輸送・保管・荷役・包装・流通加工 物流現状把握の重要性(その3)

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サプライチェーンマネジメント

 

前回の物流現状把握の重要性(その2)に続けて解説します。

 

7. 物流KPI

物流にはさまざまな業務がありますからKPIの種類は多岐にわたりますが、簡単に物流のパフォーマンスを測ることができるKPIについて考えてみましょう。倉庫でも工場でも共通に使えるKPIとして一人一時間あたり処理数が挙げられるでしょう。このKPIはいろいろな業務に応用できますのでぜひ覚えておいて下さい。

 

もし運搬作業であればこのKPIは「一人一時間あたり運搬量」ということになります。ここで取り決めておかなければならないのは運搬量の定義です。物流では一般的には㎥やトンが使われます。ということでこのいずれかということで始めてみてはいかがかと思います。

 

主として嵩が張るものを扱っているのであれば「㎥」、重たいものを扱っているのであれば「トン」でよいと思います。これを「箱数」とすることもありだと思います。要は「容易にその基礎データを把握できるか」です。いくつものデータを引っ張り出して計算しなければつかめないKPIは長続きしません。シンプルイズザベストです。

 

ピッキング作業であれば「一人一時間あたり処理件数」となります。処理件数は個数であったりオーダー件数であったりします。物流業界では「ピッキング行数」をデータに持ってくる指標を使うことが多いようです。「行数」てゃ聞き慣れない言葉かもしれません。これはオーダーシートの中にある「オーダー」のことを示しています。一行の中に一つの品目をいくつ、と表現されていることが多いと思います。

 

将来的に市場ベンチマークをするのであればこういった今あるKPIに合わせておくことも一つの方法です。まずは無理せずにその会社ですぐに把握できるデータを使ってKPIとしましょう。別の角度から見ると「一出荷あたり労働時間」というKPIも考えられると思います。一回の出荷にどれくらいの労働時間をかけているかという指標になります。

 

その物流現場でかけている経費が把握できればもう少し高度化した物流KPIを設定することができます。この経費には人件費や倉庫費、設備費や燃料費、本社経費などさまざまな費目が含まれます。これをデータで持って来て「売上高」と比較してみましょう。つまり売上高物流経費比率というKPIが出来上がるのです。

 

まず物流現状把握では実態を客観的に示す数値データが必要になるのです。そこで簡単なKPIを作ってそれを運用していくことが望ましいと思われるのです。最初は無理せず、あまり背伸びせずに数値管理を始めてみましょう。

サプライチェーンマネジメント

 

8. サプライチェーンの視点

さまざまなフィールドで物流業務が行われています。その関係で物流に対する考え方や物流業務の範囲なども異なります。たとえばメーカーにおける物流業務について考えてみましょう。メーカーはサプライチェーンのオーナーになりますので業界の中でも最も広い物流領域を管理していると思われます。

 

サプライチェーンの重要機能の中に「在庫」が挙げられます。物流管理の中で在庫といえば入ってきた数量と出ていった数量を把握することで在庫の量を掴んでおくという業務が一般的であると思われます。物流事業者を含め、メーカーの物流部門ではこの在庫に関する最低限の業務は実施しています。しかし少し進んだ会社では在庫量のコントロールも実施しています。

 

在庫量のコントロールをするためには「買い方」や「つくり方」を統制する必要があります。そのため物流部門が「調達行為」や「生産管理」を行っていることがあるのです。これは純粋な物流業務というよりサプライチェーンマネジメントの一部といったほうが正しいと思われます。

 

こういった業務は自分たちの業務とは思っていない会社の場合、それを実施している会社とは話がかみ合わないことが考えられます。最初は今の守備範囲でもかまいません。その範囲でしっかりと現状把握をし、必要な改善を実施していくことが必要でしょう。

 

ただし次は仮に他部門がやっているとしてもその業務についての現状把握が求められます。と言いますのも私たちは単なる物流的業務だけではなくサプライチェーンを管理していかなければならないからです。入りと出を管理して残った在庫の数を把握するのは「受け身の管理」です。そうではなく在庫を適正な数量にコントロールすることこそが真の在庫管理なのです。

 

