物流の勉強方法について考える

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1. 経営者層の学び方

SCM
 物流についてどのような方法で勉強されていますでしょうか。特に今まで物流に全く関わってこなかった人が突然物流の仕事に就くことがあります。このような状況に置かれると、好むと好まざるにかかわらず物流の勉強をしなければならなくなります。親会社から突然物流子会社に出向になる時などがその例です。もし物流子会社の社長に任命されたらどうするでしょうか。今までは営業一筋でやってきたけれど、突然物流全般を見なければならなくなったとしたらこれは大変苦労すると思います。その会社のトップですから、業務を知らないというわけにはいきません。てっとり早く学ぶためには、物流経営者のための講座に通うことかもしれません。「物流経営塾」のような物流会社の経営層を対象にした講座があります。こういった講座では、物流会社経営全般に関わる内容でのカリキュラムが用意されています。そこで講座に参加するとともに、人脈を広げ、いろいろなことを教えてもらうことが効果的だと考えられます。自社だけではなく、他社の人たちと交歓を交えることで視野も一気に広がることでしょう。ぜひお金を払ってでも参加されることをお勧めします。
 
 そのような講座に通えない場合はどうしたらよいでしょうか。その場合にはとにかく現場に出かけていって、担当者と話をすることをお勧めします。現場に行くことで物流の現状を肌で感じることができます。物流の作業についても自分の目で見ることができますので、まさに3現主義で知識を吸収することができます。一方で物流に関する基礎知識は書籍などで覚えていくしかないかもしれません。ビジネスキャリア検定のロジスティクス管理のテキストなどは最適かもしれません。この検定試験向けの講座もありますので、時間があれば参加してみるのも一つの方法です。
 

2. 関連知識を学ぶ

 物流に関する基礎知識は途中から物流の仕事に就くことになった人は意図的に学ぶ必要があります。なぜなら物流には特殊な用語が多く、これが職場では当たり前に使われているからです。もし言葉がチンプンカンプンであったとすると、仕事をこなすことができずにストレスだけが溜まってしまいがちです。そうならないためにも、まずは基本中の基本を書籍から学ぶとよいと思います。この時に使う書籍としましては、前回紹介したロジスティクス管理テキストが最適です。物流の基礎知識とともに知っておくべき知識として「生産管理」が挙げられます。
 
 物流は物流管理という狭い範囲だけを見ていくべきではありません。今やサプライチェーン全体を見ていくことが求められているからです。特に物流はものを動かす立場にあるため、サプライチェーンのいたるところで出番があります。その中ではリードタイムを短縮する目的での在庫の話が出てきます。ものの買い方やつくり方の結果として在庫が発生します。サプライチェーン上では極力在庫を少なくしたいわけですから、買い方やつくり方を工夫することが重要になってくるのです。実はこういった在庫管理について学ぶ最も効果的な方法が生産管理について勉強することです。物流には在庫管理や生産管理は関係ないと考えている人を見かけますが、これは大きな間違いです。
 
 特に今後営業拡大したいと考えている物流会社の営業担当者にとって生産管理の知識は必須です。ではどのように学んだらよいでしょうか。メーカー荷主といろいろな話をすることが一つの方法です。グローバルサプライチェーンを持っている会社と話をするとさまざまな学びがあると思います。そのような顧客がいない場合にはやはり書籍から学ぶことになります。在庫削減のポイントやリードタイム短縮の方法を学ぶことができます。できれば会社の教育カリキュラムの中に生産管理を入れるとよいでしょう。
 

3. 物流コストを学ぶ

 どの会社にとってみても「物流コスト」に関する知識は大変重要です。しかし自社でどのくらい物流コストがかかっているのかを正確に答えられる会社はそれほど多くありません。荷主会社にしてみると、物流業務をアウトソースしている場合には支払コストを見れば物流コストがわかります。しかし、すべての業務をアウトソースしていないのであればその領域についてしっかりと把握が必要になります。物流コストは財務会計では把握できないという特徴があります。会社内でしっかりと管理会計を行っていればよいのですが、そうでない場合には把握に少々手間取ることでしょう。物流に携わる者はこの「物流コスト」に関する知識をきちんと学ばなければなりません。物流コストは領域別分類、機能別分類、主体別分類、変固別分類という切り口で見ることができます。ここではそれぞれの内容の説明は省きますが、物流担当者はこのような切り口で見ていくのだということを知っていなければなりません。
 
 物流コストはよく売上高対比で把握されることがあります。いわゆる売上高物流コスト比率...

