後工程合わせの仕事で効率化「後工程はお客様」

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1. 後工程はお客様 

工場でも物流倉庫でも後工程の要請に合わせて仕事をしなければならないところですが実態はいかがでしょうか。仕事を実施する上で「後工程はお客様」という言葉があります。対外的には当たり前の話ですが、社内でもこの考え方で進めることが必要だと思います。

 

たとえば加工工程の次工程は組立工程、組立工程の次工程は出荷工程ということになります。物流倉庫で考えるならば入荷工程の次工程は入庫工程、ピッキング工程の次工程は梱包工程ということになります。物流品質不良を後工程が発見することがあります。人間は集中力が途切れたり疲労したりするとミスを犯します。

 

このミスが含まれた仕事は別の新鮮な目で見ることでミスの部分が見つけやすくなります。だから後工程でミスが見つかるのですがこれは後工程に迷惑をかけていることに他なりません。後工程が前工程の仕事をフォローするようなことに無いようにしっかりと仕事をしていきたいものです。

 

サプライチェーン全体の最適を私たちは考えていかなければなりませんが、このチェーンの中でそれぞれの工程が責任を持って仕事を実施していくことで後工程にしっかりとバトンを渡すことが可能になります。サプライチェーンを全体最適化するためには工程間で同期していくことが望ましい姿です。同期できれば原則として余分な在庫を持つ必要が無くなります。

 

では同期化するトリガーは何でしょうか。業種や製品により条件は異なるかもしれませんがそのトリガーは最終ユーザーの行動であると考えられます。最終ユーザーであるお客様が商品を発注することが最初のトリガーになります。発注指示を受けたサプライヤーは間髪をあけずにお客様に商品を渡すことが求められます。

 

するとその商品を運ぶという仕事が発生します。後工程であるお客様に商品をお届けするというプロセスが必要だからです。次に「運ぶ」という工程を「お客様」と認識する機能についても確認してみましょう。その工程とは一般的に出荷工程になります。

 

出荷工程は後工程であるお客様の満足いく仕事をしなければなりません。ではその「満足いく仕事」のレベルとはどのような水準を指すのでしょうか。

 

 

2. 出荷工程の前工程とは

エンドユーザーに対して納入遅れを発生させることは絶対に避けなければなりませんが、そのためには出荷トラックが遅れることは許されないわけですがもし遅れが発生するとしたらどのような要因なのかについて考えてみましょう。

 

その要因の一つは出荷工程にあります。出荷工程ではトラックが到着したらすぐに荷を積んで出発できるようにしておくことこそ仕事が良くできているという証だと思います。そのためにはトラックが到着したらすぐに荷を積みこめるようにあらかじめ「荷揃え」しておくことが求められます。

 

出荷場の担当者はトラックが到着するまでに荷揃えしておくことが仕事です。荷が揃わない恐れがある場合には前工程から情報を得るとともにしっかりと間に合わせてもらうように調整することも仕事の内です。出荷工程も前工程から見ればお客様です。工場の例で考えてみましょう。工場では出荷工程の前工程として組立工程が挙げられます。

 

組立工程ではいつ納期の製品を生産しているのかはわかっているはずです。その場合は当然のことながら出荷タイミングがわかりますのでそのタイミングまでには生産を終えて出荷工程に製品を渡す必要があります。時々生産が間に合わないので出荷トラックを待たせることがありますが、これは避けなければならない行為です。

 

もし店にお客さんが来られたら待たせるようなことが許されるでしょうか。常識ある店であればそのようなことは行いませんし仮にお客様を待たせたとしたらそのお客様は二度とその店の商品を買うことは無いでしょう。これと同じ意識を組立工程は持たなければならないのです。万一待たせてしまった場合はその分の代償を支払うべきでしょう。

 

組立工程責任で出荷製品が定刻に仕上がらないのであれば組立工程の責任と費用で別便を仕立ててお客様の所に届けなければならないでしょう。では組立工程の生産遅れが設備の不具合だったとしましょう。その責任は一義的には組立工程にあります。自工程で使う設備は日常点検で常に良い状態に保つことは自分たちの役割だからです。

 

一方で設備保全部署がやらなければならないほどの業務だったらいかがでしょうか。その場合は設備保全部署がお客様である組立工程にサービスを提供しなければならないのです。つまり設備保全部署の後工程は組立工程であり、そこがお客様であるという認識を持つ必要があるわけです。

