地熱発電、小水力発電 :新環境経営 (その24)
2017-05-11
創エネというと、太陽光発電、風力発電、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電等が浮かびます。太陽光発電、風力発電に続き、今回は地熱発電、小水力発電ついて解説します。
日本は火山列島と呼ばれるほど火山の多い国で地下深部にはマグマが存在し、膨大なエネルギーが眠っています。地熱発電はこのエネルギーの一部を蒸気という形で取り出し利用するもので、エネルギー資源にめぐまれないわが国にとって、純国産の再生可能な貴重なエネルギー資源です。天候に左右されずに、年間を通じて安定した電力を供給することが可能なため、設備利用率が高いことも特徴です。
日本は世界第3位の地熱資源量を保有していながら、設備容量では世界第8位に止まっています。火山も多く、地熱開発の技術水準も高い日本で地熱発電がそれほど盛んでないのは、候補地となりうる場所の多くが国立公園や国定公園に指定されていたり、温泉観光地となっていたりするため、景観を損なう発電所建設に理解を得にくいことも一因です。
地熱開発は、平成になってから約31万kwの開発が行われ、それまでの22万kwの開発と合わせると約53万kwを超える電源となり、ようやく本格的導入段階を迎えています。また近年、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電 (hot dry rock geothermal power:HDR)の技術も開発され、地熱利用の機会を拡大する技術として期待されています。
水力発電は、かっては防災の貯水と発電を担ったダムにより、日本の再生エネルギーの主役を占めていましたが、膨大なエネルギー需要の延びに応えられず、火力発電や原子力発電にとって代わられました。尚、マイクロ水力発電とは小規模な水力発電のことで、用水路、小河川、道路脇の側溝の水流、水道 等々、様々な水流を利用して発電を行うことです。自然環境への負荷が少なく、少ない出費で行うことができます。マイクロ水力発電の明確な定義は存在しませんが、制度上は200kW未満の発電設備で各種手続きが簡素化されるため、この規模のものが総称してマイクロ水力発電と呼ばれています。マイクロ水力発電は過去100年以上の長い歴史を有しており、技術上の課題はほとんど解決されているものの、日本では複数の省庁によって各種規制が設けられ普及を阻害されてきました。
2010年3月31日、経済産業省が所管する200kW未満の発電設備に関する規制の一部または全部が不要とな...
りました。しかし、農水省所管の農業用水に関する規制、国土交通省所管の慣行水利権に係る水利使用の許可手続きなど、他の省庁の規制は依然として残っています。日本では水車で粉をつく(ひく)ことをしてきた長い伝統があり、水車の回転で生じたトルクを、従来のように木の棒(粉をつく棒)に伝えるかわりに小さな発電機に伝えれば発電できるので、日本人にはおなじみの水車づくりのノウハウをほぼそのまま水力発電装置の自作に活かすことができます。蓄電装置と組み合わせれば、かなり安定した電源として使うこともできます。
次回は、バイオマス、藻類燃料について解説します。