XCNの構成と実施手順 XCN(その2)

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【XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)、連載目次】

1. XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)の概要

2. XCNの構成と実施手順

3. XCNの実施手順

4. クロスチェック付きなぜなぜ分析の実施手順と効果

 

 
 XCN®【クロスチェック付きなぜなぜ分析】は三菱電機株式会社の登録商標であり、株式会社ジェダイトはこの使用許諾を受けています。
 

1. XCNで着目する品質リスク

 
 開発・設計の初期段階で考慮すべき品質リスクには人的な要因や管理的な要因もありますが、XCNでは製品機能(動作、性能)およびそれらの安定性に係わる、物理現象的な要因を扱います。特に製品の使用段階における、多様なお客様の使用条件・環境条件を抽出し、その対応を事前検討することが目的です。XCNでは、お客様の使用条件・環境条件による製品内部への影響及び製品機能の喪失・低下までの因果関係を見える化します。想定された品質リスクに対しては、その対策を設計に織り込んだり、設計審査で対策妥当性を審議したり、シミュレーションやプロトタイプでの評価・検証の条件(品質工学におけるノイズ因子)に採用したりすることで未然防止を図ることができます。
 

2. XCNの概要と構成

 
 XCNの構成は図1(再掲)のとおりです。①「設計した機能が市場(使用段階)で働かなくなる」という想定をトップ事象とした未然防止型の「なぜなぜ分析」及び、②製品が曝されるお客様の使用条件・環境条件(外乱)と、それによって製品の内部で変化しうる現象(内乱)との組合せで構成される「チェックリスト」からなります。トップダウン思考の「なぜなぜ分析」とボトムアップ思考の「チェックリスト」の検討内容をクロスチェックすることで、品質リスク要因の抽出漏れを高確率で防止するところが、XCNの最大の特徴です。
 
  なぜなぜ分析
図1. XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)
 

【XCNの手順】

 

(1) 機能ブロックエリア

 

[STEP1] 対象の製品・システムの機能を整理

 
 対象とする製品(またはその一部であるサブシステム)に対して、機能ブロックとそれらの関係(情報やエネルギーの流れ)を明らかにするための機能ブロック図を作成します。これはXCNとして新規の内容ではないのですが、[STEP3]なぜなぜ分析や、[STEP6]外乱から内乱への展開を確実に行うために役立ちます。後に故障モードの「種類」が推測可能な単位に分かれていればよく、部品単位の展開は必要はありません。例として電気掃除機の構成図を図2に、機能ブロック図の作成例を図3に示します。ここに、電気掃除機の主たる機能では、電力量をゴミ・チリ集塵量に変換します。
 
 なぜなぜ分析
図2. 電気掃除機の構成
〔出典:http://www.livingdoors.jp/csb/?pid=10&tid=25&fid=778&kw=&c=&typ=(一部加筆)〕
 
なぜなぜ分析
図3. 機能ブロック図
 

(2) なぜなぜ分析エリア

 

[STEP2] トップ事象の定義(機能の否定)

 
 XCNのなぜなぜ分析では、まだ発生していない品質不具合の想定を行います。[STEP1]で定義した機能を、「“入力”に応じて“出力”を得る」という表現で表します。この機能表現の否定をトップ事象としますが、XCNでは、使用段階の要因に着目するため、「電力に応じて光量を得る機能が、出荷後働かなくなる(低下する)」をトップ事象とします。
 

[STEP3] なぜなぜ分析の実施

 
 前記のトップ事象が発生する要因をなぜなぜ分析を用いて展開します。なぜなぜ分析の例を図4に示します。XCNでは真の原因を追究するのではなく、物理的な外乱が出てくるまで実施します。“なぜ”の回数は,なぜなぜ分析で...

