BIツールの普及とともに、パワーポイントやワードなどのレポートの代替として利用する企業や組織などが増えてきました。もちろん、今でもパワーポイントやワードなどのレポートは頻繁に利用されています。ダッシュボードとレポートは別物ですが、その違いが認識されず、おかしな使われ方をしているケースが多々見受けられます。多くの場合、従来のレポートのごとくダッシュボードを利用するという、おかしな使われ方です。そのため、ダッシュボードとレポートの違いを知っておくことが重要です。今回は「ダッシュボードとレポートの重要な相違点」というお話しをします。
【記事要約】
ダッシュボードとレポートは別物ですが、その違いが認識されず、おかしな使われ方をしているケースが多々見受けられます。そのため、ダッシュボードとレポートの違いを知っておくことが重要です。ダッシュボードとレポートの大きさ相違点として先ずあげられることは、「静的かどうか」です。パワーポイントやワードなどのレポートは静的なものです。一方、ダッシュボードはどうでしょうか?ダッシュボードは静的でありません。こちらの働きかけに応じて瞬時に変化します。要は、インタラクティブでライブなのがダッシュボードです。ダッシュボード作りの基本は、徹底的にシンプルにすることで、絶対必要なもの以外はそぎ落とすことです。必要かもしれない情報は、インタラクティブに提供する手段を提供するだけで十分です。
1. 某航空会社の一幕
ある航空会社で、データドリブン経営ということで、BIツールを全社導入することになりました。そのBIツールを導入を担当した部署の、ちょっとしたお話しです。数年の年月と、数億円(数十億???)のコストを支払い、プロジェクトは粛々と進められました。ある程度、データの一元化が進みBIツール上に構築したダッシュボードを上層部にお披露目したときに、ある事件が起きました。
ある執行役が一言二言……
「パワポやExcelなどのグラフと何が違うの? 」
「グラフの見栄えは良くなったように見えるけど、よく見ると一緒だよね」
「グラフの見栄えを良くするために、億単位のコストをかけたの??? 」
担当部署の方々は何も言えず…… という感じだったそうです。パワポのレポートを参考に、ダッシュボードを構築したからです。パワポのレポートに比べ、ダッシュボードはシンプルなものになっていましたが、パワポのレポートに登場するグラフ類は最低限再現すべき(あらかじめダッシュボードのページとして登場されるべき)という部門長判断で、とてもリッチで壮大なダッシュボードになっていました。
2. ダッシュボードとレポートの相違点
ダッシュボードとレポートの大きな相違点として先ずあげられることは「静的かどうか」です。パワーポイントやワードなどのレポートは静的なものです。一度作られ提出されたレポートは、その内容は基本的に変わりません。変えるときは、レポートを修正などする作業が発生します。
一方、ダッシュボードはどうでしょうか?
ダッシュボードは静的でありません。こちらの働きかけに応じて瞬時に変化します。要は、インタラクティブでライブなのがダッシュボードです。当たり前ではないか、と思われるかもしれませんが、その当たり前のことを無視した使われ方をしているケースがあります。
3. レポートの詰め込み過ぎ問題
レポートは静的なものであるため、色々な情報を詰め込む傾向があります。
必要かもしれない、という理由から参考情報をどんどん追加し膨大になることもあります。そのため、本来のレポートに加え、エグゼクティブサマリーなるレポートを作ることさえあります。そのノリで構築されたダッシュボードは、情報量の多いヤバいものになります。
ダッシュボード作りの基本は、徹底的にシンプルにすることで、絶対必要なもの以外はそぎ落とすことです。必要かもしれない情報は、インタラクティブに提供する手段を提供するだけで十分です。
4. 売上データの事例
レポートは静的であるという理由で、年単位や四半期単位、月単位、週単位など様々な粒度の集計値やグラフなどを、あらかじめ掲載することがあります。さらに、全社売上、販社別売上、事業別売上、国や地域別売上、商材別売上など、必要と思われる様々な階層の集計値やグラフなどを、あらかじめ掲載することがあります。どんどんページ数が増えてきます。
ダッシュボードはどうでしょうか?
例えば、売上の時系列推移を表示するグラフが1つ、その粒度や階層を設定するパーツを2つ用意し、設定した粒度に応じてグラフ表示できるようにすれば事足ります。要は、画面は1つ(1ページ)で事足ります。