
触媒粒子の粒径・セル内分布や酸化状態、触媒層・ガス拡散層の気孔分布や大きさ、電極/電解質界面での反応層の有無、異物質混入、ガスリークによる電解質膜劣化等々・・
SOFC・SOEC や PEFC・PEMWE における測定・解析手法を基礎から具体例もふまえ解説します!
セミナー趣旨
昨今、脱炭素化社会の実現に向けた様々な取り組みが行われている中、クリーンなエネルギー媒体として水素が注目されている。本セミナーでは、水素の製造・循環にかかわる水電解・燃料電池材料の開発に必要な構造解析手法および方法について解説する。
燃料電池や水電解セルは、長時間試験前後の構造を観察すると様々な変化が見られ、それがセル性能低下と関係する。その劣化メカニズムを解明するには、試験前後のセルの構造を観察して比較するのが一般的である。また、セルの作動環境を模擬した条件で電極触媒等の構造・組成変化をその場観察・測定する場合もある。
一方、セルの構造と性能の関係がわかると、高性能セルの構造設計に関する知見が得られる。
本講座では、セル各部位と特性の関係や、電気化学反応に伴う挙動とその構造について言及した後、様々な状況や目的に応じた構造解析・特性測定手法について述べる。
燃料電池や水電解セルおよび電極の構造を観察する際に特に注目されるのは、触媒粒子の粒径・酸化状態およびセル内での分布、触媒層やガス拡散層の気孔の大きさと分布、触媒層等の厚みなどである。
触媒粒子は電極内の局所的な温度・雰囲気・電位等の変動により酸化状態が変化し、溶解・析出等が起こることにより、粒径や電極内での分布が変化すると考えられている。触媒層やガス拡散層の気孔の大きさ・分布は、反応生成物の流れに関わるため、重要である。
SOFC・SOEC では600℃以上の高温で作動するため、電極/電解質界面などでの反応層の有無なども観察の観点になる。またPEFC・PEMWE では異物質混入やガスリークによる電解質膜の化学劣化が問題となることがある。
これらの電極触媒やセルの構造・組成変化を観察・測定するには、観察したい箇所や範囲( スケール) によって方法を選択し、それに応じて試料を調製する必要がある。
このような各種の目的や状況に応じた様々な分析方法について、その原理から具体的な測定例も交え講義する。
受講対象・レベル
・燃料電池・水電解材料の評価・分析、特に構造解析に携わっている方
・金属セラミックス複合材料の解析にお悩みの方
など
習得できる知識
・電子顕微鏡を中心とした各種構造解析手法の基礎知識
・燃料電池・水電解材料の劣化挙動と、観察用試料調製方法を含む構造解析の進め方
セミナープログラム
1.燃料電池・水電解とエネルギーシステム
2.燃料電池・水電解セルの構造と特性
1)固体高分子形燃料電池・水電解セルの構造と特性
a) セル各部位と特性の関係
b) 電気化学反応に伴う挙動と構造解析
2)固体酸化物形燃料電池・水蒸気電解セルの構造と特性
a) セル各部位と特性の関係
b) 電気化学反応に伴う挙動と構造解析
3.燃料電池・水電解の電極触媒およびセルの構造観察・分析法
1)X線回折(XRD)
a) 測定原理・方法
b) 測定例
2)走査型電子顕微鏡(SEM)
a) 測定原理・方法
b) 測定例
3)集束イオンビーム加工観察(FIB-SEM)
a) 測定原理・方法
b) 測定例
4)透過電子顕微鏡/走査透過電子顕微鏡(TEM/STEM)
a) 測定原理・方法
b) 測定例
5)高エネルギー放射光X線を用いた分析(X線吸収分光(XAFS))
a) 測定原理・方法
b) 測定例
6)その他:X線光電子分光法(XPS)、二次イオン質量分析(SIMS)など
a) 測定原理・方法
b) 測定例
4.燃料電池・水電解の電極触媒およびセルの観察用試料調製法
1)粉砕法
2)機械研磨
3)ミクロトーム
4)イオンミリング
5)集束イオンビーム加工法
5.燃料電池・水電解の電極触媒およびセルのオペランド観察・測定
1)固体高分子形燃料電池を対象としたその場観察・オペランド測定
2)固体酸化物形燃料電池・水蒸気電解セルのその場観察・オペランド測定
<質疑応答>
*途中、小休憩を挟みます。
セミナー講師
九州大学 水素エネルギー国際研究センター 教授 博士(工学) 松田 潤子 氏
■ご略歴
日本ガイシ(株)にてセラミックス材料の開発に従事。
東京大学、国際超電導産業技術研究センターおよび産業技術総合研究所研究員、
九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所助教、同水素エネルギー国際研究センター准教授を経て、現在に至る。
■ご専門および得意な分野・ご研究
材料科学/エネルギー関連材料/電子顕微鏡による構造解析
■本テーマ関連のご活動
日本顕微鏡学会 その場観察分科会 幹事
「グリーン水素製造に向けた水電解および周辺技術」(情報機構刊)分担執筆
https://johokiko.co.jp/publishing/BC231004.php
セミナー受講料
【オンライン受講(見逃し視聴なし)】:1名 46,200円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき35,200円
【オンライン受講(見逃し視聴あり)】:1名 51,700円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき40,700円
*学校法人割引:学生、教員のご参加は受講料50%割引。
受講について
- 配布資料はPDF等のデータで送付予定です。受取方法はメールでご案内致します。
(開催1週前~前日までには送付致します)
※準備の都合上、開催1営業日前の12:00までにお申し込みをお願い致します。
(土、日、祝日は営業日としてカウント致しません。) - 受講にあたってこちらをご確認の上、お申し込みください。
- Zoomを使用したオンラインセミナーです
→環境の確認についてこちらからご確認ください - 申込み時に(見逃し視聴有り)を選択された方は、見逃し視聴が可能です
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受講料
46,200円(税込)/人
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2025/04/17(木)
10:30 ~ 16:30
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