サプライチェーンの重要な要素とは

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サプライチェーンマネジメント

 

1.サプライチェーンの本質

◆ リードタイム短縮という使命

サプライチェーン(SC)とは物の調達から加工、保管、輸送、販売に至るまでの連鎖のことを指します。この全体がよどみなく清々と流れることで、SCは効率化され、SC構成メンバーの収益向上にもつながるのです。今やサプライチェーンマネジメント(SCM)という言葉も一般的になりました。SC全体効率化に向けて様々な手を打とうとしている会社も多いことかと思います。

 

一方で、言葉だけが独り歩きしてしまっている会社もあることでしょう。つまりSCの本質を理解していないため、何をすべきかが分からないのです。そこでSCについて改めて考えてみたいと思います。

 

SCの流れがぶつ切り状態だと、それは効率化を阻害することになってしまいます。例えばSCの構成メンバーがそれぞれ好き勝手にものづくりをしている状況を考えてみましょう。その結果として後工程に対して在庫切れを発生させ、SCを途絶えてしまうことも考えられます。一方で安全を考えすぎるため、在庫を持ち過ぎることもあるでしょう。そうなると全体のリードタイムを伸ばしてしまい、効率化とは逆行することにつながります。

 

「お客様」はすぐに物を手に入れたいのです。一方で企業側は在庫を減らし、企業効率を向上させたいと考えます。これを両立させるためにはSCのリードタイムを極限まで短縮し、お客様から発注をいただいたら、間髪入れずに物を作ってお届けするという対応が必要になるのです。

 

ファストフードはある意味でSC効率化の一例ではないでしょうか。お客様からのオーダーに基づき、すぐ商品を作り提供します。ファストフードではある工程は事前に作り、また別の工程はオーダーを受けてから作るというように分類されています。

 

これを大きくしたものがSCだと考えれば良いかもしれません。物流はSC構成要素の一つですが、いかに短納期で実行するかが勝負だと思います。物流もリードタイム短縮とコスト削減といった一件背反するようなテーマを解決しなければなりません。それが実現できて初めて顧客に喜ばれる仕事ができたことになるでしょう。

 

2.物流会社のテリトリー

◆ 物流5機能にとらわれるな

サプライチェーン(SC)効率化において、物流は極めて重要な位置づけにあります。ここでいう物流とは何かということについて、認識しておく必要があるでしょう。物流には次の5つの機能があるといわれています。

  1. 輸送
  2. 保管
  3. 包装
  4. 荷役
  5. 流通加工

 

この5機能の定義に「情報」を加えた「物流の5機能プラスワン」として認識する必要があります。これは一般論です。しかしこれだけで十分とはいえません。逆に5機能にとらわれるとよくないかもしれません。なぜなら物流の領域はここまでで、それ以外は自分の仕事ではない、と主張する物流担当者が多いからです。

 

ということで、物流担当者は上記5機能プラスワン以外の領域について、きっちりと勉強していくことを考えていきましょう。

 

物流の5機能の中に「在庫」が抜けていることは大きな問題だと思います。物流担当者は「在庫は荷主会社が管理すべきことだ」といった考えから敬遠している節があります。たしかに「在庫」は何かしらの活動の結果として表れるものです。例えば、作り過ぎや買い過ぎは在庫を増やすことになります。また営業の需要予測が外れると、それも在庫の発生につながります。しかも売れ残りは死蔵在庫となり、処分せざるを得ない状況になるかもしれません。

 

そこで物流に携わる者は在庫の発生のメカニズムを学び、顧客である荷主にフィードバックを行う責務を負っていると考えた方がよさそうです。いつも申し上げていることですが、SC全体を俯瞰(ふかん)できるのが、物流の特権なのです。この立場を利用しない手はありません。

 

多くの物流会社は自分の狭いテリトリーの中だけで仕事をしています。運送会社であれば地点間運送だけ、倉庫業であれば倉庫での保管と入出庫だけ、といったイメージです。これは非常にもったいないことです。SC全体を俯瞰し、在庫を見ながらそれを統制すべきアイデアを、顧客に提案していくことでビジネスにもつながるのです。

 