そのために在庫発生の要因である「買い」や「つくり」についても知見を広め自ら実行していくことが求められるのです。メーカーでは生産現場での物流的作業についても「他人事」のように考えている会社があります。今度は「それは製造の仕事だから物流は関与していない」という考え方です。しかし物流の守備範囲は広いということを今一度認識していただきたいのです。サプライチェーンといった広い視野が求められるわけです。

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

9. メーカー物流の使命

サプライチェーンのオーナーといえばメーカーですが、メーカーのサプライチェーンはものの調達から始まります。サプライチェーンにおける物流の位置づけについてはっきりとさせておくことが望ましいと思います。メーカーの物流の使命は何なのでしょうか。このプロセスにおける物流の使命は調達を効率よく実施していくことでしょう。

 

物流の現状を把握するには調達ロットが挙げられます。調達ロットはジャストインタイムを志向する工場から見ると小さい方が望ましいのです。一方で調達コストも下げることが物流には課されています。つまり調達物流コストも現状把握のためのKPIになります。もちろん調達物流を実施している会社であることが条件ではありますが。

 

工場にものが届いたら今度はそれを生産ラインに供給する作業が待っています。この業務における物流の使命は生産ラインの効率化です。生産ラインの作業者がいかに使う部品を簡単に取ることができるかで物流の貢献度を測ることができます。生産ライン作業者が「歩行せずに」「手を伸ばすだけで」部品が取れることが理想です。

 

これを実現できているかは生産ライン作業者が歩行なしで取れる部品比率などといったKPIが考えられます。生産ラインに対するサービス度の現状を把握すること...

サプライチェーンマネジメント

 

前回の物流現状把握の重要性(その2)に続けて解説します。

 

7. 物流KPI

物流にはさまざまな業務がありますからKPIの種類は多岐にわたりますが、簡単に物流のパフォーマンスを測ることができるKPIについて考えてみましょう。倉庫でも工場でも共通に使えるKPIとして一人一時間あたり処理数が挙げられるでしょう。このKPIはいろいろな業務に応用できますのでぜひ覚えておいて下さい。

 

もし運搬作業であればこのKPIは「一人一時間あたり運搬量」ということになります。ここで取り決めておかなければならないのは運搬量の定義です。物流では一般的には㎥やトンが使われます。ということでこのいずれかということで始めてみてはいかがかと思います。

 

主として嵩が張るものを扱っているのであれば「㎥」、重たいものを扱っているのであれば「トン」でよいと思います。これを「箱数」とすることもありだと思います。要は「容易にその基礎データを把握できるか」です。いくつものデータを引っ張り出して計算しなければつかめないKPIは長続きしません。シンプルイズザベストです。

 

ピッキング作業であれば「一人一時間あたり処理件数」となります。処理件数は個数であったりオーダー件数であったりします。物流業界では「ピッキング行数」をデータに持ってくる指標を使うことが多いようです。「行数」てゃ聞き慣れない言葉かもしれません。これはオーダーシートの中にある「オーダー」のことを示しています。一行の中に一つの品目をいくつ、と表現されていることが多いと思います。

 

将来的に市場ベンチマークをするのであればこういった今あるKPIに合わせておくことも一つの方法です。まずは無理せずにその会社ですぐに把握できるデータを使ってKPIとしましょう。別の角度から見ると「一出荷あたり労働時間」というKPIも考えられると思います。一回の出荷にどれくらいの労働時間をかけているかという指標になります。

 

その物流現場でかけている経費が把握できればもう少し高度化した物流KPIを設定することができます。この経費には人件費や倉庫費、設備費や燃料費、本社経費などさまざまな費目が含まれます。これをデータで持って来て「売上高」と比較してみましょう。つまり売上高物流経費比率というKPIが出来上がるのです。

 

まず物流現状把握では実態を客観的に示す数値データが必要になるのです。そこで簡単なKPIを作ってそれを運用していくことが望ましいと思われるのです。最初は無理せず、あまり背伸びせずに数値管理を始めてみましょう。

サプライチェーンマネジメント

 

