物流の実力とは:高次元の物流を目指せ(その1)

 

◆ 物流の実力の明確化

 業務改善は、おかしいと思っていることを正すという意味で大切なことです。この改善にはスピードがつきものです。個々の調査分析に時間をかけている余裕があるのであれば、それよりも数多くの改善をこなしていった方がよいでしょう。私たちは常に競争社会の中で生きています。そのため業務改善は当たり前のように実施していかなければなりません。

 一方で現状の問題点をつぶすだけではなく長期的なビジョンを持って活動をしていくことも重要です。ではこの長期ビジョンをどのように組み立てていったらよいでしょうか。

 

 まずは自分たちの立ち位置を明確化すべきではないでしょうか。業界の中でどれくらいのポジションにいるのかを認識することは基本中の基本だと考えるべきでしょう。そのために必要になってくるのが「ベンチマーキング」です。このベンチマーキングの活動では一般的に世の中でのトップ水準のレベルを把握することが大切になってきます。

 陸上競技の世界記録、これがベンチマークの典型です。このベンチマーキングはそのデータを把握できるということがポイントになります。

 企業活動では売上高とか経常利益といった財務上のデータは把握が可能です。これは公開されていることが多いので比較的把握することが容易です。しかし公開されていないデータは把握することが困難です。業界として特定のKPI(Key performance indicator :重要管理指標)の調査を行い、業界内で比較し合うのであれば把握ができますが、大抵の場合こういったレベルのデータ把握は困難です。

 困難である理由は次の2つが考えられます。

  1. そもそも社内でKPIを把握していない
  2. 把握しているデータは秘匿データであり公開できない

 さらに困難となるのが会社によって把握しているKPIが異なるということです。ある会社は生産作業を行いながら物流作業も行っており、物流関連労務費が製造経費に含まれている、別の会社では構内請負を行っているため対外支払費...

になっているようなケースが考えられます。

 前者は製造生産性というKPI、後者は売上高構内物流コスト比率というKPIとして管理していることが考えられます。

 また取組範囲が会社によって異なることもKPI把握を困難にしています。たとえば調達物流費が部品費に含まれている会社もあれば、自社で引き取り物流を実施しており支払物流費として明確化されているケースもあるのです。

 

 次回に続きます。

 

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