では在庫発生のメカニズムについて考えていきましょう。まずは作り過ぎについてです。SCはすべての工程が同じ情報で動くことが必要です。極端な言い方をすれば、お客さんから受けた個々のオーダー単位で物を作っていくということになります。

サプライチェーンマネジメント

 

3.広い視野で先駆者利益を獲得

◆ 顧客への貢献方法

物流としてサプライチェーン(SC)全体を俯瞰(ふかん)し、その効率化に貢献できる方法は他にもあります。それは常日頃実施している倉庫の入出庫管理業務から生まれます。

 

SCの重要な要素に「お客様の望むものを超短納期でお届けする」ことが挙げられます。つまりSCのステークホルダー(株主、取引先、消費者など利害関係者)は皆「お客様の望むもの」を知っていなければならないということになります。

 

物流に携わっている会社やスタッフは日々の入出庫業務、特に「出荷」からこのニーズをつかむことができます。何が良く売れているのか、急に売れ出したものや、逆に鈍りつつあるものがよく分かるのです。

 

この情報を顧客に逐次フィードバックすることが物流の使命であるといえそうです。いつもより当日の出荷が30%以上前後したら、その情報を顧客に伝えるような積極的取り組みが求められます。そうすることで顧客の在庫マネジメントが有効となり、お客様に欠品を起こしたり不要在庫を抱えたりすることが極小化されるのです。さらに購入者の属性も分析し、顧客にフィードバックしてあげましょう。これは「販売分析」の一部です。顧客の営業の貴重な情報となることでしょう。要はPOSデータ[1]を有効...

サプライチェーンマネジメント

 

1.サプライチェーンの本質

◆ リードタイム短縮という使命

サプライチェーン(SC)とは物の調達から加工、保管、輸送、販売に至るまでの連鎖のことを指します。この全体がよどみなく清々と流れることで、SCは効率化され、SC構成メンバーの収益向上にもつながるのです。今やサプライチェーンマネジメント(SCM)という言葉も一般的になりました。SC全体効率化に向けて様々な手を打とうとしている会社も多いことかと思います。

 

一方で、言葉だけが独り歩きしてしまっている会社もあることでしょう。つまりSCの本質を理解していないため、何をすべきかが分からないのです。そこでSCについて改めて考えてみたいと思います。

 

SCの流れがぶつ切り状態だと、それは効率化を阻害することになってしまいます。例えばSCの構成メンバーがそれぞれ好き勝手にものづくりをしている状況を考えてみましょう。その結果として後工程に対して在庫切れを発生させ、SCを途絶えてしまうことも考えられます。一方で安全を考えすぎるため、在庫を持ち過ぎることもあるでしょう。そうなると全体のリードタイムを伸ばしてしまい、効率化とは逆行することにつながります。

 

「お客様」はすぐに物を手に入れたいのです。一方で企業側は在庫を減らし、企業効率を向上させたいと考えます。これを両立させるためにはSCのリードタイムを極限まで短縮し、お客様から発注をいただいたら、間髪入れずに物を作ってお届けするという対応が必要になるのです。

 

ファストフードはある意味でSC効率化の一例ではないでしょうか。お客様からのオーダーに基づき、すぐ商品を作り提供します。ファストフードではある工程は事前に作り、また別の工程はオーダーを受けてから作るというように分類されています。

 

これを大きくしたものがSCだと考えれば良いかもしれません。物流はSC構成要素の一つですが、いかに短納期で実行するかが勝負だと思います。物流もリードタイム短縮とコスト削減といった一件背反するようなテーマを解決しなければなりません。それが実現できて初めて顧客に喜ばれる仕事ができたことになるでしょう。

 

2.物流会社のテリトリー

◆ 物流5機能にとらわれるな

サプライチェーン(SC)効率化において、物流は極めて重要な位置づけにあります。ここでいう物流とは何かということについて、認識しておく必要があるでしょう。物流には次の5つの機能があるといわれています。

  1. 輸送
  2. 保管
  3. 包装
  4. 荷役
  5. 流通加工

 

