【中止】米トランプ政権のエネルギー・環境政策と天然ガスの需給、新規LNGプロジェクトの最新動向

欧州やアジアでのLNG需要の見通しや世界各国のLNGプロジェクトの進展を解説

 

日時

会場受講】 2025年3月13日(木)  13:00~16:30
アーカイブ受講】 2025年3月27日(木)  から配信予定(視聴期間:配信から10営業日後まで)
  受講可能な形式:【会場受講】or【アーカイブ配信】のみ 

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    セミナー趣旨

    人為的な地球温暖化はないと考え、石油・天然ガスをはじめとした化石燃料の開発を促進するトランプ政権の誕生により、座礁資産とされた石油・天然ガスの復権の動きが強まっている。バイデン政権が、温室効果ガスを排出し、米国国内の天然ガス価格を上昇させるという懸念から、新規LNG(液化天然ガス)輸出プロジェクトの認可の審査を凍結したことを、トランプ政権は見直す。米国は新規LNGプロジェクトの増加が見込まれ、脱ロシア産天然ガスを目指す欧州、LNGの安定供給を求める日本を含めたアジア諸国にとって、好ましい追い風といえる。

    もともと、脱炭素の流れにおいて、炭酸ガスの排出量が石炭の半分程度と優れた環境特性をもつ天然ガスは、トランジション・エネルギー(脱炭素への過渡期のエネルギー)としての需要が期待されている。石油メジャーのシェルによる予測では、世界のLNG需要は現在の年間4億トンから2040年に6億8,500万トンに増加すると見込まれており、強気の見通しでは2040年に年間8億トンに増加する。2024年に入ってから、LNG調達先の多様化を求めて、三菱商事、三井物産等は、インドネシア、UAE(アラブ首長国連邦)、カナダ、マレーシアの新規LNG開発を表明している。

    有力LNG輸出国カタールは、2024年2月26日に、従来の世界最大の天然ガス田ノース・フィールドの東部、南部に加えて、西部のLNGプロジェクトの開発構想を発表した。カタールは、LNG生産能力を現在の7,700万トンから2030年に1億4,200万トンに増強し、世界最大のLNG輸出国奪回を目指している。トランプ政権は、米国のシェール・ガスを原料としたLNGプロジェクトの輸出認可凍結解除に動き出し、それと同時に、天然ガスの液化プロセスを、従来のガスタービンから太陽光発電による電動化により炭酸ガスの排出を削減し、CCS(炭酸ガス回収・地下貯留技術)と組み合わせ、よりカーボンニュートラルなLNGの生産によって、炭酸ガス排出削減を求める新たな需要家を開拓しようとしている。米国は、シェール・ガスを原料としたLNGの輸出量が、2023年に8,540万トンと、豪州、カタールを抜いて世界最大となり、ロシア産天然ガス脱却を目指す欧州諸国の重要なLNG供給源となっている。米国から欧州へのLNG輸出は、2021年の1,820万トンから2022年には4,770万トンと2,950万トンも増加している。新型コロナウイルスの感染拡大により2020年4月に百万Btu(ブリティッシュ熱量単位)当たり1.825ドルに暴落した極東アジアLNGスポット価格は、ウクライナ危機を受けて2022年3月には百万Btu当たり84.8ドルと史上最高値をつけ、2024年12月時点においても百万Btu当たり14ドル台と高値をつけている。欧州諸国の天然ガス指標価格オランダTTFも、2022年8月には百万Btu当たり94ドルを超えた。その後、欧米諸国の冬が温暖であり、暖房需要が減少したことから、2024年11月に入っても、百万Btu当たり13ドルに低下している。しかし、長期的なLNG需要の増加、LNGスポット価格の上昇を受けて、米国をはじめとして、新規のLNGプロジェクトが相次いで着工への動きを始め、中国、欧州諸国が、米国、カタール等とLNG購入の長期契約を締結している。

