物流倉庫の改善とは(その1)

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SCM

 

1.物流倉庫のレイアウト改善

◆ 倉庫のレイアウト改善

物流作業は倉庫のレイアウトに動線が大きく左右される特徴があります。みなさんは、普段使っている倉庫レイアウトのスペースのムダを改善された経験はありますでしょうか。例えば、工程と工程が離れた配置設計を行うなど、レイアウトが悪いと永遠にその間では運搬が発生してしまいます。

 

では、レイアウトはどのように改善していったらよいでしょうか。その準備として工程分析を実施してみるとよいでしょう。

 

工程分析の結果、運搬や在庫の停滞が見える化されます。すると、今まであまり気にしていなかったような運搬や在庫がたちまち気になりだします。つまり今の隠れた問題点を表面化させ、認識することが今後のレイアウト改善を行う際、重要になるということです。

 

レイアウト設定時には良かった物の流れが、時代が経つにつれ非効率に転じることも考えられます。物流量も当時と今とでは大きく異なることが考えられます。そういった変化を放置していると「何となく効率が悪いな」という感覚で仕事を続けることになってしまうため、気付いた時に修正するという習慣が必要です。

 

では早速、倉庫レイアウトに必要な項目を挙げながら改善検討していきましょう。

 

倉庫の建屋外にはトラックポートや待機場が必要になります。ここでは、トラックが物流倉庫で積み込みを行う際、長時間待たされるという問題が発生しています。この問題解消のためには、トラックダイヤを定めるとともに荷揃えを行うなど、トラック荷役時間の低減が求められます。

 

しかし、これでも自身の積み込み時間より前に到着することになるでしょうから、一定のトラック待機場が必要になるのです。トラックポートの数も適正化しましょう。ある程度トラックが平準化されることを前提に、ポートの適正数を算出し、その数を物流倉庫に設置しなければなりません。またトラックポートは屋根下に設置し、雨天時荷役への配慮を行います。

 

トラックポートには一つに1台ずつフォークリフトを配置します。そのため、フォークリフト置場もレイアウトの中に設ける必要があります。もちろん、フォークリフトの燃料置場も忘れずに確保しましょう。バッテリーフォークの場合は充電場所も必要となってきます。

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2.荷受場と出荷場の改善

◆ まずは物流倉庫の荷受場と出荷場の改善から

物流倉庫改善の取り組みにおいて、倉庫の荷受場と出荷場の改善は真っ先に取り組むべき場所ではないでしょうか。この場所で物が詰まると、清々とした物流を構築することはできません。この2つの場所で共通するキーワードは「分かりやすい」です。なぜなら、トラックドライバーや納入業者など、外部の人たちが来て作業する場所でもあるからです。

 

外部の人たちが初めて来た時に迷わず、作業ができるエリアづくりに努めましょう。例えば出荷場であれば、トラックドライバーが積むべき荷物・商品がすぐ分かるようにしておくことです。そのためには「トラック単位の荷揃え」を行い「納品書を準備」し、分かりやすい「表示」を設置して効率化を図ります。荷受場であっても同様です。どこに荷降ろしをしたらよいのかが瞬時に判断できるよう、大きな表示を付けておくようにしましょう。

 

そして2つの場所でともに改善しなければならないのが、トラックからの距離でしょう。荷役時に長距離運搬が求められるとそれだけ時間がかかり、トラックの滞留時間を延ばしてしまいます。また荷降ろし時に、あまりにも多くの分散されたエリアに、荷を仕分ける作業もトラック滞留時間を延長させてしまいます。

 

物流倉庫の改善ポイントは「第三者の立場」で倉庫を見て判断することです。そこで効果的だと思われる方法は、社内で普段あまり現場と接点のない部署の人から意見を聞いてみることです。その人たちは倉庫という物流現場にとっては、どちらかというと第三者に近いため、外部の人の意見に近いものが得られる可能性があります。

 

荷受場、出荷場でもう一つ気を配らなければならない場所があります。それは通箱(容器)とパレット置場です。これらは納入業者に返却する必要があります。またこれらは汎用的に活用が可能であるため、紛失防止のための管理も必要になります。

 

時々、特定の会社の名前が入ったパレットを、その会社とまったく関係のない場所で見掛けることがありますが、これは本来のルートから外れ、流出してしまった可能性があると考えられます。多くの会社でパレットや容器の流出(紛失)に悩んでいるようです。しかし、これは会社の管理方法に問題があると考えられます。

