【あなたも一瞬で「技術が伝わる」エンジニアになれる 連載目次】
1. 相手の意見を創る!
エンジニア専門の話し方は「正しいことを主張する」より「解決する」に重点をおいた実学です。その中で中核になるのが今回のパートです。「意見を聞いても明確な返事がない」「毎回フラフラと言うことが変わる」こういう方が決裁権を持っている場合、説明や手戻りのために決裁終了までに凄く時間がかかってしまいます。
そういう時は・・・「相手の意見をよく聴く」というのは「効果がありません」。相手は意見を持っていないのですから。
対策は簡単!相手に意見がないのなら「相手の意見を創ってから」合意すれば成功率 100%です!
2. 仕事が終わらない「聞く」に注意!
会話のPDCA(Plan Do Check Action)は、相手の意図の仮説を立てて、やってみて、それがあっているか確認して、ズレを修正します。会話を進める上での基本の方法です。ところが、いくら話を聞いても事態が進まない人がいます。相手が自分の意見を持っていないために「どこにもゴールが存在していない」場合です。
例えば、計画を持っていくと「期限が長い」というコメントがでた。次に回答を持っていくと「金額が高い」というコメントがでた。両方を解決して持っていっても「不測の事態を考えろ」「もう少し考えろ」と言った返答しか返ってこない。そういう経験がないでしょうか?
その場合は、PDCAを幾ら廻しても「相手に確たる意見がないため」「ぐるぐる回るだけ」で決着はつきません。
3. 相手に意見がないなら意見を創る!
自分の意見を明確に持っている人は、意外に「少数派」です。大部分は「過去と同じ結果」をゴールに置いているだけです。だから、「前例のない」課題がでるとゴールがなくなって迷走する場合が多いのです。その場合は、相手の意見を待っていても解決は望み薄です。自分がリードするしかありません。
では、自分が白紙状態から全ての判断基準をつくらないといけないのか?というとそうではありません。相手の散発的な感情にあわせて一連の判断基準を創り出します。
例えば、プランに A案を加えるか、加えないか、という問題でしたら、「仮に A案をくわえるとしたらどうですか?」と聞くのです。この場合、「仮に」で「現実問題ではない」という状況にすることがポイントです。
「どちらかと言えば A案はちょっとな~」という返答があれば、「例えば、どういうところが気になりますか?」で相手の心に浮かんだことを言ってもらいます。
「A案、B案の2つが並ぶのも変だし・・・」のような返答があれば「並ぶのが変に感じるんですね。では、仮にA案を添付し資料に入れておくとかどうですか?」と「具体的な案」を添えて聞き返します。そういうふうに、相手の不明瞭な判断基準を表面化してラフ案を仕上げるのです。
4. 手戻りしたくないなら、結論を「否定」して相手の決心を固める!
ラフ案ができて、多くの人が侵す最大の誤りは「やれやれ、相手の意向で資料ができた。違う意見にならないようにそっとしておこう」です。しかし、そっとしておくと、資料が出来上がって決裁に進んだ段階でコメントが出やすいのです。意見がない人は、もともと結論がフラつきやすいので、時間が経つと考えが変わってしまい、手戻りが発生します。手戻りさせたくないなら、相手の決断を固める必要があります。具体的には、ラフ案ができたその場で質問をします。
「今までお話し頂いた内容を、仮にまとめると・・・になると思うのですが、〇〇は・・・で大丈夫でしょうか? ▽▽という理由で反論がきませんか?」
少し勇気がいりますが、自分が「ここがあとでひっくり返るんじゃないかな、心配だな、など弱点と思うところを対象にしてください。この段階でひっくり返る意見は、所詮、決裁の段階でひっくり返って手戻りになります。
自分の案を否定する指摘があると、相手は「理由を考え出して」反論します。自分が口に出すことで「考えが固まる(意見ができる)」のです。
「いや、〇〇は・・・だから▽...