    米国のLNGは、アジア諸国から高値で購入する欧州諸国に向かっている。カタールも意欲的なLNG生産能力増強計画を打ち出し、2027年には年産1億2,600万トンを目指し、日本の千代田化工連合は年間生産能力3,200万トンの液化プラントを130億ドル(約1兆7,550億円)で受注している。追加のノース・フィールド西部のプロジェクトの詳細も2025年に決定される。LNGは、脱炭素へのデスティネーション・エネルギー(最終目的のエネルギー)としての評価が始まっている。中国は、炭酸ガスの排出削減、大気汚染防止策から、2023年はLNG輸入を増加させて、世界最大のLNG輸入国に返り咲いた。2024年の冬は暖冬に助けられ、LNGスポット価格は沈静化したものの、2025年の冬に向けて、欧州諸国、米国の暖房需要の増加、アジア諸国の脱炭素への動き、電力需給逼迫等により、極東アジアLNGスポット価格は、再び上昇する可能性が考えられる。

    LNGは、豪州、米国をはじめとした相次ぐ新規LNGプロジェクトの稼働開始により、数年前には2022年までは余剰であると見られていたものの、欧州諸国におけるロシア産天然ガス輸入量(LNG換算年間1億1,400万トン)相当のLNG特需の発生、中国をはじめとしたアジア諸国の経済成長にともなうLNG需要の増加により、2027年頃までLNG需給逼迫が続くという見方に大きく変貌している。ロシアのサハリン2プロジェクト、アークティク2LNGプロジェクト等から欧米の石油メジャー(国際石油資本)が撤退し、ロシアのLNGプロジェクトへのリスクが強まるなか、米国、カタール、UAE、モザンビーグ、インドネシアをはじめとした新規LNGプロジェクトの今後の動向はどうなるのか。乱高下するLNG価格の2025年における見通しと、脱炭素への新規LNGプロジェクトに関連する日本企業の事業戦略について、分かりやすく解説する。

    セミナープログラム

     1.ウクライナ危機の長期化と欧州の脱ロシア産天然ガス-欧州の天然ガス在庫

     2.乱高下するLNGスポット価格の要因と今後-2025年における寒波来襲

     3.長期的な天然ガス需要、LNG需要の見通し-脱炭素と脱ロシア

     4.欧州諸国と中国のLNG需要の見通し-欧州諸国による脱炭素戦略

     5.アジア諸国におけるLNG需要の見通しと日本のLNG経済圏

     6.米国の新規LNGプロジェクトの最新動向-トランプ政権とLNG輸出増強

     7.米国のLNGプロジェクトへの日本による経済支援策の今後

     8.米国に抜かれた豪州LNGプロジェクトの今後の見通し-LNG輸出規制

     9.カタールのLNG生産能力拡張計画の見通し-カタール事業のチャンス

    10.UAEにおける新規LNGプロジェクトと炭酸ガス排出削減プロセス

    11.ロシアのLNGプロジェクトのリスクと今後の見通し-アークティック2

    12.モザンビークLNGの今後の見通し-内乱による不透明感

    13.日本企業によるアセアン諸国へのLNG火力発電プロジェクトの見通し

    14.日本企業による米国の天然ガス火力発電ビジネス-AIによる電力需要

    15.カーボンニュートラルとLNGの現状と今後の見通し-CCSと電動化

    16.LNG燃料船、LNGトラック等による炭酸ガス排出削減

    17.2025年におけるLNG需給とLNG価格の見通し-2025年冬のLNG価格

    18.資機材価格と人件費の高騰に直面するLNGプロジェクトへの経営戦略

    19.2025年のLNGプロジェクトを取り巻く日本企業のとるべきチャンス

    □ 質疑応答 □

    セミナー講師

    和光大学 経済経営学部 教授 岩間 剛一 氏
    略歴
    1981年東京大学法学部卒業
    東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行
    東京銀行本店営業第2部部長代理(エネルギー融資、経済産業省担当)
    東京三菱銀行本店産業調査部部長代理(エネルギー調査担当)
    出向:石油公団企画調査部:現在は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(資源エネルギー・チーフ・エコノミスト)
    出向:日本格付研究所(チーフ・アナリスト:ソブリン、資源エネルギー担当)
    2003年から現職

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    資源工学   政策・行政   地球温暖化対策技術

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