発展途上国が貴社の技術を待っている!

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 東南アジア・アフリカ・中南米など、いわゆる「新興国」や「途上国」には膨大な市場が広がっており、日本発の技術や製品を待っている大勢の人々がいます。彼らにとって「ジャパン」はブランドであり、自身と国を豊かにするための重要なリソースであると捉えています。そして、可能であれば日本企業との取引でビジネスチャンスを掴みたいと考えています。

 私は、これまで途上国の産業開発に関わる中で、数多くのローカルニーズに接してきました。「●●できる機械は日本にないか?」「○○を日本から輸入したい」、「XX社とコンタクトをとりたい」など、今まさに経済発展しようとする国々からの日本への視線がますます熱くなっていることを身をもって感じています。 

 日本企業にとっても、これらの地域のマーケットとしての重要性はますます高まるでしょう。一方で、日本企業側からすると、これらの国々への展開を検討する上で、以下のような疑問が生じます。

・自社技術・製品に対するニーズは本当にあるのか? あるとすればどこに?
・どのように調査すればよいのか?
・知財権は大丈夫か?
・債権回収のリスクが高いのでは?  等々 

 途上国では政治・経済体制の問題、インフラや企業向け金融、ビジネス関連法制度の未整備なども相俟って一層の注意を要します。このため、海外展開を頭に描きながらも、全てを自社で調べ上げ戦略を立てることが困難なために往々にして絵に餅を描く前に終わってしまいます。 

 そこで、公的制度を活用してリスクを低く抑えながら自社技術・製品を途上国市場に広める、という戦略にご関心のある企業のために、本稿では≪途上国の課題を、中小企業の技術で解決する制度≫について紹介いたします。

1.<途上国の課題>とは?  

 ここで紹介するのは(独)国際協力機構(以下、JICA)の諸制度です。が、制度紹介の前に、まず「途上国の課題」を明確にしておく必要があります。以降、下記の8分野において解決可能な技術や製品を持っている企業を想定していますのでご承知おきください。

       分野

           具体例

環境・エネルギー・廃棄物処理

バイオトイレ、雨量監視システム 等

水の浄化・水処理

水質測定機材、浄水器 等

職業訓練・産業育成

研削盤、工作用機器、検査・測定機器 等

福祉

車いす、リハビリ用品、介護機材、点字プリンター 等

農業

灌漑ポンプ、収穫・加工用機械 等

医療保健

X線診断装置、分娩監視装置、歯科機器 等

教育

理科教材、理科実験器具 等

防災・災害対策等

仮設用照明器具、災害救助用機材 等

 

2.途上国の課題を、中小企業の技術で解決する制度とは?

 JICAがODA(政府開発援助)を用いた企業支援を開始した目的は以下の2つです。

(1) 新興国・途上国の成長を取りこんだ日本企業の発展を目指す
(2) 日本企業の優れた技術を途上国の課題解決に活用する 

 そして、以下のようなメニューを用意して、企業の海外展開に対する支援を行っています。

制度名

制度概要

支援金額

中小企業連携促進調査

直接投資を前提としたFS調査への支援

1,000万円

BOPビジネス連携促進

貧困削減に資するビジネスの普及支援

2,000/5,000万円

普及・実証事業

途上国での製品・技術の実証と普及活動を支援

2,000万円

案件化調査

JICAプロジェクトとしての製品普及の可能性調査

3,000/5,000万円

*年度によって追加・変更・廃止の可能性があります。

 これらの制度に共通するビジネス上のメリットは、ODAからの費用拠出により、企業の金銭的負担が低減できる点、及び民間企業からはコンタクトが難しい現地政府機関に対して直接アプローチできる点にあります。従って、信頼できるルートを通じて展開を図れるため、様々なビジネスリスクを軽減することが可能です。 

 その一方で、制度活用にあたり注意すべき点も少なくありません。

(1)補助金制度ではない

 税金を使っての支援なので「お金をもらいっぱなし」とはな...

