特許からわかることとは

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  知的財産

 基礎研究や開発の現場において、特許を出願するということはよくあります。 

 私自身、ここ10年ぐらいで100件以上の特許を書きました。日本だけでなく欧州や米国でもいくつか成立していますから、発明王です! 特許を書くこと自体は慣れやノウハウを学べば難しくないですが、有効な発明をすることが一番難しいと思っています。

 さて、タイトルの「特許からわかること」についてです。

 特許出願の傾向を見れば他社がどんな研究を進めているか?ということがわかります。会社の特許部門では、競合他社の特許を分析して、マップ化(見える化)して、どこを攻めるべきだ! というような戦略を練っている部門もあります。

 研究者の立場から特許を見るときには以下の点で他社の特許を調べます。

◆ 自分がかかえている課題に対して、他社はどのようなアプローチで解決しようとしているのか?

 これは、特許の明細書の中に【発明が解決しようとする課題】、【課題を解決するための手段】という項目を見ることでわかります。他社の発明のエッセンスを自身の課題解決、研究の方針に適用するのです。

 特許は論文と違って、学術的に正確な論理(理論)がなくても、課題があり、何らかのアプローチで解決すれば成り立つため、アプローチ方法はヒントになることが多いです。(たまに、ダメダメ特許がありますが・・・・) 

 この観点で特許を見るということは、論文を読むのと同じぐらい有効な手です。

 これにより、研究開発の時間が大幅に削減できると思います!!!!

 他社特許のそのままマネでは、まずいのですが参考にして、さらに自身のオリジナルの技術を組み合わせることでいい技術ができると思います。

 他社の特許のアプローチ方法と別の他社の特許のアプローチ方法を掛算(組み合わせ)すれば、全く新しい特許として成立する場合もあります。特許に慣れてくれば、このような方法で新しい特許を生み出すことも可能です。...

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 基礎研究や開発の現場において、特許を出願するということはよくあります。 

 私自身、ここ10年ぐらいで100件以上の特許を書きました。日本だけでなく欧州や米国でもいくつか成立していますから、発明王です! 特許を書くこと自体は慣れやノウハウを学べば難しくないですが、有効な発明をすることが一番難しいと思っています。

 さて、タイトルの「特許からわかること」についてです。

 特許出願の傾向を見れば他社がどんな研究を進めているか?ということがわかります。会社の特許部門では、競合他社の特許を分析して、マップ化(見える化)して、どこを攻めるべきだ! というような戦略を練っている部門もあります。

 研究者の立場から特許を見るときには以下の点で他社の特許を調べます。

◆ 自分がかかえている課題に対して、他社はどのようなアプローチで解決しようとしているのか?

 これは、特許の明細書の中に【発明が解決しようとする課題】、【課題を解決するための手段】という項目を見ることでわかります。他社の発明のエッセンスを自身の課題解決、研究の方針に適用するのです。

 特許は論文と違って、学術的に正確な論理(理論)がなくても、課題があり、何らかのアプローチで解決すれば成り立つため、アプローチ方法はヒントになることが多いです。(たまに、ダメダメ特許がありますが・・・・) 

 この観点で特許を見るということは、論文を読むのと同じぐらい有効な手です。

 これにより、研究開発の時間が大幅に削減できると思います!!!!

 他社特許のそのままマネでは、まずいのですが参考にして、さらに自身のオリジナルの技術を組み合わせることでいい技術ができると思います。

 他社の特許のアプローチ方法と別の他社の特許のアプローチ方法を掛算(組み合わせ)すれば、全く新しい特許として成立する場合もあります。特許に慣れてくれば、このような方法で新しい特許を生み出すことも可能です。(ある程度実験で検証する必要があるかとは思いますが・・・)

【 特許からわかること 】

 ・研究開発に悩んだら、同じような研究開発の他社特許を調べよう。
 ・そして特許の「課題を解決する手段」を読んでみよう。
 ・そこには、課題のアプローチ方法が書いてある。
 ・そのやり方をまずは参考に、自身の課題解決に適用してみよう。
 ・このやり方は大幅に研究開発の時間を短縮してくれるはず!(他人の時間を使う奥義!)

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この記事の著者

藤井 隆満

基礎研究から商品化まで一直線の開発。 目指す市場と技術のマッチング、知財戦略、バリューチェーンをどうするかということを論理的に考え、開発を加速させましょう。

基礎研究から商品化まで一直線の開発。 目指す市場と技術のマッチング、知財戦略、バリューチェーンをどうするかということを論理的に考え、開発を加速させましょう。


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