グローバルサプライチェーンへの貢献(その2)

投稿日

 前回のその1に続いて解説します。  
 

1.発注、生産、出荷

 SCM4PL的な位置づけを狙うことができればこのグローバル化の時代、そして競争がタフな時代にあっても十分生き残ることができるでしょう。グローバルサプライチェーンでのキーワードに在庫があると思います。そこでまず、在庫についてしっかりとコントロールできるようにしておく必要があります。在庫のコントロールというと、物流的発想では預かった荷物を品質を保ちながら保管すること、というイメージになりがちですがこれでは不足しています。在庫は数量がきっちりと管理されていることが重要です。この在庫の数量はある行為の結果に過ぎないということは皆さんお分かりかと思います。
 
 その行為とは発注、生産、出荷ということになります。これらが在庫を一定に保つためのキー行為となっているわけです。そこでこの発注、生産、出荷の各行為のロジックがわかっていないと在庫を適正化することは困難だと言えるでしょう。
 
 これら各行為は単なる保管行為だけを行っていては身に付きません。まずは机上でも良いので、しっかりと学ぶ姿勢が大切でしょう。物流マン向けの資格にロジスティクス管理がありますが、この中では、発注、生産、出荷の各行為のロジックについてほとんど触れられていませんので、別の講座で勉強する必要があります。
 
 一方で、中小企業診断士試験向けの勉強ではこれらについて浅くではありますが包含されていますので、テキストを見て勉強するのも一つの方法です。サプライチェーンマネジメントを4PLとして取り組む会社は物流会社やメーカーに限らず商社などでもやろうと考えるところがあるかもしれません。 商社の場合は売りと買いの部分は得意中の得意ですので、比較的取り組みやすいかもしれません。
 

2.生産

 生産のコントロールについても理屈は机上で学ぶことが可能です。しかし生産過程では品質や設備の問題、スキルの問題などさまざまな要素が絡むだけに少々やっかいだと言えるかもしれません。これを学ぶために有効な手段があります。それは実際に工場で仕事をすることです。「えっ!工場で実際にものづくりをやるの?」と疑問を抱かれる方もいらっしゃるでしょう。
 
 工場で仕事をするとは「工場内物流」を受注して実施するということです。工場の中では資材の運搬や生産ラインへの供給、ピッキング作業や梱包作業、完成品の引き取りから出荷作業などさまざまな物流業務が存在します。そこでこの「工場内物流」を受注して実際に生産に触れることが早道だと思います。メーカー物流は物流会社にとっては魅力的です。このメーカー物流に入り込むきっかけとして最も有効な手段が「工場内物流」を受注することなのです。
 
 工場内物流をやっているといろいろなシチュエーションに遭遇します。資材が不足しそうなので、生産を切り替えるとか、大幅に受注が増えて資材在庫が不足するとか、そのシチュエーションはさまざま...
 前回のその1に続いて解説します。  
 

1.発注、生産、出荷

 SCM4PL的な位置づけを狙うことができればこのグローバル化の時代、そして競争がタフな時代にあっても十分生き残ることができるでしょう。グローバルサプライチェーンでのキーワードに在庫があると思います。そこでまず、在庫についてしっかりとコントロールできるようにしておく必要があります。在庫のコントロールというと、物流的発想では預かった荷物を品質を保ちながら保管すること、というイメージになりがちですがこれでは不足しています。在庫は数量がきっちりと管理されていることが重要です。この在庫の数量はある行為の結果に過ぎないということは皆さんお分かりかと思います。
 
 その行為とは発注、生産、出荷ということになります。これらが在庫を一定に保つためのキー行為となっているわけです。そこでこの発注、生産、出荷の各行為のロジックがわかっていないと在庫を適正化することは困難だと言えるでしょう。
 
 これら各行為は単なる保管行為だけを行っていては身に付きません。まずは机上でも良いので、しっかりと学ぶ姿勢が大切でしょう。物流マン向けの資格にロジスティクス管理がありますが、この中では、発注、生産、出荷の各行為のロジックについてほとんど触れられていませんので、別の講座で勉強する必要があります。
 
