連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンにおけるポジショニング

 製造業再編の発生理由は、サプライチェーン上での存在意義をどうするかという、企業のポジショ二ングのし直しといって良いでしょう。   これまでの...

 製造業再編の発生理由は、サプライチェーン上での存在意義をどうするかという、企業のポジショ二ングのし直しといって良いでしょう。   これまでの...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その12)

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...


SCMの適切な評価指標 SCM最前線 (その12)

 前回のその11に続いて解説します。   3. よく使われているSCM指標の評価     下記は、一般的にSCMで使...

 前回のその11に続いて解説します。   3. よく使われているSCM指標の評価     下記は、一般的にSCMで使...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
循環型社会形成の推進 環境に対する感度を高める(その3)

◆ 物流総合効率化法  3Rという言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。この3Rの意味は「リデュース:ゴミを出さない」、「リユース:再利用す...

◆ 物流総合効率化法  3Rという言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。この3Rの意味は「リデュース:ゴミを出さない」、「リユース:再利用す...


アウトソースの検討 アウトソースを過信するな(その1)

◆ アウトソースのメリットとデメリット  多くの荷主会社がアウトソースを行うことで自社の物流が良くなると思っています。たしかに十分に準備し、アウトソ...

◆ アウトソースのメリットとデメリット  多くの荷主会社がアウトソースを行うことで自社の物流が良くなると思っています。たしかに十分に準備し、アウトソ...


物流業の波動と平準化

  1. 物流業界の波動    物流業界は波動が大きい業界といわれています。お中元やお歳暮が波動をもたらす要因です。海上輸送ではクリスマスシーズンが...

  1. 物流業界の波動    物流業界は波動が大きい業界といわれています。お中元やお歳暮が波動をもたらす要因です。海上輸送ではクリスマスシーズンが...