事務改善のすすめ方 事務の生産性向上とは(その1)

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【目次】

 
 最近、政府も「生産性向上」を重要施策の柱として掲げるようになりました。 国際比較でみると、特に生産性が悪いのはホワイトカラーの職場つまり事務職系の職場のようです。 そこで、今回は「事務部門の生産性向上」を解説します。
 
 仕事の内容から大別すると、「ホワイトカラーとブルーカラー」に分かれます。ホワイトカラーは事務所などのオフィスで頭を使った仕事をしている人、ブルーカラーは現場での肉体労働をしている人と、とらえられています。 さらに詳述すると次のようになります。
 
 ホワイトカラー:物の生産に直接にはかかわらない非現業的職種に携わる。具体的には、専門的・技術的職業、中・下級の管理的職業、事務的職業、販売的職業、対人サービス職業などが主体であり、知的な精神労働であることが、ホワイトカラーの仕事の特徴です。
 
 ブルーカラー:企業組織に雇用されて働く賃金労働者のうち、製造業、建設業、鉱業などの生産現場で直接に生産工程や現場作業に従事する現業系の労働者をさす。ブルーカラー労働者の仕事 は、直接に物の生産に携わる肉体労働であることが特徴です。
 
 ホワイトカラーをさらに分類すると、判断業務が中心となる社長以下のマネージャーと日常業務が中心となる一般従業員に分けられます。本稿では、ホワイトカラーの日常業務の生産性向上を「事務部門の生産性向上」と、捉えます。
 

1. 人・モノ・カネ・情報・しくみの管理

 
 事務部門の業務の多くは、「人・情報・金」の管理が主機能です。 言わば、企業の生命線を管理しているので、個人情報や高レベルの企業秘密を扱うことになります。それだけに、各業務はルール化され、厳しい監視下で実行され、シビアに管理されています。 ところが、管理レベルが高く、閉鎖的な取扱の対象になっているために、事務部門の改善は実施されていないか、また、実施されても思うように進めることができないのが実態です。 人時生産性が欧米に比べてかなり低く、中国、韓国よりも劣っている現状であり、中小企業に おいてはローコストマネジメント化が急務となっています。 本テーマでは、その壁を破り改善を進めるためのポイントを説明します。
 
 事務の改善
 

2. 事務部門の改善とねらい

 
 事務部門の改善は上述の特性に加え、次のことから改善活動がなされていなかったり、成果を上げにくかったりするのが実態です。
 
(1) 机上やパソコン業務が中心なので、作業(仕事)内容と成果が見えにくい。
 
(2) アウトプット(成果物)は、紙媒体のもの以外は、顕在化、定量化しにくい。
 
(3) プロセスや作業が複雑で、属人化しているので標準化しにくい。
 
(4) 以上から人時生産性が測定されず、生産性を追求する例が少ない。
 
 そこで、これらの壁とも言うべき現状を打破し、業務内容を明確にした上で、シンプルでムダ のない仕事の流れを構築することがねらいです。  現在の日本において、売上原価(製造原価や仕入原価、物流コスト)の競争力はありますが、管理事務部門の生産性は国際社会の中でも低いことが問題視されています。今後はこの点の改善策として人時生産向上のカギになってきています。
 

3. 事務部門改善の実行

 
 事務部門の改善の進め方を以下に列記します。
 
(1) 頭の中を整理・整頓(2S)する。頭の中が整理されない限り「モノ」は整理できないので、業務の整理として頭の...

【目次】

 
 最近、政府も「生産性向上」を重要施策の柱として掲げるようになりました。 国際比較でみると、特に生産性が悪いのはホワイトカラーの職場つまり事務職系の職場のようです。 そこで、今回は「事務部門の生産性向上」を解説します。
 
 仕事の内容から大別すると、「ホワイトカラーとブルーカラー」に分かれます。ホワイトカラーは事務所などのオフィスで頭を使った仕事をしている人、ブルーカラーは現場での肉体労働をしている人と、とらえられています。 さらに詳述すると次のようになります。
 
 ホワイトカラー:物の生産に直接にはかかわらない非現業的職種に携わる。具体的には、専門的・技術的職業、中・下級の管理的職業、事務的職業、販売的職業、対人サービス職業などが主体であり、知的な精神労働であることが、ホワイトカラーの仕事の特徴です。
 
 ブルーカラー:企業組織に雇用されて働く賃金労働者のうち、製造業、建設業、鉱業などの生産現場で直接に生産工程や現場作業に従事する現業系の労働者をさす。ブルーカラー労働者の仕事 は、直接に物の生産に携わる肉体労働であることが特徴です。
 
 ホワイトカラーをさらに分類すると、判断業務が中心となる社長以下のマネージャーと日常業務が中心となる一般従業員に分けられます。本稿では、ホワイトカラーの日常業務の生産性向上を「事務部門の生産性向上」と、捉えます。
 

1. 人・モノ・カネ・情報・しくみの管理

 
 事務部門の業務の多くは、「人・情報・金」の管理が主機能です。 言わば、企業の生命線を管理しているので、個人情報や高レベルの企業秘密を扱うことになります。それだけに、各業務はルール化され、厳しい監視下で実行され、シビアに管理されています。 ところが、管理レベルが高く、閉鎖的な取扱の対象になっているために、事務部門の改善は実施されていないか、また、実施されても思うように進めることができないのが実態です。 人時生産性が欧米に比べてかなり低く、中国、韓国よりも劣っている現状であり、中小企業に おいてはローコストマネジメント化が急務となっています。 本テーマでは、その壁を破り改善を進めるためのポイントを説明します。
 
 事務の改善
 

2. 事務部門の改善とねらい

 
 事務部門の改善は上述の特性に加え、次のことから改善活動がなされていなかったり、成果を上げにくかったりするのが実態です。
 
(1) 机上やパソコン業務が中心なので、作業(仕事)内容と成果が見えにくい。
 
(2) アウトプット(成果物)は、紙媒体のもの以外は、顕在化、定量化しにくい。
 
(3) プロセスや作業が複雑で、属人化しているので標準化しにくい。
 
(4) 以上から人時生産性が測定されず、生産性を追求する例が少ない。
 
 そこで、これらの壁とも言うべき現状を打破し、業務内容を明確にした上で、シンプルでムダ のない仕事の流れを構築することがねらいです。  現在の日本において、売上原価(製造原価や仕入原価、物流コスト)の競争力はありますが、管理事務部門の生産性は国際社会の中でも低いことが問題視されています。今後はこの点の改善策として人時生産向上のカギになってきています。
 

3. 事務部門改善の実行

 
 事務部門の改善の進め方を以下に列記します。
 
(1) 頭の中を整理・整頓(2S)する。頭の中が整理されない限り「モノ」は整理できないので、業務の整理として頭の中から洗い出しをする。
(2) 身の回りを2Sする。机の中 → 共有資料 → 個人所有 の順で、整理し、排除する  
(3) 対象業務の洗い出し  
(4) 業務プロセスの流れを明確化  
(5) 現状の人時生産性のデータを取る。  
(6) 改善の目標を立てる。 
(7) 5S を実行し、整理整頓を行う。 
(8) ムダ、ムラ、ムリを排除して、シンプルラインを構築する。
 
 次回は、「見える化で改善対象を明確に」というテーマで解説します。
 
  

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この記事の著者

石川  昌平

(株)I&C・HosBizセンターの連絡窓口です

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