物流とスキル

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1. 輸送のスキルとは

SCM
 物流の仕事は専門性が強いものと思われます。何故なら多くの会社が物流業務をアウトソースしているからです。自社で簡単にできるのであればわざわざアウトソースしなくても済むのです。その最たる業務が輸送ではないでしょうか。かつては自社でトラックを持ち社員が運転してものを運んでいた時代もありました。しかし、今や輸送はアウトソースが当たり前の時代になりました。安全面からもコスト面からも専業者にアウトソースした方が効果があるからです。アウトソースするかどうかはともかくとして、荷主会社でも物流に関するプロフェッショナルスキルは不要であるということではありません。
 
 輸送業務の原価構成はどのようになっているのかは自社が実際にトラックでものを運ぶ、運ばないに関係なく知っておいた方が良いでしょう。まずは基本知識として物流5機能(輸送、荷役、保管、包装、流通加工)に関する知識を身に付けておくことをお勧めします。それぞれの機能の定義は何なのか、その機能の効率化のポイントはどういった点なのかなど、必要と思われる基礎を学んでおくと良いと思います。
 
 物流の仕事に携わるからには「プロフェッショナルスキル」の習得が求められます。このプロフェッショナルスキルとはその仕事を行うあるいは管理するにあたって必要となる専門的なスキルのことです。例えば経理部門であれば簿記の知識や会計の知識がプロフェショナルスキルです。人事部門であれば給与計算や社会保険の知識などはプロフェッショナルスキルであると言えます。では5機能の内「輸送」に関するプロフェッショナルスキルにはどのようなものがあるでしょうか。いくつか例を挙げてみましょう。
 
・ 輸送モードとその特徴
・ クロスドックやプロセスセンターなどの物流拠点の種類と特徴
・ 鉄道輸送のしくみと料率の考え方
 
 これらは一部に過ぎませんが、この項目はさらに細分化されることになります。そこでこれらの必要知識として何があるのか、まずは洗い出しを行うと良いと思います。
 

2. パッケージング・エンジニア

 物流プロフェッショナルスキルの中でも極めて重要と考えられるスキル、それが「梱包スキル」です。物流5機能の中では「包装」に該当するものです。この梱包スキルですが、そもそも梱包は何で必要なのかをおさらいしてみましょう。まず物を移動させる時に製品を保護するという目的があります。さらに保管時に製品品質を保持するとともに運搬の効率化を図ることです。輸送に際しては輸送モードによっても異なってくる場合があります。輸送ルートや時間によっても異なることがあるでしょう。
 
 例えば、船舶で輸送する際に赤道を通過するかどうか、あるいは赤道を通過しないまでも高温多湿の地域を通過するかどうかで梱包レベルが変わってきます。その最たるものが「防錆仕様」にするかどうかです。遠距離を輸送する場合、船舶輸送なのか航空機輸送なのかによっても差が出てきます。上記のような差は荷主にとってコストの差となって表れます。それだけに梱包仕様は重要であり物流事業者としてスキルを持つとともに顧客に的確なアドバイスができることが望ましい姿でしょう。
 
 これ程重要な機能である包装・梱包でありますが、他の機能に比べて学べる場が少ないような気がしてなりません。社内で梱包スキルを学べるしくみがあればベストなのですが、実際にはそういった会社は少数派かもしれませんね。外部で学べれば社員を派遣して勉強することになるでしょう。輸送会社に頼む梱包は輸送品質を保証するために過剰包装になる懸念があります。しかし荷主としては最小限の梱包仕様とすることでコストを抑えたいところです。
 
 そこで適正な梱包を決定できるスペシャリストが求められます。公平にジャッジできるパッケージング・エンジニアがいれば結構仕事が来るかもしれません。物流業界ではいろいろな勉強の場がありますが、今回お話させていただいた「梱包」に関するカリキュラムを充実させていきたいところです。海外ではこのような仕事を本業とする「パッケージング・エンジニア」がいるそうです。日本でも教育体系の充実とともに本職であるエンジニアを増やしていきたいところです。
 

3. 荷主の必要スキル

 物流プロフェッショナルスキルは何も物流会社だけが身につければ良いというものでもありません。荷主であっても物流を単純に人任せにするのではなく、自らも一定の知識を持ったうえでアウトソースすることを心がけたいものです。何も知らないまま物流をアウトソースすると「期待外れ」な物流になったり、想定外に高額な請求を受けたりすることにつながりかねません。そこで荷主は個々の物流業務の細部まではわからずとも、大体の知識を身に付けたうえで物流会社に仕事の条件提示をしていきましょう。その基本的な知識とは「物量を把握するデータ」を準備し荷量計算できるとか、適正な在庫を計算できるとか、物流会社から提示された価格を精査できるなどの基本的なものです。これらについてしっかりとできている会社はそれほど多くない気がします。と言いますのも荷主会社では物流は「余分な仕事」と考えられがちだからなのです。
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1. 輸送のスキルとは

SCM
 物流の仕事は専門性が強いものと思われます。何故なら多くの会社が物流業務をアウトソースしているからです。自社で簡単にできるのであればわざわざアウトソースしなくても済むのです。その最たる業務が輸送ではないでしょうか。かつては自社でトラックを持ち社員が運転してものを運んでいた時代もありました。しかし、今や輸送はアウトソースが当たり前の時代になりました。安全面からもコスト面からも専業者にアウトソースした方が効果があるからです。アウトソースするかどうかはともかくとして、荷主会社でも物流に関するプロフェッショナルスキルは不要であるということではありません。
 
