IEは「魔法の鏡」 物流でIEを駆使する(その2)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ IEで物流ロスを定量化する

 単にストップウオッチで時間測定することがIEではないのですが、物流業界ではIEについて誤解も多いように思います。製造会社では百分の一分を縮める活動を愚直に行っています。そのためには、ほんのちょっとしたムダも改善していこうとします。

 人の動きについてもビデオを撮りムダな動作が無いか確認するとともに最前の動きを研究しています。歩行は付加価値を生まないムダとしてそれを撲滅しようと懸命に努力を尽くします。このようにムダな作業や動作を改善していく活動そのものを『広義のIE』としてとらえることができると思います。

 ムダを徹底的に排除するためには「歩行経路分析」や「ワークサンプリング」「連続稼働分析」などのIE手法が効果を発揮します。当然のことながら物流現場でもそのままこれら手法を活用することができるのです。事例を用いて分析手法の使い方などを学ぶ必要がありそうです。

 IEはある意味「魔法の鏡」のような側面を持っている気がします。それを使って現場を映してみることでムダが次々に見えてくるからです。だからこそ、これを使わない手はないのです。倉庫作業や荷役作業、ピッキング作業の効率を上げたければ真っ先にIE手法を使ってみることです。

 IEを使うことでムダを定量的に示すことも可能になります。これはインパクトがあります。「ピッキング時に歩行が多い」というよりも「1ピースピッキングするのに6歩発生している」と言った方が聞いた側に対してもよりムダのイメージが伝わりやすいでしょう。

 また「倉庫の中でものを探し回る時間が多い」と言うよりも「1日の内20%...

サプライチェーンマネジメント

◆ IEで物流ロスを定量化する

 単にストップウオッチで時間測定することがIEではないのですが、物流業界ではIEについて誤解も多いように思います。製造会社では百分の一分を縮める活動を愚直に行っています。そのためには、ほんのちょっとしたムダも改善していこうとします。

 人の動きについてもビデオを撮りムダな動作が無いか確認するとともに最前の動きを研究しています。歩行は付加価値を生まないムダとしてそれを撲滅しようと懸命に努力を尽くします。このようにムダな作業や動作を改善していく活動そのものを『広義のIE』としてとらえることができると思います。

 ムダを徹底的に排除するためには「歩行経路分析」や「ワークサンプリング」「連続稼働分析」などのIE手法が効果を発揮します。当然のことながら物流現場でもそのままこれら手法を活用することができるのです。事例を用いて分析手法の使い方などを学ぶ必要がありそうです。

 IEはある意味「魔法の鏡」のような側面を持っている気がします。それを使って現場を映してみることでムダが次々に見えてくるからです。だからこそ、これを使わない手はないのです。倉庫作業や荷役作業、ピッキング作業の効率を上げたければ真っ先にIE手法を使ってみることです。

 IEを使うことでムダを定量的に示すことも可能になります。これはインパクトがあります。「ピッキング時に歩行が多い」というよりも「1ピースピッキングするのに6歩発生している」と言った方が聞いた側に対してもよりムダのイメージが伝わりやすいでしょう。

 また「倉庫の中でものを探し回る時間が多い」と言うよりも「1日の内20%がものを探す時間」と伝えた方がインパクトがありますし「フォークリフトが何も持たずに移動する時間が多い」と言うより「フォークリフトの空走率が30%」と話した方がしみじみときます。

 こういったムダを定量化することもIE手法の一つなのです。
いかがでしょうか。IEというものが魅力的に感じ始めていませんか。ぜひ物流ロスを定量化してみましょう。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
コア・コンピタンスを再定義する

 大手企業・完成品セットメーカーのコア・コンピタンスは、量産立ち上げの早い生産技術かも知れないし、熟練した開発設計技師の開発スピードや会社のハイテク技術製...

 大手企業・完成品セットメーカーのコア・コンピタンスは、量産立ち上げの早い生産技術かも知れないし、熟練した開発設計技師の開発スピードや会社のハイテク技術製...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その7)

第7回 道具5「物流評価シート」(上) 前回のその6に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.物流評価の目的を理解し...

第7回 道具5「物流評価シート」(上) 前回のその6に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.物流評価の目的を理解し...


輸送改善はなぜ『おいしい』のか 儲ける輸送改善 (その1)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
  運送パターンとカタログ:お客様に喜ばれる物流営業(その2)

  ◆物流カタログを作れ 運送事業者にとって営業は仕事です。時間と経費を要して潜在顧客のもとへと行くわけですから。顧客にとってみて営業に...

  ◆物流カタログを作れ 運送事業者にとって営業は仕事です。時間と経費を要して潜在顧客のもとへと行くわけですから。顧客にとってみて営業に...


倉庫や工場の安全パトロール 物流安全管理(その3)

  ◆ リスクアセスメントを実施しよう  物流は公道における安全管理はすべてに先立ちやらなければならないことは当然ですが、それと同時に、...

  ◆ リスクアセスメントを実施しよう  物流は公道における安全管理はすべてに先立ちやらなければならないことは当然ですが、それと同時に、...


物流改善をやったことがない会社のビジネスチャンス 改善マインドを喚起する(その1)

  1. 自動車メーカーなどの事例  物流改善の必要性についてはもう30年ほど前から言われていることです。しかし取り組みは業界により、ま...

  1. 自動車メーカーなどの事例  物流改善の必要性についてはもう30年ほど前から言われていることです。しかし取り組みは業界により、ま...