プロジェクト管理ツール&システムの成長モデル メトリクス管理手法(その6)

【メトリクス管理 連載目次】

 
  
 
 プロジェクト管理は、スケジュールやその進捗などをマネジャーやメンバーなどの関係者で共有する必要があり、また、役割や立場により様々な視点でプロジェクトの状況を把握する必要があるため、システムやツールの支援が必要不可欠です。ここでは、プロジェクト管理を支援するシステム環境について考えてみたいと思います。
◆関連解説『プロジェクトマネジメントとは』
 

◆ レベル1:オフィスツール利用

 
 小規模なプロジェクトでは、スケジュール作成や定期的な進捗報告などは Excel やテキストエディタなどの普段使っているツールで作成することが多いようです。しかし、手軽にプロジェクト管理を行うことができる反面、個人が自由な使い方をしているために様々な問題も引き起こします。この場合の特徴と課題は、次のように整理することができます。
 

【特徴】

 
 

【課題】

 
 

◆ レベル2:Project スタンダード導入

 
 Excel などではトラブルやオーバーヘッドが大きくなってきたときや、プロジェクトのメンバーが 10 人から 50 人くらいの中規模になるとき、そして、メンバー間での計画や進捗の共有を強化したいときなどは、MS Project などのプロジェクト管理ツールを導入することが多いようです。ただ、使えるものかどうかを確認する必要があるために、手軽な MS Project スタンダード版を試験的に導入するケースが多いといえます。この場合の特徴と課題は以下の通りです。
 

【特徴】

 
 

【課題】

 
 

◆ レベル3:Project エンタープライズ導入

 
 メンバーが 50 人以上の大規模プロジェクトが同時に複数走っているよう場合や、組織レベルでプロジェクト管理ツールを一括運用するような場合は、選択肢の1つとして MS Project のエンタープライズ版を導入することが多いようです。この場合の特徴と課題は以下の通りです。
 

【特徴】

 
 

【課題】

 
 

◆ プロジェクト管理の仕組みにおける真の問題

 
 以上、プロジェクト管理のシステム環境について考察しましたが、問題を解決するためにシステム環境をレベルアップしてもまた新たな問題を抱えてしまうと言えます。これは、プロジェクト管理の仕組み全体についても同様です。新しい仕組みを導入しても常に問題を抱えることとなり、現場ではそれに対応するために様々な工夫を行っています。
 
 このような状況下で真の問題となるのは、仕組みの問題に対処する現場での工夫や努力が、何度も繰り返され...
ることです。現場では、プロジェクトの最中でも、プロジェクトが変わっても、部署が変わっても、システムを含めた仕組みの足りないところを、時間と手間をかけて何度も繰り返し補っています。そして、プロジェクトのリーダーやメンバーは、ムダやムリだとわかっているその場限りの対処を何度も繰り返しやらされることにより、疲れ切ってしまうのです。
 
 MS Project の場合であれば、次のような現場の声をよく聞きます。
 
  • 「もともと適当な日程なのに細かな入力や設定を要求される」
  • 「自動的にタスクが動いたりして、何をやるにしても時間がかかる」
  • 「リリースに合わせるために机上で精緻につじつま合わせしているだけ」
  • 「作ったファイルを結合したり、分割したりするのは手作業で大変なことになる」
  • 「進捗見たいだけなのに覚えることがたくさん」「この部分だけ見たいのに」
 
 現場では繰り返し、システムや仕組みの足りないところを手作業で(仕方なく)補っているのが真の問題です。
 

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