 輸送業務の原価構成はどのようになっているのかは自社が実際にトラックでものを運ぶ、運ばないに関係なく知っておいた方が良いでしょう。まずは基本知識として物流5機能(輸送、荷役、保管、包装、流通加工)に関する知識を身に付けておくことをお勧めします。それぞれの機能の定義は何なのか、その機能の効率化のポイントはどういった点なのかなど、必要と思われる基礎を学んでおくと良いと思います。
 
 物流の仕事に携わるからには「プロフェッショナルスキル」の習得が求められます。このプロフェッショナルスキルとはその仕事を行うあるいは管理するにあたって必要となる専門的なスキルのことです。例えば経理部門であれば簿記の知識や会計の知識がプロフェショナルスキルです。人事部門であれば給与計算や社会保険の知識などはプロフェッショナルスキルであると言えます。では5機能の内「輸送」に関するプロフェッショナルスキルにはどのようなものがあるでしょうか。いくつか例を挙げてみましょう。
 
・ 輸送モードとその特徴
・ クロスドックやプロセスセンターなどの物流拠点の種類と特徴
・ 鉄道輸送のしくみと料率の考え方
 
 これらは一部に過ぎませんが、この項目はさらに細分化されることになります。そこでこれらの必要知識として何があるのか、まずは洗い出しを行うと良いと思います。
 

2. パッケージング・エンジニア

 物流プロフェッショナルスキルの中でも極めて重要と考えられるスキル、それが「梱包スキル」です。物流5機能の中では「包装」に該当するものです。この梱包スキルですが、そもそも梱包は何で必要なのかをおさらいしてみましょう。まず物を移動させる時に製品を保護するという目的があります。さらに保管時に製品品質を保持するとともに運搬の効率化を図ることです。輸送に際しては輸送モードによっても異なってくる場合があります。輸送ルートや時間によっても異なることがあるでしょう。
 
 例えば、船舶で輸送する際に赤道を通過するかどうか、あるいは赤道を通過しないまでも高温多湿の地域を通過するかどうかで梱包レベルが変わってきます。その最たるものが「防錆仕様」にするかどうかです。遠距離を輸送する場合、船舶輸送なのか航空機輸送なのかによっても差が出てきます。上記のような差は荷主にとってコストの差となって表れます。それだけに梱包仕様は重要であり物流事業者としてスキルを持つとともに顧客に的確なアドバイスができることが望ましい姿でしょう。
 
 これ程重要な機能である包装・梱包でありますが、他の機能に比べて学べる場が少ないような気がしてなりません。社内で梱包スキルを学べるしくみがあればベストなのですが、実際にはそういった会社は少数派かもしれませんね。外部で学べれば社員を派遣して勉強することになるでしょう。輸送会社に頼む梱包は輸送品質を保証するために過剰包装になる懸念があります。しかし荷主としては最小限の梱包仕様とすることでコストを抑えたいところです。
 
 そこで適正な梱包を決定できるスペシャリストが求められます。公平にジャッジできるパッケージング・エンジニアがいれば結構仕事が来るかもしれません。物流業界ではいろいろな勉強の場がありますが、今回お話させていただいた「梱包」に関するカリキュラムを充実させていきたいところです。海外ではこのような仕事を本業とする「パッケージング・エンジニア」がいるそうです。日本でも教育体系の充実とともに本職であるエンジニアを増やしていきたいところです。
 

3. 荷主の必要スキル

 物流プロフェッショナルスキルは何も物流会社だけが身につければ良いというものでもありません。荷主であっても物流を単純に人任せにするのではなく、自らも一定の知識を持ったうえでアウトソースすることを心がけたいものです。何も知らないまま物流をアウトソースすると「期待外れ」な物流になったり、想定外に高額な請求を受けたりすることにつながりかねません。そこで荷主は個々の物流業務の細部まではわからずとも、大体の知識を身に付けたうえで物流会社に仕事の条件提示をしていきましょう。その基本的な知識とは「物量を把握するデータ」を準備し荷量計算できるとか、適正な在庫を計算できるとか、物流会社から提示された価格を精査できるなどの基本的なものです。これらについてしっかりとできている会社はそれほど多くない気がします。と言いますのも荷主会社では物流は「余分な仕事」と考えられがちだからなのです。
 
 荷主会社の中で物流に詳しい人が少ない場合、教えられる人も少ないということにつながります。そこで荷主の場合であっても外部に勉強に行くことになります。テーマ別の講座はいろいろとあります。しかし物流の基本を体系だって学べる講座は多くない気がします。例を挙げれば「ロジスティクス管理3級講座」が良いかもしれません。ただしこの講座だけでは不足している部分があることも事実です。そこはテーマ別講座で補足していくことが望ましいのではないでしょうか。
 
 最近何もわからないままアウトソースした荷主が困っているという話があります。何が困っているかというと、事情があって内製化したいものの知識が無くてできない、という悩みです。このような事例もあるようですので荷主会社も基礎的知識を見につけておくことが望ましいのです。それがなければいざという時に困ることになりかねません。
 
 いかがでしょうか。物流に関するプロフェッショナルのスキル習得の重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。最初にも申し上げましたが、どのようなスキルが必要なのか最初に洗い出したうえでその対応を考えていく必要がありそうです。ぜひ皆さんの会社でもプロフェッショナルスキルを向上させ、会社の発展に寄与していきましょう。
  

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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