 一方で、中小企業診断士試験向けの勉強ではこれらについて浅くではありますが包含されていますので、テキストを見て勉強するのも一つの方法です。サプライチェーンマネジメントを4PLとして取り組む会社は物流会社やメーカーに限らず商社などでもやろうと考えるところがあるかもしれません。 商社の場合は売りと買いの部分は得意中の得意ですので、比較的取り組みやすいかもしれません。
 

2.生産

 生産のコントロールについても理屈は机上で学ぶことが可能です。しかし生産過程では品質や設備の問題、スキルの問題などさまざまな要素が絡むだけに少々やっかいだと言えるかもしれません。これを学ぶために有効な手段があります。それは実際に工場で仕事をすることです。「えっ!工場で実際にものづくりをやるの?」と疑問を抱かれる方もいらっしゃるでしょう。
 
 工場で仕事をするとは「工場内物流」を受注して実施するということです。工場の中では資材の運搬や生産ラインへの供給、ピッキング作業や梱包作業、完成品の引き取りから出荷作業などさまざまな物流業務が存在します。そこでこの「工場内物流」を受注して実際に生産に触れることが早道だと思います。メーカー物流は物流会社にとっては魅力的です。このメーカー物流に入り込むきっかけとして最も有効な手段が「工場内物流」を受注することなのです。
 
 工場内物流をやっているといろいろなシチュエーションに遭遇します。資材が不足しそうなので、生産を切り替えるとか、大幅に受注が増えて資材在庫が不足するとか、そのシチュエーションはさまざまですが、生きたサプライチェーンの一端も体験することができます。そして知らず知らずのうちに生産管理のスキルも身につくのです。その意味で「工場内物流」を実際にやってみることは非常にお勧めだと言えるでしょう。
 
 このようにして徐々に発注、生産、出荷のスキルがついてくれば、その仕事を荷主から受注し実際にやってみることです。倉庫での保管業務をやっているのであれば荷主が行っている「発注業務」を代ってやるように話をしていきましょう。ここで尻込みしていたら進歩はありません。在庫管理は荷主の仕事、という固定観念を捨てきれなければサプライチェーンマネジメントなどできるはずがありません。
 
 次回、その3は、輸出入についてです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
物流不良撲滅 物流品質の向上 (その3)

1.製造品質に影響を与える供給品質不良を撲滅する  前回の第2回に続いて解説します。工場における物流の使命として、生産ラインに「安心して製造作業に専...

1.製造品質に影響を与える供給品質不良を撲滅する  前回の第2回に続いて解説します。工場における物流の使命として、生産ラインに「安心して製造作業に専...


物流改善ネタ出し講座 【連載記事紹介】

  物流改善ネタ出し講座の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆物流は宝の山 「物流は宝の山だ...

  物流改善ネタ出し講座の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆物流は宝の山 「物流は宝の山だ...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その11)

1.予測できない売行き    前回のその10に続いて解説します。何がいつからどのくらい売れるのか、だれも予測できません。だから欠品になるので...

1.予測できない売行き    前回のその10に続いて解説します。何がいつからどのくらい売れるのか、だれも予測できません。だから欠品になるので...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流時間管理の基本

  1. 標準化の必要性  製造メーカーであれば必ずといってよいほど整備されているのが「標準時間」です。この元には標準作業が決められており、誰もが...

  1. 標準化の必要性  製造メーカーであれば必ずといってよいほど整備されているのが「標準時間」です。この元には標準作業が決められており、誰もが...


物流安全の勘所、危険を感じたらそこで仕事を止める勇気を持つこと

    1. 荷役安全と運輸安全マネジメント 物流は特に安全上の注意が必要な業務ですが、どんな仕事であれ安全第一であることは間違いありませ...

    1. 荷役安全と運輸安全マネジメント 物流は特に安全上の注意が必要な業務ですが、どんな仕事であれ安全第一であることは間違いありませ...


意図的な安い価格:協力会社との取引(その2)

  ◆ハネムーン価格に注意 皆さんはハネムーン価格という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。これはその会社と取引したいために意...

  ◆ハネムーン価格に注意 皆さんはハネムーン価格という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。これはその会社と取引したいために意...