 

【XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)、連載目次】

1. XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)の概要

2. XCNの構成と実施手順

3. XCNの実施手順

4. クロスチェック付きなぜなぜ分析の実施手順と効果

 

 
 XCN®【クロスチェック付きなぜなぜ分析】は三菱電機株式会社の登録商標であり、株式会社ジェダイトはこの使用許諾を受けています。
 

1. XCNで着目する品質リスク

 
 開発・設計の初期段階で考慮すべき品質リスクには人的な要因や管理的な要因もありますが、XCNでは製品機能(動作、性能)およびそれらの安定性に係わる、物理現象的な要因を扱います。特に製品の使用段階における、多様なお客様の使用条件・環境条件を抽出し、その対応を事前検討することが目的です。XCNでは、お客様の使用条件・環境条件による製品内部への影響及び製品機能の喪失・低下までの因果関係を見える化します。想定された品質リスクに対しては、その対策を設計に織り込んだり、設計審査で対策妥当性を審議したり、シミュレーションやプロトタイプでの評価・検証の条件(品質工学におけるノイズ因子)に採用したりすることで未然防止を図ることができます。
 

2. XCNの概要と構成

 
 XCNの構成は図1(再掲)のとおりです。①「設計した機能が市場(使用段階)で働かなくなる」という想定をトップ事象とした未然防止型の「なぜなぜ分析」及び、②製品が曝されるお客様の使用条件・環境条件(外乱)と、それによって製品の内部で変化しうる現象(内乱)との組合せで構成される「チェックリスト」からなります。トップダウン思考の「なぜなぜ分析」とボトムアップ思考の「チェックリスト」の検討内容をクロスチェックすることで、品質リスク要因の抽出漏れを高確率で防止するところが、XCNの最大の特徴です。
 
  なぜなぜ分析
図1. XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)
 

【XCNの手順】

 

(1) 機能ブロックエリア

 

[STEP1] 対象の製品・システムの機能を整理

 
 対象とする製品(またはその一部であるサブシステム)に対して、機能ブロックとそれらの関係(情報やエネルギーの流れ)を明らかにするための機能ブロック図を作成します。これはXCNとして新規の内容ではないのですが、[STEP3]なぜなぜ分析や、[STEP6]外乱から内乱への展開を確実に行うために役立ちます。後に故障モードの「種類」が推測可能な単位に分かれていればよく、部品単位の展開は必要はありません。例として電気掃除機の構成図を図2に、機能ブロック図の作成例を図3に示します。ここに、電気掃除機の主たる機能では、電力量をゴミ・チリ集塵量に変換します。
 
 なぜなぜ分析
図2. 電気掃除機の構成
〔出典:http://www.livingdoors.jp/csb/?pid=10&tid=25&fid=778&kw=&c=&typ=(一部加筆)〕
 
なぜなぜ分析
図3. 機能ブロック図
 

(2) なぜなぜ分析エリア

 

[STEP2] トップ事象の定義(機能の否定)

 
 XCNのなぜなぜ分析では、まだ発生していない品質不具合の想定を行います。[STEP1]で定義した機能を、「“入力”に応じて“出力”を得る」という表現で表します。この機能表現の否定をトップ事象としますが、XCNでは、使用段階の要因に着目するため、「電力に応じて光量を得る機能が、出荷後働かなくなる(低下する)」をトップ事象とします。
 

[STEP3] なぜなぜ分析の実施

 
 前記のトップ事象が発生する要因をなぜなぜ分析を用いて展開します。なぜなぜ分析の例を図4に示します。XCNでは真の原因を追究するのではなく、物理的な外乱が出てくるまで実施します。“なぜ”の回数は,なぜなぜ分析で通常推奨されている5回にこだわりません。外乱とは、お客様の使用条件(消灯直後に点灯、長期間使用しなかった等)や使用環境(高温環境、高湿環境、振動等)で、製品の外側にある要因です。検討範囲外の部分の変動要因も外乱と考えます(電源電圧変動など)。また、外乱によって製品内部で変化・変動する現象のことを内乱といいます。なぜなぜ分析では、外乱の1つ上位(図4では左)の要因は内乱になります。
 
  なぜなぜ分析
図4. なぜなぜ分析
 
 次回も、XCNの手順の続きを解説します。
 
 

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この記事の著者

鶴田 明三

独自の設計品質評価・改善メソッド“超実践品質工学”で、技術者の 成長を重視して徹底支援。大手電機メーカで23年間培った豊富な指導経験 で、御社製品と仕事の進め方の品質・生産性向上をお手伝いします。

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