【目次】
- 1. 多工程受注生産の生産管理
- 2. 何が利用を難しくしているのか
- 3. 内示情報で受注生産
- 4. リードタイムと待ち時間
- 5. システムを成功させるには
- 6. パッケージ利用とスクラッチ開発
- 7. 工程間滞留時間の分析
1.多工程・繰返し型受注生産の生産管理
多くの部品加工工場、特に中堅規模の工場から共通して相談を持ち掛けられる問題があります。それは各工場が使っている生産管理システムが自社の業務を的確にサポートできていないという問題です。こうした工場のシステムは注文書など生産伝票を発行する機器で止まっていることが多いのです。
中堅規模の部品加工工場は、小規模の町工場とは異なり単工程加工型の生産工場は少ないのです。通常は複数工程を流して部品加工生産しています。親会社からの注文も個別単位の受注ではなく、同じ製品を繰返し受注して生産しているところが多いのです。このような繰返し多工程型の工場では、加工部品の工程進捗管理をしっかり行わないと納期遅れが多発したり、仕掛品在庫が急増するといった問題が生じやすいわけです。
ところが市販されている中堅工場向けの生産管理パッケージの多くは繰返し受注生産型部品加工工場の生産管理への対応が十分ではありません。大半のパッケージはMRPロジックという計画生産型の部品在庫補充調達システムがベースとなっており、部品加工工場が必要とする工程管理機能が貧弱だからです。とくにERPパッケージの工程管理機能が問題になっています。経営者が流行に踊らされてERPを導入した工場から「システムが機能しないために納期遅れが続出した」といった悲鳴が相次いでいます。
読者の皆様の工場はいかがでしょうか。納期対策で追い込まれた部品加工工場では、生産管理パッケージとは別にエクセルを使って工程管理したり、工場担当者(工程追っかけマン)が各現場を飛び回って進捗確認していることが多く、自社工程や外注先に十分な製造能力があった時代はこの仕組みでも何とかなったわけです。
しかし、現在の日本の...