第二章 国内産業の状況 ものづくり白書を5分で読む。(その2)

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ものづくり白書

【この連載の前回へのリンク】

全274ページにわたる「ものづくり白書:2022年度版」の各章を5分の内容に要約して解説します。

 

本連載では、次のような悩みを解決できます。

  • 「ものづくり白書を読みたいけど、膨大過ぎて時間がない」
  • 「国内産業の状況や技術の動向を知りたい」
  • 「カーボンニュートラル、人権尊重、DX等に関する事例を知りたい」

本連載は、このような悩みを解決できるように、「ものづくり白書:2022年度版」をまとめたものです。

 

1.ものづくり白書とは

ものづくり白書は、政府が作成する国内産業の状況や技術の動向をまとめた資料です。2022年度版は、2022年5月に経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が共同で、取りまとめた資料です。ページ数は、274ページになります。この連載では、各章ごとに重要なポイントを抜粋して、5分で読める内容で解説します。今回は、第1部第2章です。

 

2.「第2章 生産」の内容

第2章の「生産」では、生産・出荷・在庫の足下の状況を説明しています。今回はその中でも重要な生産状況についてご説明いたします。

 

3.鉱工業生産指数について

鉱工業生産指数とは、鉱工業製品を生産する国内企業における生産動向の指標のことです。

 

【ポイント】

  • 鉱工業生産指数は、2020年前半は大幅に低下(新型コロナウイルス感染症の感染拡大による需要の低迷や生産調整などによる)
  • 2020年後半から国内外での経済活動の回復が進み、上昇
  • 2021年に入ると、はん用・生産用・業務用機械工業が好調に推移
  • 2021年7月以降、輸送機械工業や電気機械工業が低下(世界的な半導体不足などの影響による)
  • 2021年10 月には上昇に転じたが、2022 年1月に輸送機械工業が再度低下(部材供給不足などの影響を受け)

2020年後半は経済活動の回復が進みましたが、その後、半導体や部品供給不足により、鉱工業生産指数は悪化しました。特に、輸送機器工業は大きく影響を受けました。(図210-1)

 

ものづくり白書

 

4.直近1年間の生産量の動向

2021年度生産量についての事業者の認識に関する調査結果を説明します。

 

【ポイント】

  • 「増加」及び「やや増加」の割合が約4割を占めている
  • 資本金100億円超の企業において、「増加」及び「やや増加」の割合が約7割
  • 大企業を中心に生産量が増加していることが分かる
  • 増加の割合が高い業種は非鉄金属であり、増加の割合が低い業種は、輸送用機械である

産業全体では、直近1年の生産量の「増加」及び「やや増加」との回答が、「やや減少」「減少」を上回っています。しかし、輸送用機械では、「増加」「やや増加」の割合が少ないです。原因としては、半導体や部品の不足による影響が大きかったと考えられます。(図210-3、4)

 

ものづくり白書

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5.サプライチェーンの強靭化に向けた取組

様々な社会情勢変化の影響がサプライチェーン全体に広がる中で、サプライチェーンの強靭化が一層重要となっています。2021年度に行われた、強靭なサプライチェーンの構築に向けた事業者における今後の取組に関する調査によれば、次のような結果が見られました。

 

【ポイント】

  • 約半数の企業が「調達先の分散」をあげている
  • 「国内生産体制の強化」、「標準化、共有化、共通化の推進」の割合が多くなっている
  • 「国内生産体制の強化」が約2割から約4割に増加している

国内サプライチェーンの強靭化に、多くの経営資源を投入しようとする事業者が増えていると考えられる。(図220-1、2)

 

ものづくり白書

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6.東南アジアでの新型コロナウイルス感染症の感染拡大による自動車生産への影響

2021年夏以降、東南アジアでは新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、工場の操業停止が相次ぎ、部品供給の停滞が日系自動車メーカーの国内の工場稼働にも大きな影響を及ぼしました。自動車部品メーカーの第2四半期の純利益は、2019年度、2020年度は減収減益でした。2021年度は増収増益になりましたが、2018年度よりも低い水準となっております。

 

ものづくり白書

 

7.中国の電力不足による影響

中国政府は、二酸化炭素の排出量を 2030年までに減少に転じさせ、2060 年までに実質ゼロにする目標を掲げています。

 

目標達成に向けて、CO2排出量削減措置を強化したことで、電源構成の約7割を占...