 

3.ロケーション管理

◆ ロケーション管理:誤出荷の発生を防ぐ~管理手法と注意点

物流倉庫内を改善する場合、ロケーション管理について注意するとよいと思います。このエリア管理をしっかりしていないと、誤出荷につながる可能性があるためです。

 

ロケーション管理には「固定ロケーション」と「フリーロケーション」があります。前者は物の置き場所を固定する管理方法です。列車でいえば「指定席」です。一方後者は置き場所を特定せず、その都度空いている場所に保管する方法でこちらは「自由席」ということになります。

 

(1)固定ロケーション

固定ロケーションは、場所が常に固定されているため置き場所が分かりやすく、新人作業者でもすぐに仕事をすることが可能です。ただ、商品の出方が変わったり廃止になった際は、置き場所のメンテナンスが必要になります。若干の煩(わずら)わしさがありますが、間違いを防ぐためには効果的な管理方法といえます。 

 

固定ロケーションの場合には、棚番号を「何丁目、何番地、何号」といった数字とアルファベットを組み合わせるなど、分かりやすい表示にしましょう。

 

例えばAゾーンの5番通路の左棚の17間口であれば「A―5-L17」といったコードを付けることになります。

 

(2)フリーロケーション

フリーロケーションは、商品の出方が変わっても置き場所のメンテナンスは不要で、管理上は容易な方法といえます。しかし都度置き場所が変わると倉庫内作業者の迷いが発生します。迷いによるロス時間、つまり探し回る時間がも...

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1.物流倉庫のレイアウト改善

◆ 倉庫のレイアウト改善

物流作業は倉庫のレイアウトに動線が大きく左右される特徴があります。みなさんは、普段使っている倉庫レイアウトのスペースのムダを改善された経験はありますでしょうか。例えば、工程と工程が離れた配置設計を行うなど、レイアウトが悪いと永遠にその間では運搬が発生してしまいます。

 

では、レイアウトはどのように改善していったらよいでしょうか。その準備として工程分析を実施してみるとよいでしょう。

 

工程分析の結果、運搬や在庫の停滞が見える化されます。すると、今まであまり気にしていなかったような運搬や在庫がたちまち気になりだします。つまり今の隠れた問題点を表面化させ、認識することが今後のレイアウト改善を行う際、重要になるということです。

 

レイアウト設定時には良かった物の流れが、時代が経つにつれ非効率に転じることも考えられます。物流量も当時と今とでは大きく異なることが考えられます。そういった変化を放置していると「何となく効率が悪いな」という感覚で仕事を続けることになってしまうため、気付いた時に修正するという習慣が必要です。

 

では早速、倉庫レイアウトに必要な項目を挙げながら改善検討していきましょう。

 

倉庫の建屋外にはトラックポートや待機場が必要になります。ここでは、トラックが物流倉庫で積み込みを行う際、長時間待たされるという問題が発生しています。この問題解消のためには、トラックダイヤを定めるとともに荷揃えを行うなど、トラック荷役時間の低減が求められます。

 

しかし、これでも自身の積み込み時間より前に到着することになるでしょうから、一定のトラック待機場が必要になるのです。トラックポートの数も適正化しましょう。ある程度トラックが平準化されることを前提に、ポートの適正数を算出し、その数を物流倉庫に設置しなければなりません。またトラックポートは屋根下に設置し、雨天時荷役への配慮を行います。

 

トラックポートには一つに1台ずつフォークリフトを配置します。そのため、フォークリフト置場もレイアウトの中に設ける必要があります。もちろん、フォークリフトの燃料置場も忘れずに確保しましょう。バッテリーフォークの場合は充電場所も必要となってきます。

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

2.荷受場と出荷場の改善

◆ まずは物流倉庫の荷受場と出荷場の改善から

物流倉庫改善の取り組みにおいて、倉庫の荷受場と出荷場の改善は真っ先に取り組むべき場所ではないでしょうか。この場所で物が詰まると、清々とした物流を構築することはできません。この2つの場所で共通するキーワードは「分かりやすい」です。なぜなら、トラックドライバーや納入業者など、外部の人たちが来て作業する場所でもあるからです。

 