この5機能の定義に「情報」を加えた「物流の5機能プラスワン」として認識する必要があります。これは一般論です。しかしこれだけで十分とはいえません。逆に5機能にとらわれるとよくないかもしれません。なぜなら物流の領域はここまでで、それ以外は自分の仕事ではない、と主張する物流担当者が多いからです。

 

ということで、物流担当者は上記5機能プラスワン以外の領域について、きっちりと勉強していくことを考えていきましょう。

 

物流の5機能の中に「在庫」が抜けていることは大きな問題だと思います。物流担当者は「在庫は荷主会社が管理すべきことだ」といった考えから敬遠している節があります。たしかに「在庫」は何かしらの活動の結果として表れるものです。例えば、作り過ぎや買い過ぎは在庫を増やすことになります。また営業の需要予測が外れると、それも在庫の発生につながります。しかも売れ残りは死蔵在庫となり、処分せざるを得ない状況になるかもしれません。

 

そこで物流に携わる者は在庫の発生のメカニズムを学び、顧客である荷主にフィードバックを行う責務を負っていると考えた方がよさそうです。いつも申し上げていることですが、SC全体を俯瞰(ふかん)できるのが、物流の特権なのです。この立場を利用しない手はありません。

 

多くの物流会社は自分の狭いテリトリーの中だけで仕事をしています。運送会社であれば地点間運送だけ、倉庫業であれば倉庫での保管と入出庫だけ、といったイメージです。これは非常にもったいないことです。SC全体を俯瞰し、在庫を見ながらそれを統制すべきアイデアを、顧客に提案していくことでビジネスにもつながるのです。

 

では在庫発生のメカニズムについて考えていきましょう。まずは作り過ぎについてです。SCはすべての工程が同じ情報で動くことが必要です。極端な言い方をすれば、お客さんから受けた個々のオーダー単位で物を作っていくということになります。

サプライチェーンマネジメント

 

3.広い視野で先駆者利益を獲得

◆ 顧客への貢献方法

物流としてサプライチェーン(SC)全体を俯瞰(ふかん)し、その効率化に貢献できる方法は他にもあります。それは常日頃実施している倉庫の入出庫管理業務から生まれます。

 

SCの重要な要素に「お客様の望むものを超短納期でお届けする」ことが挙げられます。つまりSCのステークホルダー(株主、取引先、消費者など利害関係者)は皆「お客様の望むもの」を知っていなければならないということになります。

 

物流に携わっている会社やスタッフは日々の入出庫業務、特に「出荷」からこのニーズをつかむことができます。何が良く売れているのか、急に売れ出したものや、逆に鈍りつつあるものがよく分かるのです。

 

この情報を顧客に逐次フィードバックすることが物流の使命であるといえそうです。いつもより当日の出荷が30%以上前後したら、その情報を顧客に伝えるような積極的取り組みが求められます。そうすることで顧客の在庫マネジメントが有効となり、お客様に欠品を起こしたり不要在庫を抱えたりすることが極小化されるのです。さらに購入者の属性も分析し、顧客にフィードバックしてあげましょう。これは「販売分析」の一部です。顧客の営業の貴重な情報となることでしょう。要はPOSデータ[1]を有効に活用できている業者ばかりではないということに気づく必要があるのです。

 

SCでは、リードタイムを短縮して顧客満足を高めることが重要な要素になりますので、最小限の在庫で運営することが求められるのです。そのために、さまざまな貴重な情報を物流側が把握し、ステークホルダーにフィードバックしていくことが物流価値を高めることにつながるでしょう。

 

自社のことしか考えていない物流会社は「在庫が減ると倉庫収入が減る」ということを平気で言い、在庫削減について否定的です。一方で上記のような情報源になる会社や在庫管理のできる会社は顧客に大変喜ばれ、評判が上がる物流会社だと言えます。

 

あくまでも物流を狭い視点でとらえるのではなく、SCという広い視野で仕事をしていきましょう。特にここまで広く貢献できている物流会社は少数派だと思いますので、今取り組むことが先駆者利益を得られるかもしれません。

 

【用語解説】

[1]POSデータ:販売時点データ、Point of Sales、POSデータには、いつ、どの店で、どの商品が、いくらで、何個、売れたのかという情報です。誰がという情報は含まれません。

 

 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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