8. サプライチェーンの視点

さまざまなフィールドで物流業務が行われています。その関係で物流に対する考え方や物流業務の範囲なども異なります。たとえばメーカーにおける物流業務について考えてみましょう。メーカーはサプライチェーンのオーナーになりますので業界の中でも最も広い物流領域を管理していると思われます。

 

サプライチェーンの重要機能の中に「在庫」が挙げられます。物流管理の中で在庫といえば入ってきた数量と出ていった数量を把握することで在庫の量を掴んでおくという業務が一般的であると思われます。物流事業者を含め、メーカーの物流部門ではこの在庫に関する最低限の業務は実施しています。しかし少し進んだ会社では在庫量のコントロールも実施しています。

 

在庫量のコントロールをするためには「買い方」や「つくり方」を統制する必要があります。そのため物流部門が「調達行為」や「生産管理」を行っていることがあるのです。これは純粋な物流業務というよりサプライチェーンマネジメントの一部といったほうが正しいと思われます。

 

こういった業務は自分たちの業務とは思っていない会社の場合、それを実施している会社とは話がかみ合わないことが考えられます。最初は今の守備範囲でもかまいません。その範囲でしっかりと現状把握をし、必要な改善を実施していくことが必要でしょう。

 

ただし次は仮に他部門がやっているとしてもその業務についての現状把握が求められます。と言いますのも私たちは単なる物流的業務だけではなくサプライチェーンを管理していかなければならないからです。入りと出を管理して残った在庫の数を把握するのは「受け身の管理」です。そうではなく在庫を適正な数量にコントロールすることこそが真の在庫管理なのです。

 

そのために在庫発生の要因である「買い」や「つくり」についても知見を広め自ら実行していくことが求められるのです。メーカーでは生産現場での物流的作業についても「他人事」のように考えている会社があります。今度は「それは製造の仕事だから物流は関与していない」という考え方です。しかし物流の守備範囲は広いということを今一度認識していただきたいのです。サプライチェーンといった広い視野が求められるわけです。

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

9. メーカー物流の使命

サプライチェーンのオーナーといえばメーカーですが、メーカーのサプライチェーンはものの調達から始まります。サプライチェーンにおける物流の位置づけについてはっきりとさせておくことが望ましいと思います。メーカーの物流の使命は何なのでしょうか。このプロセスにおける物流の使命は調達を効率よく実施していくことでしょう。

 

物流の現状を把握するには調達ロットが挙げられます。調達ロットはジャストインタイムを志向する工場から見ると小さい方が望ましいのです。一方で調達コストも下げることが物流には課されています。つまり調達物流コストも現状把握のためのKPIになります。もちろん調達物流を実施している会社であることが条件ではありますが。

 

工場にものが届いたら今度はそれを生産ラインに供給する作業が待っています。この業務における物流の使命は生産ラインの効率化です。生産ラインの作業者がいかに使う部品を簡単に取ることができるかで物流の貢献度を測ることができます。生産ライン作業者が「歩行せずに」「手を伸ばすだけで」部品が取れることが理想です。

 

これを実現できているかは生産ライン作業者が歩行なしで取れる部品比率などといったKPIが考えられます。生産ラインに対するサービス度の現状を把握することが必要になるのです。ものが出来上がったらタイムリーに出荷場まで運搬します。この現状把握は効率的な物流ができているかどうかを見ましょう。

 

物流作業者が一人で一時間あたりどれくらいの量を運搬できているかを把握してみましょう。タイムリーな物流ができているかどうかは生産ラインエンドでの完成品の滞留時間を調べてみるとよいかもしれません。そして完成品を顧客のもとに運びます。この場合も納入リードタイムや物流コストが現状把握のKPIになるでしょう。いかに少ない在庫で対応できているかもポイントになります。出荷物流効率化のためには「トラック合わせ生産」を実施することも効果的です。トラックに積載できる量を生産ロットとするやり方です。

 

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いかがでしょうか。サプライチェーンを支える立場にある物流にはさまざまな貢献すべき要素があることをお分かりいただけたのではないでしょうか。サプライチェーンという広い視点で物流は取り組んでいくことが必要です。そのために物流の現状を正しく把握し修正が必要な個所は直すことでより高度な物流サービスを実施していきましょう。

 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


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