外部の人たちが初めて来た時に迷わず、作業ができるエリアづくりに努めましょう。例えば出荷場であれば、トラックドライバーが積むべき荷物・商品がすぐ分かるようにしておくことです。そのためには「トラック単位の荷揃え」を行い「納品書を準備」し、分かりやすい「表示」を設置して効率化を図ります。荷受場であっても同様です。どこに荷降ろしをしたらよいのかが瞬時に判断できるよう、大きな表示を付けておくようにしましょう。

 

そして2つの場所でともに改善しなければならないのが、トラックからの距離でしょう。荷役時に長距離運搬が求められるとそれだけ時間がかかり、トラックの滞留時間を延ばしてしまいます。また荷降ろし時に、あまりにも多くの分散されたエリアに、荷を仕分ける作業もトラック滞留時間を延長させてしまいます。

 

物流倉庫の改善ポイントは「第三者の立場」で倉庫を見て判断することです。そこで効果的だと思われる方法は、社内で普段あまり現場と接点のない部署の人から意見を聞いてみることです。その人たちは倉庫という物流現場にとっては、どちらかというと第三者に近いため、外部の人の意見に近いものが得られる可能性があります。

 

荷受場、出荷場でもう一つ気を配らなければならない場所があります。それは通箱(容器)とパレット置場です。これらは納入業者に返却する必要があります。またこれらは汎用的に活用が可能であるため、紛失防止のための管理も必要になります。

 

時々、特定の会社の名前が入ったパレットを、その会社とまったく関係のない場所で見掛けることがありますが、これは本来のルートから外れ、流出してしまった可能性があると考えられます。多くの会社でパレットや容器の流出(紛失)に悩んでいるようです。しかし、これは会社の管理方法に問題があると考えられます。

 

3.ロケーション管理

◆ ロケーション管理:誤出荷の発生を防ぐ~管理手法と注意点

物流倉庫内を改善する場合、ロケーション管理について注意するとよいと思います。このエリア管理をしっかりしていないと、誤出荷につながる可能性があるためです。

 

ロケーション管理には「固定ロケーション」と「フリーロケーション」があります。前者は物の置き場所を固定する管理方法です。列車でいえば「指定席」です。一方後者は置き場所を特定せず、その都度空いている場所に保管する方法でこちらは「自由席」ということになります。

 

(1)固定ロケーション

固定ロケーションは、場所が常に固定されているため置き場所が分かりやすく、新人作業者でもすぐに仕事をすることが可能です。ただ、商品の出方が変わったり廃止になった際は、置き場所のメンテナンスが必要になります。若干の煩(わずら)わしさがありますが、間違いを防ぐためには効果的な管理方法といえます。 

 

固定ロケーションの場合には、棚番号を「何丁目、何番地、何号」といった数字とアルファベットを組み合わせるなど、分かりやすい表示にしましょう。

 

例えばAゾーンの5番通路の左棚の17間口であれば「A―5-L17」といったコードを付けることになります。

 

(2)フリーロケーション

フリーロケーションは、商品の出方が変わっても置き場所のメンテナンスは不要で、管理上は容易な方法といえます。しかし都度置き場所が変わると倉庫内作業者の迷いが発生します。迷いによるロス時間、つまり探し回る時間がもったいないので、これをいかに防ぐか工夫が必要です。愚直な改善方法になりますが、2Sを徹底するとともに大きな看板をつけるとか倉庫内マップを掲示するなど、泥臭い手を打っていくことが効率化につながるでしょう。

 

◆ ピッキング作業指示の出し方を考える

倉庫内のロケーションが定まったら、ピッキング作業の指示の出し方にも改善余地がありますので検討していきましょう。

【ピッキング作業者にさせてはならない行為】

  • 探す
  • 開梱する
  • 歩く
  • 伸び上がる、かがむ
  • 取り出し時に手間取る

 

このような行為を発生させないように、ピッキング場と作業指示の与え方を考えることが必要です。また棚の高さやロケーションの設置位置についても工夫が必要です。

 

よく保管在庫なのか、ピッキング用在庫なのか分からなくなっているケースを見掛けます。保管在庫は納入業者から納入された在庫をすべてピッキング場に払い出すと、間口が増え歩行を増やす要因となります。もちろん小ロットで納入されていれば問題はありませんが、概して調達ロットとピッキングによる出荷ロットの大きさは異なります。そこで在庫保管場所の改善も必要になってくるわけです。

 

物流倉庫の改善とは(その2)に続きます。

 

 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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