ものづくり白書

【この連載の前回へのリンク】

全274ページにわたる「ものづくり白書:2022年度版」の各章を5分の内容に要約して解説します。

 

本連載では、次のような悩みを解決できます。

  • 「ものづくり白書を読みたいけど、膨大過ぎて時間がない」
  • 「国内産業の状況や技術の動向を知りたい」
  • 「カーボンニュートラル、人権尊重、DX等に関する事例を知りたい」

本連載は、このような悩みを解決できるように、「ものづくり白書:2022年度版」をまとめたものです。

 

1.ものづくり白書とは

ものづくり白書は、政府が作成する国内産業の状況や技術の動向をまとめた資料です。2022年度版は、2022年5月に経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が共同で、取りまとめた資料です。ページ数は、274ページになります。この連載では、各章ごとに重要なポイントを抜粋して、5分で読める内容で解説します。今回は、第1部第2章です。

 

2.「第2章 生産」の内容

第2章の「生産」では、生産・出荷・在庫の足下の状況を説明しています。今回はその中でも重要な生産状況についてご説明いたします。

 

3.鉱工業生産指数について

鉱工業生産指数とは、鉱工業製品を生産する国内企業における生産動向の指標のことです。

 

【ポイント】

  • 鉱工業生産指数は、2020年前半は大幅に低下(新型コロナウイルス感染症の感染拡大による需要の低迷や生産調整などによる)
  • 2020年後半から国内外での経済活動の回復が進み、上昇
  • 2021年に入ると、はん用・生産用・業務用機械工業が好調に推移
  • 2021年7月以降、輸送機械工業や電気機械工業が低下(世界的な半導体不足などの影響による)
  • 2021年10 月には上昇に転じたが、2022 年1月に輸送機械工業が再度低下(部材供給不足などの影響を受け)

2020年後半は経済活動の回復が進みましたが、その後、半導体や部品供給不足により、鉱工業生産指数は悪化しました。特に、輸送機器工業は大きく影響を受けました。(図210-1)

 

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4.直近1年間の生産量の動向

2021年度生産量についての事業者の認識に関する調査結果を説明します。

 

【ポイント】

  • 「増加」及び「やや増加」の割合が約4割を占めている
  • 資本金100億円超の企業において、「増加」及び「やや増加」の割合が約7割
  • 大企業を中心に生産量が増加していることが分かる
  • 増加の割合が高い業種は非鉄金属であり、増加の割合が低い業種は、輸送用機械である

産業全体では、直近1年の生産量の「増加」及び「やや増加」との回答が、「やや減少」「減少」を上回っています。しかし、輸送用機械では、「増加」「やや増加」の割合が少ないです。原因としては、半導体や部品の不足による影響が大きかったと考えられます。(図210-3、4)

 

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5.サプライチェーンの強靭化に向けた取組

様々な社会情勢変化の影響がサプライチェーン全体に広がる中で、サプライチェーンの強靭化が一層重要となっています。2021年度に行われた、強靭なサプライチェーンの構築に向けた事業者における今後の取組に関する調査によれば、次のような結果が見られました。

 

【ポイント】

  • 約半数の企業が「調達先の分散」をあげている
  • 「国内生産体制の強化」、「標準化、共有化、共通化の推進」の割合が多くなっている
  • 「国内生産体制の強化」が約2割から約4割に増加している

国内サプライチェーンの強靭化に、多くの経営資源を投入しようとする事業者が増えていると考えられる。(図220-1、2)

 

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6.東南アジアでの新型コロナウイルス感染症の感染拡大による自動車生産への影響

2021年夏以降、東南アジアでは新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、工場の操業停止が相次ぎ、部品供給の停滞が日系自動車メーカーの国内の工場稼働にも大きな影響を及ぼしました。自動車部品メーカーの第2四半期の純利益は、2019年度、2020年度は減収減益でした。2021年度は増収増益になりましたが、2018年度よりも低い水準となっております。

 

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7.中国の電力不足による影響

中国政府は、二酸化炭素の排出量を 2030年までに減少に転じさせ、2060 年までに実質ゼロにする目標を掲げています。

 

目標達成に向けて、CO2排出量削減措置を強化したことで、電源構成の約7割を占める石炭火力発電所が次々と操業停止に追い込まれました。また発電用石炭の不足に伴う発電所の稼働率低下もあり、2021年秋には深刻な電力不足が生じました。電力不足は、中国現地に進出している日本企業だけでなく、部品不足によりASEAN各地に展開している日本企業にも影響を与えました。

 

7.まとめ

2021年は、社会情勢変化の影響がサプライチェーン全体に広がりました。とくに半導体や部品不足により、輸送用機械への影響は大きかったと言えます。

 

【参考文献】

経済産業省「令和3年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)

https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531002/20220531002.html
閲覧日:2022年6月5日

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

清岡 大輔

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