全数調査は何の為に必要か

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 info012調査には対象全部(母集団)を調べる全数検査と標本を採取して調査する抜き取り検査の2種類があります。しかし母集団全部を調査するのはコストや時間の問題で現実的とは言えません。そこで母集団から採取した標本から母集団の姿を推測する推定統計学が発展しました。 一部の標本を統計的に解析する事で母集団の特徴を推測します。選挙の出口調査やアンケート調査など一部のサンプルデータから全体を推測するケースは多く、全数調査よりも標本調査がメインとなっています。では全数調査をするケースとはどの様な場合でしょうか。
 
 例えば国による国勢調査があります。定期的に実施される調査ですが実施には多くの時間と費用がかかっているはずです。 何故この様な全数調査をする必要があるのでしょうか、 一部サンプルで推測するのは問題なのでしょうか、この答えについては総務省統計局のウェブサイトに詳しく記載されています。詳し過ぎて読むのが面倒な方の為に要点を述べると、次の2点です。
 
(1)ベンチマークデータを作成するため
 
(2)リファレンスとして活用するため
 
 ベンチマークデータとは基準とされる親データの事です。国勢調査は全数調査ですので全国のどの地域にどのくらいの人口分布があるのか正確にわかります。つまり詳細過ぎる地図の様なものです。 これを元に選挙区や議員定数、税金算出の元となる法定人口が決められます。税金や選挙は重要な事項ですから間違いがあってはいけないのでコストと費用をかけても全数検査のデータを用いるのです。
 
 もう一つのリファレンスとは参考資料の事です。つまり別の標本調査を行う場合の参考に用いるわけです。マーケティング調査結果も都市部と田舎では異なる傾向を示すと思います。調査対象に応じてリファレンスを上手く活用した調査が有効となるでしょう。年齢ヒストグラムも都市と田舎では異なります。 ちなみに総務省のデータによると平均年齢は沖縄県が1番低く39歳で、最も高いのは秋田県の47歳です。1位と47位の平均で8歳差があります。
 
 また製造工程で全数検査が行われるのはどのような場合でしょうか、上記理由以外に重要な製品性能を保証する場合などが該当します。つまり品質保証の観点で全数検査が求められる場合です。当然抜き取り検査の方がコストがかからないので良いのですが、抜き取り間隔や標本数をどの様にするのか熟慮しなければなりません。
 
 この場合はスペックに対し工程能力が十二分にあり、検査しても不合格品がまず発生しないと言える程の安定したプロ...
 info012調査には対象全部(母集団)を調べる全数検査と標本を採取して調査する抜き取り検査の2種類があります。しかし母集団全部を調査するのはコストや時間の問題で現実的とは言えません。そこで母集団から採取した標本から母集団の姿を推測する推定統計学が発展しました。 一部の標本を統計的に解析する事で母集団の特徴を推測します。選挙の出口調査やアンケート調査など一部のサンプルデータから全体を推測するケースは多く、全数調査よりも標本調査がメインとなっています。では全数調査をするケースとはどの様な場合でしょうか。
 
 例えば国による国勢調査があります。定期的に実施される調査ですが実施には多くの時間と費用がかかっているはずです。 何故この様な全数調査をする必要があるのでしょうか、 一部サンプルで推測するのは問題なのでしょうか、この答えについては総務省統計局のウェブサイトに詳しく記載されています。詳し過ぎて読むのが面倒な方の為に要点を述べると、次の2点です。
 
(1)ベンチマークデータを作成するため
 
(2)リファレンスとして活用するため
 
 ベンチマークデータとは基準とされる親データの事です。国勢調査は全数調査ですので全国のどの地域にどのくらいの人口分布があるのか正確にわかります。つまり詳細過ぎる地図の様なものです。 これを元に選挙区や議員定数、税金算出の元となる法定人口が決められます。税金や選挙は重要な事項ですから間違いがあってはいけないのでコストと費用をかけても全数検査のデータを用いるのです。
 
 もう一つのリファレンスとは参考資料の事です。つまり別の標本調査を行う場合の参考に用いるわけです。マーケティング調査結果も都市部と田舎では異なる傾向を示すと思います。調査対象に応じてリファレンスを上手く活用した調査が有効となるでしょう。年齢ヒストグラムも都市と田舎では異なります。 ちなみに総務省のデータによると平均年齢は沖縄県が1番低く39歳で、最も高いのは秋田県の47歳です。1位と47位の平均で8歳差があります。
 
 また製造工程で全数検査が行われるのはどのような場合でしょうか、上記理由以外に重要な製品性能を保証する場合などが該当します。つまり品質保証の観点で全数検査が求められる場合です。当然抜き取り検査の方がコストがかからないので良いのですが、抜き取り間隔や標本数をどの様にするのか熟慮しなければなりません。
 
 この場合はスペックに対し工程能力が十二分にあり、検査しても不合格品がまず発生しないと言える程の安定したプロセスでなければ適用は難しいでしょう。国勢調査も5年毎に全数検査を行いベンチマークデータの変遷をフォローしています。製造工程でも原料の違い、機械の調子、副資材の違い等で変動しますから工程能力はその一瞬のデータだけで判断せず、ある程度長期スパンで観察し見積もる必要があります。
 
 リスクが高いプロセスほど全数検査でベンチマークを定めた後に管理ポイントを定め、工程が安定した所でコスト削減の為に抜き取りに移行する流れが安全でしょう。ただし全数検査が顧客仕様に記載してあれば勝手に変更する事は出来ません。 顧客承認の下で実施する事になります。
 

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この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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