私がコンサルティングの際によく行う、クライアント企業の工場現場や事務所を見て回る「5Sパトロール」を、記事上で仮想的に行い、5Sの解説とします。実際にコンサルティングの際には、具体的に良くないところを指摘し、なぜ良くないのかセオリーからアドバイスし、あるべき状態はどのようにするのか指導しています。金型メーカーや機械加工メーカーで実際によく見かける事例をいくつか取り上げ、5Sの基本に触れてみます。早速、仮想的に工場を見て回り、5Sが出来ていないところを見ていきましょう。では、第2回の事例から見ていきます。今回は測定具の保管状況から見ていきます。
さて、こちらは鋼材の切断機の前の状況なのですが、これは特に何が良くないのでしょうか?特に問題なのは、デプス測定器がウエスやホウキなどにまみれて無造作に放置されている点です。こうした測定器が作業場に放置されている状況はよく見かけますが、寸法測定で使用する精密器具を、このように切り屑で埋まってしまいそうな場所に放置しておくのは絶対にNGです。
正しくは、きちんと精度が維持されるように、柔らかい緩衝材などの上に置き、キャビネットの中などに保管すべきです。したがって、下の写真にあるようなダイヤルゲージの保管状態も、同様に問題があります。これは何が良くないのでしょうか?
これが良くないのは、日光が当たる窓際に保管していることです。特に、ダイヤルゲージは、100分台やミクロン単位を測定するような器具ですので、もちろん器具自体の温度変化にも配慮するべきです。このような保管状態は、絶対にNGです。では、次の事例をみて見ましょう。
これはすぐにわかると思います。このような不安定な状態での鋼材の積み上げですね。工場内でケガが発生するとき、こういった鋼材の積み重ねが原因で、崩れて人間の足の上に落ちてくるというのは良くある事例です。では、こういった状態をどう防いでいくのか?それは、KY訓練(危険予知訓練)を定期的にやることです。
やり方は簡単で、5Sパトロールの際、各作業場の前で「ここで事故が起こるとしたらどういった原因が考えられるか?」というお題目で各作業者に答えてもらいます。
いくつか考えられるだけ全部考えてもらい、もし先ほどの写真の状態が存在すれば、「この積み上げた鋼材が倒れてきて人間に当たる」という問題点が出てくると思います。したがって、まずはKT訓練を定期的に行うことから始めていくのが良いと思います。下の写真のような状況も同様です。
重たい鉄の材料を、不安定な状態で積み上げて保管することは絶対にやめましょう。では、最後の事例を見ていきましょう。
これ...