1. 経営者層の学び方

SCM
 物流についてどのような方法で勉強されていますでしょうか。特に今まで物流に全く関わってこなかった人が突然物流の仕事に就くことがあります。このような状況に置かれると、好むと好まざるにかかわらず物流の勉強をしなければならなくなります。親会社から突然物流子会社に出向になる時などがその例です。もし物流子会社の社長に任命されたらどうするでしょうか。今までは営業一筋でやってきたけれど、突然物流全般を見なければならなくなったとしたらこれは大変苦労すると思います。その会社のトップですから、業務を知らないというわけにはいきません。てっとり早く学ぶためには、物流経営者のための講座に通うことかもしれません。「物流経営塾」のような物流会社の経営層を対象にした講座があります。こういった講座では、物流会社経営全般に関わる内容でのカリキュラムが用意されています。そこで講座に参加するとともに、人脈を広げ、いろいろなことを教えてもらうことが効果的だと考えられます。自社だけではなく、他社の人たちと交歓を交えることで視野も一気に広がることでしょう。ぜひお金を払ってでも参加されることをお勧めします。
 
 そのような講座に通えない場合はどうしたらよいでしょうか。その場合にはとにかく現場に出かけていって、担当者と話をすることをお勧めします。現場に行くことで物流の現状を肌で感じることができます。物流の作業についても自分の目で見ることができますので、まさに3現主義で知識を吸収することができます。一方で物流に関する基礎知識は書籍などで覚えていくしかないかもしれません。ビジネスキャリア検定のロジスティクス管理のテキストなどは最適かもしれません。この検定試験向けの講座もありますので、時間があれば参加してみるのも一つの方法です。
 

2. 関連知識を学ぶ

 物流に関する基礎知識は途中から物流の仕事に就くことになった人は意図的に学ぶ必要があります。なぜなら物流には特殊な用語が多く、これが職場では当たり前に使われているからです。もし言葉がチンプンカンプンであったとすると、仕事をこなすことができずにストレスだけが溜まってしまいがちです。そうならないためにも、まずは基本中の基本を書籍から学ぶとよいと思います。この時に使う書籍としましては、前回紹介したロジスティクス管理テキストが最適です。物流の基礎知識とともに知っておくべき知識として「生産管理」が挙げられます。
 
 物流は物流管理という狭い範囲だけを見ていくべきではありません。今やサプライチェーン全体を見ていくことが求められているからです。特に物流はものを動かす立場にあるため、サプライチェーンのいたるところで出番があります。その中ではリードタイムを短縮する目的での在庫の話が出てきます。ものの買い方やつくり方の結果として在庫が発生します。サプライチェーン上では極力在庫を少なくしたいわけですから、買い方やつくり方を工夫することが重要になってくるのです。実はこういった在庫管理について学ぶ最も効果的な方法が生産管理について勉強することです。物流には在庫管理や生産管理は関係ないと考えている人を見かけますが、これは大きな間違いです。
 
 特に今後営業拡大したいと考えている物流会社の営業担当者にとって生産管理の知識は必須です。ではどのように学んだらよいでしょうか。メーカー荷主といろいろな話をすることが一つの方法です。グローバルサプライチェーンを持っている会社と話をするとさまざまな学びがあると思います。そのような顧客がいない場合にはやはり書籍から学ぶことになります。在庫削減のポイントやリードタイム短縮の方法を学ぶことができます。できれば会社の教育カリキュラムの中に生産管理を入れるとよいでしょう。
 

3. 物流コストを学ぶ

 どの会社にとってみても「物流コスト」に関する知識は大変重要です。しかし自社でどのくらい物流コストがかかっているのかを正確に答えられる会社はそれほど多くありません。荷主会社にしてみると、物流業務をアウトソースしている場合には支払コストを見れば物流コストがわかります。しかし、すべての業務をアウトソースしていないのであればその領域についてしっかりと把握が必要になります。物流コストは財務会計では把握できないという特徴があります。会社内でしっかりと管理会計を行っていればよいのですが、そうでない場合には把握に少々手間取ることでしょう。物流に携わる者はこの「物流コスト」に関する知識をきちんと学ばなければなりません。物流コストは領域別分類、機能別分類、主体別分類、変固別分類という切り口で見ることができます。ここではそれぞれの内容の説明は省きますが、物流担当者はこのような切り口で見ていくのだということを知っていなければなりません。
 
 物流コストはよく売上高対比で把握されることがあります。いわゆる売上高物流コスト比率です。毎年日本ロジスティクスシステム協会が各社にアンケートを取って集約し、公表しています。物流担当者は自社の売上高物流コスト比率がどれくらいかを把握するとともに、業界の平均値も知っておく必要があります。これらについては統計値を読むことや書籍で知識のインプットをするとよいでしょう。また荷主会社の担当者であれば、輸送コストの原価構成は知っておく必要があります。なぜならアウトソースを行っている輸送の料率の妥当性について検証する必要があるからです。
 
 また、倉庫作業につきましても、入庫作業やピッキング作業など主だった作業についてどれくらいのコストでできるのかについても学んでおきましょう。これらの知識が価格交渉の場で役立つことは言うまでもありません。いずれにしましても、競争力のある会社は物流担当者に対してきちんとした教育を行っています。また積極的に勉強をしようとしているスタッフは必ず伸びていくと言えるでしょう。物流業界は今までどちらかというとあまり学ぶことに積極的ではありませんでした。しかしこれからはいかに人材を育て、競争に勝ち抜ける体力をつけたかどうかが会社の命運を分けることでしょう。常に学びの場を持っていきましょう。
 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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