教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成(その2)

更新日

投稿日

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】

 社員教育信賞必罰とは、企業にとって利益に貢献した者には必ず賞を与え企業にとって不利益となる行為を犯した者は必ず罰することです。これぞ正しく平等と言えます。これが企業として社長としての対応であり、会社の為だけではなく社員の為にもなります。
 
 感情にとらわれず賞罰を厳正に行うことは、人を動かすためには必要であり、会社組織では、何かしらの信賞必罰が必要です。信賞必罰は、紀元前11世紀頃に太公望によって説かれています。中国戦国時代末期に、秦国が六国に対して圧倒的に優位に立っていたのは、信賞必罰制度が確立した強力な軍隊を有していたことが大きな要因と言われています。
 
 日本でも、織田信長は、信賞必罰を徹底させていました。その結果、羽柴秀吉や明智光秀の明暗を分けたストーリーが登場することになります。この『信賞必罰』は、現在の日本国内企業ではあまり徹底させていません。日本ではどちらかというと責任をあいまいにし、成果を出しても、出さなくてもそれほど給料や待遇に差をつけることはありません。
 
 一般の会社は、「信賞必罰」と口ではいいつつも、何を賞するか何を罰するかははっきり明文化していません。極端に言うとすべて社長の胸先三寸です。そして、このような制度のない会社は不公平感がはびこっており、概して社内が暗いのです。
 

◆信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕組み

 

 Plan:

 
  ① 表彰する項目、罰則にする項目のリストアップ
  ② 表彰制度や罰則制度など運用の仕組みの決定
 

 Do:

 
  ① 週に一度、月に一度、など表彰する周期を決める
  ② 評価基準を決め、上記の計画に従って表彰する
  ③ 評価基準により罰則(罰金)を課す
  ④ 表彰や罰則の記録を残す
 

 Check:

 
  ① 表彰や、罰則制度の運用結果の記録を見て、問題点がないか?問題点があれば、何が問題だった
         のか? 原因追及と対策案の立案を行う。
 

 Action:

 
  ① 問題点や課題に対する対策を講ずる
  ② 仕組みに反映させる
 
 以上のステップを規定化し、半年、または1年の周期で規定の見直しを実施します。織田信長のように明解にメリハリを付けすぎても組織は崩壊してしまいますが、...

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】

 社員教育信賞必罰とは、企業にとって利益に貢献した者には必ず賞を与え企業にとって不利益となる行為を犯した者は必ず罰することです。これぞ正しく平等と言えます。これが企業として社長としての対応であり、会社の為だけではなく社員の為にもなります。
 
 感情にとらわれず賞罰を厳正に行うことは、人を動かすためには必要であり、会社組織では、何かしらの信賞必罰が必要です。信賞必罰は、紀元前11世紀頃に太公望によって説かれています。中国戦国時代末期に、秦国が六国に対して圧倒的に優位に立っていたのは、信賞必罰制度が確立した強力な軍隊を有していたことが大きな要因と言われています。
 
 日本でも、織田信長は、信賞必罰を徹底させていました。その結果、羽柴秀吉や明智光秀の明暗を分けたストーリーが登場することになります。この『信賞必罰』は、現在の日本国内企業ではあまり徹底させていません。日本ではどちらかというと責任をあいまいにし、成果を出しても、出さなくてもそれほど給料や待遇に差をつけることはありません。
 
 一般の会社は、「信賞必罰」と口ではいいつつも、何を賞するか何を罰するかははっきり明文化していません。極端に言うとすべて社長の胸先三寸です。そして、このような制度のない会社は不公平感がはびこっており、概して社内が暗いのです。
 

◆信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕組み

 

 Plan:

 
  ① 表彰する項目、罰則にする項目のリストアップ
  ② 表彰制度や罰則制度など運用の仕組みの決定
 

 Do:

 
  ① 週に一度、月に一度、など表彰する周期を決める
  ② 評価基準を決め、上記の計画に従って表彰する
  ③ 評価基準により罰則(罰金)を課す
  ④ 表彰や罰則の記録を残す
 

 Check:

 
  ① 表彰や、罰則制度の運用結果の記録を見て、問題点がないか?問題点があれば、何が問題だった
         のか? 原因追及と対策案の立案を行う。
 

 Action:

 
  ① 問題点や課題に対する対策を講ずる
  ② 仕組みに反映させる
 
 以上のステップを規定化し、半年、または1年の周期で規定の見直しを実施します。織田信長のように明解にメリハリを付けすぎても組織は崩壊してしまいますが、
 
   ・会社の中長期経営方針に合致していること
   ・会社はどのような人材を理想像としているか
   ・それに沿って「社長の胸先三寸」を明文化すること
 
 このことによって、全員が一つの方向性を見出し、その判断規準に基づいて仕事をすることができるのです。ここは、しっかりと中国の歴史に学ぶべき内容です。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術士第二次試験対策:論文を時間内に書くための時間管理方法(その1)

  「解答がわかっていたが、それを時間内で書くことができなかった」という受験生の声を何度が聞いたことがあります。頭の中に60点以上の解答が...

  「解答がわかっていたが、それを時間内で書くことができなかった」という受験生の声を何度が聞いたことがあります。頭の中に60点以上の解答が...


技術士第二次試験対策:会話から考える論文の書き方(その2)

  前回に続いて、「会話から考える論文の書き方」をテーマにした論文の書き方の2回目です。 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験...

  前回に続いて、「会話から考える論文の書き方」をテーマにした論文の書き方の2回目です。 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験...


技術士第二次試験受験勉強方法の戦略と戦術を考える

1. 技術士試験“受験勉強方法の戦略と戦術”とは  技術士の試験は日本技術士会との戦いと考えることができます。戦いには“戦略と戦術”が必要です。「とにか...

1. 技術士試験“受験勉強方法の戦略と戦術”とは  技術士の試験は日本技術士会との戦いと考えることができます。戦いには“戦略と戦術”が必要です。「とにか...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:自分の心の状態を知る

1. 日常と非日常    自然の暴力的な力と人の営みのはかなさや、考えが違う人を嫌っている自分へのいらだちや、今まで隠れていたことが見えた戸...

1. 日常と非日常    自然の暴力的な力と人の営みのはかなさや、考えが違う人を嫌っている自分へのいらだちや、今まで隠れていたことが見えた戸...


掃除のおばさんの持つ貴重な情報

 私が昔半導体の工場でクリーン化を担当していた頃の話です。頻繁に現場に入っていましたので、時間によってはクリーン廊下で掃除をしているおばさんに会うことも度...

 私が昔半導体の工場でクリーン化を担当していた頃の話です。頻繁に現場に入っていましたので、時間によってはクリーン廊下で掃除をしているおばさんに会うことも度...


初級~中級向けCAMオペレーターのスキル確認シート事例

◆ CAMオペレーターのスキル確認シート【初級~中級向け】:3D形状加工のCAM作業限定  今回は何社かのクライアント企業のCAMオペレーターを対象...

◆ CAMオペレーターのスキル確認シート【初級~中級向け】:3D形状加工のCAM作業限定  今回は何社かのクライアント企業のCAMオペレーターを対象...