新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、について解説してきました。その後省エネについては3回に亘って、創エネについては5回亘って紹介してきました。前回から畜エネですが、今回はNAS電池について解説します。
1. NAS電池とは(以下、日本ガイシの公開資料より)
NAS電池は、負極(マイナス極)にナトリウム(Na)、正極(プラス極)に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを用いて、硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す蓄電池です。NAS電池は、日本ガイシと東京電力によって共同開発されました。「NAS電池」の名称は東京電力の商標です。NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システムで、大容量、高エネルギー密度、長寿命を特長とし、鉛蓄電池の約3分の1のコンパクトサイズで、長期にわたって安定した電力供給が可能です。
NAS電池は、主に大型の蓄電池として施設などに据え付けて利用される。自動車などに利用される鉛蓄電池と比べて軽量であり、数倍の電力量を蓄えることできます。非常用電源としての用途や、揚水発電のように夜間に充電、昼間の電力需要ピーク時に電力供給側に回るといった利用方法や、再生可能エネルギーを使用する発電システムと組み合わせて、天候などに応じて充放電を行い、施設全体の発電量を安定化させるといった用途などに利用できます。長寿命で、原料が入手しやすいという点も利点となっています。
2. NAS電池の事故事例と対応状況
NAS電池は2002年に出荷を開始、2011年現在で、世界6カ国174カ所に30万5千キロワットが設置されています。NAS電池の火災事故は2010年2月に特殊なタイプのNAS電池で発生、更に、2011年9月に三菱マテリアル(株)筑波製作所(茨城県常総市)に設置されているNAS電池システムで発生しました。日本ガイシは、事故を公表して、次の3点を原因究明の結果としました。
1.製造不良の単電池が破壊して高温の溶融物が流出。
2.その溶融物がモジュール電池内のブロック間にある砂層を越えて流出し、隣接するブロックにある単電池との間で短絡(ショート)が発生。
3.短絡した単電池間にヒューズが設置されていなかったため、短絡電流が継続的に流れて発熱したことで多数の単電池が破壊して火災が発生し、当該モジュール電池全体に延焼拡大した。
【対策】
1.短絡電流による火災の発生を防止するため、モジュール電池内の単電池間にヒューズを追加する。
2.流出した...