教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成(その6)

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】

 品質教育の必要性を感じつつも、実際にどのような教育を実施したらよいのかを悩んでいるものづくり企業の経営者も多いと思います。今回は、品質教育をテーマに解説します。
◆関連解説『人的資源マネジメントとは』
 

1.全社ぐるみ品質教育の必要性

 
 ISO9000、QC七つ道具、統計的手法、なぜなぜ分析から実験計画法、FMEAなど、現場で必要とされる品質管理教育の二一ズは豊富にあります。品質管理教育の目的として、各部門の役割や立場において必要な品質マネジメントへ の意識向上や、信頼性技術・品質管理手法などのスキル向上などがあげられて、教育プログラムを組むわけですが、分かったような、分からないような、現場に戻って、本当に仕事に生かされているのかどうかとなると、怪しい面も捨てきれません。
 
 また昨今、その乱れが社会問題となっている企業としてのコンプライアンス、モラルの低下など、企業風土自体に品質軽視の風潮も見られ、社員教育どころではなく、経営者も含めた全社教育の必要性を認識すべきです。
 

2.品質重視の経営体制

 
 経営トップは、お客様の立場に立った、品質重視のものづくり、サービス提供の理念・方針を打ち出すべきです。そしてそれを徹底するための、品質マネジメントシステムを構築・運用し、品質方針・目標や重要施策を社長が社内に提示し、徹底を図ります。
 

3.教育ニーズの明確化

 
 様々な品質管理手法を教育するメニューは、世の中を探せば豊富に出てきます。ただ、どれをどのように取り入れて教育するかは、経営トップの方針によります。つまり、経営者の求める製品、サービスを顧客に提供するために必要な人材のスキルとは何か、知識や技能レベルを明確にした後に、では、現実に「うちの社員の実力はどうか」と具体的に、どんな教育が必要か、のニーズが明確になってきます。これなくして、これは必要そうだから・・・と教育メニューを並べても、何となく教育して終わり、となってしまうのは目に見えています。教育メニューの選定、計画立案は、経営トップ自らが品質重視、品質教育の必要性の意思を示すことが最も重要な事なのです。
 

4.品質教育の具体的内容

 
 品質教育の目的は、「品質向上に貢献する人材」の育成です。教育の対象は、直接員、間接員、パート社員、中間管理者などすべての社員が含まれます。むしろ一般社員よりも、管理層の教育の方に力を入れるべきだと思います。
 

◆具体的な教育内容

 

(1)品質の基本

 
 ・良い品質とは
 ・品質管理とはなにか、品質保証とは何か
 ・品質マネジメントシステムの位置づけ、役割
 

(2)改善活動の本質

 
 ・身近な業務の改善活動、QCサークル活動とは
 ・5S改善
 ・全社テーマの改善活動とは
 ・方針管理とは
 

(3)問題解決手法の正しい理解

 
 ・QC七つ道具の使い方
 ・データ分析
 ・測定技法
 ・QCストーリー
 ・根本原因の分析、なぜなぜ分析
 ・ヒューマンエラー対策
 ・FTA
 ・フレームワーク技法(5...
W1H/4M・・・)
 

(4)しくみの教育

 
 ・業務マニュアル・フローの見かた、作成、メンテナンス方法
 ・工程設計、QC工程図
 ・工程FMEA
 ・特殊工程管理
 ・4M変動管理
 ・トレーサビリティー管理
 ・見える管理
 ・外注管理、資材管理
 ・検査工程設計
 

(5)要員別教育

 
 ・開発者向け品質教育(開発工程、信頼性設計、図面管理・・・)
 ・管理者向け品質教育(改善計画、部下育成、多能工化、マネジメント・・・)
 ・間接要員向け教育(業務の見える化と棚卸、改善計画)
 
 

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