 東南アジア・アフリカ・中南米など、いわゆる「新興国」や「途上国」には膨大な市場が広がっており、日本発の技術や製品を待っている大勢の人々がいます。彼らにとって「ジャパン」はブランドであり、自身と国を豊かにするための重要なリソースであると捉えています。そして、可能であれば日本企業との取引でビジネスチャンスを掴みたいと考えています。

 私は、これまで途上国の産業開発に関わる中で、数多くのローカルニーズに接してきました。「●●できる機械は日本にないか?」「○○を日本から輸入したい」、「XX社とコンタクトをとりたい」など、今まさに経済発展しようとする国々からの日本への視線がますます熱くなっていることを身をもって感じています。 

 日本企業にとっても、これらの地域のマーケットとしての重要性はますます高まるでしょう。一方で、日本企業側からすると、これらの国々への展開を検討する上で、以下のような疑問が生じます。

・自社技術・製品に対するニーズは本当にあるのか? あるとすればどこに?
・どのように調査すればよいのか?
・知財権は大丈夫か?
・債権回収のリスクが高いのでは?  等々 

 途上国では政治・経済体制の問題、インフラや企業向け金融、ビジネス関連法制度の未整備なども相俟って一層の注意を要します。このため、海外展開を頭に描きながらも、全てを自社で調べ上げ戦略を立てることが困難なために往々にして絵に餅を描く前に終わってしまいます。 

 そこで、公的制度を活用してリスクを低く抑えながら自社技術・製品を途上国市場に広める、という戦略にご関心のある企業のために、本稿では≪途上国の課題を、中小企業の技術で解決する制度≫について紹介いたします。

1.<途上国の課題>とは?  

 ここで紹介するのは(独)国際協力機構(以下、JICA)の諸制度です。が、制度紹介の前に、まず「途上国の課題」を明確にしておく必要があります。以降、下記の8分野において解決可能な技術や製品を持っている企業を想定していますのでご承知おきください。

       分野

           具体例

環境・エネルギー・廃棄物処理

バイオトイレ、雨量監視システム 等

水の浄化・水処理

水質測定機材、浄水器 等

職業訓練・産業育成

研削盤、工作用機器、検査・測定機器 等

福祉

車いす、リハビリ用品、介護機材、点字プリンター 等

農業

灌漑ポンプ、収穫・加工用機械 等

医療保健

X線診断装置、分娩監視装置、歯科機器 等

教育

理科教材、理科実験器具 等

防災・災害対策等

仮設用照明器具、災害救助用機材 等

 

2.途上国の課題を、中小企業の技術で解決する制度とは?

 JICAがODA(政府開発援助)を用いた企業支援を開始した目的は以下の2つです。

(1) 新興国・途上国の成長を取りこんだ日本企業の発展を目指す
(2) 日本企業の優れた技術を途上国の課題解決に活用する 

 そして、以下のようなメニューを用意して、企業の海外展開に対する支援を行っています。

制度名

制度概要

支援金額

中小企業連携促進調査

直接投資を前提としたFS調査への支援

1,000万円

BOPビジネス連携促進

貧困削減に資するビジネスの普及支援

2,000/5,000万円

普及・実証事業

途上国での製品・技術の実証と普及活動を支援

2,000万円

案件化調査

JICAプロジェクトとしての製品普及の可能性調査

3,000/5,000万円

*年度によって追加・変更・廃止の可能性があります。

 これらの制度に共通するビジネス上のメリットは、ODAからの費用拠出により、企業の金銭的負担が低減できる点、及び民間企業からはコンタクトが難しい現地政府機関に対して直接アプローチできる点にあります。従って、信頼できるルートを通じて展開を図れるため、様々なビジネスリスクを軽減することが可能です。 

 その一方で、制度活用にあたり注意すべき点も少なくありません。

(1)補助金制度ではない

 税金を使っての支援なので「お金をもらいっぱなし」とはなりません。報告書等成果物の作成と提出が必要になります。

(2)いきなり輸出できるわけではない

 試作品等の形で輸出ができる制度があるものの、将来的な販路拡大や直接投資のための準備調査に対する支援制度と理解してください。

(3)競合が激しい

 しっかりとしたビジネスプランが明確に企画書に反映されることが応募に当たって必要です。

(4)主体は企業自身

 各制度は対象国に精通したコンサルタント会社との協働となります。が、コンサル会社は補佐であり、企業自身の主体的な取組みが重要となります。

 

 「自社の技術で途上国の課題解決に貢献したい」と思われる企業は活用をご検討されてはいかがでしょうか?紙幅の関係上、概略の説明に留めておりますが、詳細情報はJICAのHPに記載されています。 ( http://www.jica.go.jp/sme_support/activities/index.html )

 これまでの事例や制度活用にご興味のある方は、問い合わせフォームにてご連絡ください。(ベトナム、東ティモール、モンゴル、メキシコ、ニカラグア、南アフリカ、エチオピア、ガーナに知見を有しています)

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この記事の著者

江崎 秀之

中小製造業の海外展開を、セミナーや企業支援実績の豊富な中小企業診断士が親身にサポート。海外展開のための公的助成制度への応募をお手伝いします。現地で想定される様々なリスクについてもお答えします。

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