物流会社のテリトリーとは サプライチェーンを俯瞰する(その2)

投稿日

SCM

 

◆ 物流5機能にとらわれるな

 サプライチェーン(SC)効率化において、物流は極めて重要な位置づけにあります。ここでいう物流とは何かということについて、認識しておく必要があるでしょう。物流には次の5つの機能があるといわれています。

  1. 輸送
  2. 保管
  3. 包装
  4. 荷役
  5. 流通加工

 この5機能の定義に「情報」を加えた「物流の5機能プラスワン」として認識する必要があります。これは一般論です。しかしこれだけで十分とはいえません。逆に5機能にとらわれるとよくないかもしれません。なぜなら物流の領域はここまでで、それ以外は自分の仕事ではない、と主張する物流担当者が多いからです。

 ということで、物流担当者は上記5機能プラスワン以外の領域について、きっちりと勉強していくことを考えていきましょう。

 物流の5機能の中に「在庫」が抜けていることは大きな問題だと思います。物流担当者は「在庫は荷主会社が管理すべきことだ」といった考えから敬遠している節があります。たしかに「在庫」は何かしらの活動の結果として表れるものです。例えば、作り過ぎや買い過ぎは在庫を増やすことになります。また営業の需要予測が外れると、それも在庫の発生につながります。しかも売れ残りは死蔵在庫となり、処分せざるを得ない状況になるかもしれません。

 そこで物流に携わる者は在庫の発生のメカニズムを学び、顧客である荷主にフィードバックを行う責務を負っていると考えた方がよさそうです。いつも申し上げていることですが、SC全体を俯瞰(ふかん)できるのが、物流の特権なのです。この立場を利用しない手はありません。

 多くの物流会社は自分の狭いテリトリーの中だけで仕事をしています。運送会社であれば地点間運送だけ、倉庫業であれば倉庫での保管と入出庫だけ、といったイメージです。これは非常...

SCM

 

◆ 物流5機能にとらわれるな

 サプライチェーン(SC)効率化において、物流は極めて重要な位置づけにあります。ここでいう物流とは何かということについて、認識しておく必要があるでしょう。物流には次の5つの機能があるといわれています。

  1. 輸送
  2. 保管
  3. 包装
  4. 荷役
  5. 流通加工

 この5機能の定義に「情報」を加えた「物流の5機能プラスワン」として認識する必要があります。これは一般論です。しかしこれだけで十分とはいえません。逆に5機能にとらわれるとよくないかもしれません。なぜなら物流の領域はここまでで、それ以外は自分の仕事ではない、と主張する物流担当者が多いからです。

 ということで、物流担当者は上記5機能プラスワン以外の領域について、きっちりと勉強していくことを考えていきましょう。

 物流の5機能の中に「在庫」が抜けていることは大きな問題だと思います。物流担当者は「在庫は荷主会社が管理すべきことだ」といった考えから敬遠している節があります。たしかに「在庫」は何かしらの活動の結果として表れるものです。例えば、作り過ぎや買い過ぎは在庫を増やすことになります。また営業の需要予測が外れると、それも在庫の発生につながります。しかも売れ残りは死蔵在庫となり、処分せざるを得ない状況になるかもしれません。

 そこで物流に携わる者は在庫の発生のメカニズムを学び、顧客である荷主にフィードバックを行う責務を負っていると考えた方がよさそうです。いつも申し上げていることですが、SC全体を俯瞰(ふかん)できるのが、物流の特権なのです。この立場を利用しない手はありません。

 多くの物流会社は自分の狭いテリトリーの中だけで仕事をしています。運送会社であれば地点間運送だけ、倉庫業であれば倉庫での保管と入出庫だけ、といったイメージです。これは非常にもったいないことです。SC全体を俯瞰し、在庫を見ながらそれを統制すべきアイデアを、顧客に提案していくことでビジネスにもつながるのです。

 では在庫発生のメカニズムについて考えていきましょう。まずは作り過ぎについてです。SCはすべての工程が同じ情報で動くことが必要です。極端な言い方をすれば、お客さんから受けた個々のオーダー単位で物を作っていくということになります。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
儲ける輸送改善とは 【連載記事紹介】おすすめセミナーもご紹介

       儲ける輸送改善の記事が無料でお読みいただけます!   ◆とってもおいしい輸送改善...

       儲ける輸送改善の記事が無料でお読みいただけます!   ◆とってもおいしい輸送改善...


SCMの生産性を見える化して改善する方法、生産性を評価できるKPIで見える化

  実は、生産性の観点からのSCMの見直しはほとんど白紙状態です。今回は、生産性を評価できるKPIで見える化し生産性を劇的に向上させる方法...

  実は、生産性の観点からのSCMの見直しはほとんど白紙状態です。今回は、生産性を評価できるKPIで見える化し生産性を劇的に向上させる方法...


サプライチェーンマネジメントと情報共有

       1. サプライチェーンマネジメント   サプライチェーンというキーワードが出回り始めたのは1990年代中頃からだったと思います。...

       1. サプライチェーンマネジメント   サプライチェーンというキーワードが出回り始めたのは1990年代中頃からだったと思います。...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流5機能の意味するところ、サプライチェーンの範囲・物流工程設計

  【目次】 1. 物流の地位向上 物流という言葉の意味を教科書的に解釈すると、それは5機能ということになります。「輸...

  【目次】 1. 物流の地位向上 物流という言葉の意味を教科書的に解釈すると、それは5機能ということになります。「輸...


購買業務の要点:サプライヤー集約

 前回のその10に続いて解説します。サプライヤー評価を実施したらその結果に基づきAランクからDランクまで分類します。Dランクは取引停止対象だというお話を前...

 前回のその10に続いて解説します。サプライヤー評価を実施したらその結果に基づきAランクからDランクまで分類します。Dランクは取引停止対象だというお話を前...


改善に終わりなし 物流で会社利益向上のチャンスを見逃すな(その2)

◆ 物流コスト削減と物流改善  改善の優等生といえば製造業です。全従業員に至るまで改善活動が浸透しています。従業員は毎月何かしらの「改善提案」をする...

◆ 物流コスト削減と物流改善  改善の優等生といえば製造業です。全従業員に至るまで改善活動が浸透しています。従業員は毎月何かしらの「改善提案」をする...