設計や生産の現場では、製品の性能試験や計量の目的でさまざまな物理量が計測され、そこで用いられるセンサ・計測器には高い精度が求められています。計測精度の重要性はアプリケーションの種類によって変わり、例えば石油プラントにおける流量計測のように結果が企業の売上げ・利益に直結するような場合はビジネスの面からの要求ですし、自動車の自動運転のようなアプリケーションでは距離や障害物の計測結果が安全に直結することから社会的な面から求められることになります。
こうしたビジネスや社会からの要請のレベルが高くなってきたことと、経済のグローバル化により国際的な規格整合について要求される場面が増えてきたことから、センサ・計測器自体の精度向上と併行して計測の信頼性の指標である“精度”という量をより厳密に捉えるための公的な取組みが進められています。
この連載では、こうした計測の精度に関する取組みについて4回に分けて解説します。第1回は、まず計測における“精度”がどのような量を表しているかを確認し、“精度”という用語に関する課題についてご説明していきます。
◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめてご紹介!
1.「精度」とは
(1)一般的なイメージ
一般的には、計測器の“精度”として図1のような「測定値は正しい値を中心にして仕様で示される精度の範囲内にある」または、逆に「正しい値は、測定値のプラスマイ...