 
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3. サプライチェーンの同期化

サプライチェーン上で後工程合わせの仕事をするうえで重要になってくることの一つに納期管理があります。各工程には計画時間が提示されていなければなりませんし、それを守って仕事をする必要があります。まったくもって当たり前の話ですが。

 

しかしこの当たり前のことができていますでしょうか。出荷に関してはおそらく時刻が定められていると思われます。

 

トラックが何時に出発するのか、これが決まっていないとお客様に対する納期を守れないことになりかねません。

 

ではその前工程はいかがでしょうか。前工程を出荷準備工程、すなわち荷揃え工程だとすると何時何分から何時何分までにその仕事を行わなければならないのかが不明確だということになっていませんでしょうか。

 

よく出荷トラックが18時に来るからすべての仕事はそれに合わせてやって欲しいといった曖昧な指示をする会社がありますがこれは望ましくありません。すべての工程は一日の終わりの時刻だけが決まっているだけのようなので、8時間分の仕事であろうと4時間分の仕事であろうと実際には8時間かけてやるようになります。

 

そうなると常にゆとりを持って仕事を行うことになります。仕...

 
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1. 後工程はお客様 

工場でも物流倉庫でも後工程の要請に合わせて仕事をしなければならないところですが実態はいかがでしょうか。仕事を実施する上で「後工程はお客様」という言葉があります。対外的には当たり前の話ですが、社内でもこの考え方で進めることが必要だと思います。

 

たとえば加工工程の次工程は組立工程、組立工程の次工程は出荷工程ということになります。物流倉庫で考えるならば入荷工程の次工程は入庫工程、ピッキング工程の次工程は梱包工程ということになります。物流品質不良を後工程が発見することがあります。人間は集中力が途切れたり疲労したりするとミスを犯します。

 

このミスが含まれた仕事は別の新鮮な目で見ることでミスの部分が見つけやすくなります。だから後工程でミスが見つかるのですがこれは後工程に迷惑をかけていることに他なりません。後工程が前工程の仕事をフォローするようなことに無いようにしっかりと仕事をしていきたいものです。

 

サプライチェーン全体の最適を私たちは考えていかなければなりませんが、このチェーンの中でそれぞれの工程が責任を持って仕事を実施していくことで後工程にしっかりとバトンを渡すことが可能になります。サプライチェーンを全体最適化するためには工程間で同期していくことが望ましい姿です。同期できれば原則として余分な在庫を持つ必要が無くなります。

 

では同期化するトリガーは何でしょうか。業種や製品により条件は異なるかもしれませんがそのトリガーは最終ユーザーの行動であると考えられます。最終ユーザーであるお客様が商品を発注することが最初のトリガーになります。発注指示を受けたサプライヤーは間髪をあけずにお客様に商品を渡すことが求められます。

 

するとその商品を運ぶという仕事が発生します。後工程であるお客様に商品をお届けするというプロセスが必要だからです。次に「運ぶ」という工程を「お客様」と認識する機能についても確認してみましょう。その工程とは一般的に出荷工程になります。

 

出荷工程は後工程であるお客様の満足いく仕事をしなければなりません。ではその「満足いく仕事」のレベルとはどのような水準を指すのでしょうか。

 

 

2. 出荷工程の前工程とは

エンドユーザーに対して納入遅れを発生させることは絶対に避けなければなりませんが、そのためには出荷トラックが遅れることは許されないわけですがもし遅れが発生するとしたらどのような要因なのかについて考えてみましょう。

 

その要因の一つは出荷工程にあります。出荷工程ではトラックが到着したらすぐに荷を積んで出発できるようにしておくことこそ仕事が良くできているという証だと思います。そのためにはトラックが到着したらすぐに荷を積みこめるようにあらかじめ「荷揃え」しておくことが求められます。

 

出荷場の担当者はトラックが到着するまでに荷揃えしておくことが仕事です。荷が揃わない恐れがある場合には前工程から情報を得るとともにしっかりと間に合わせてもらうように調整することも仕事の内です。出荷工程も前工程から見ればお客様です。工場の例で考えてみましょう。工場では出荷工程の前工程として組立工程が挙げられます。

 

組立工程ではいつ納期の製品を生産しているのかはわかっているはずです。その場合は当然のことながら出荷タイミングがわかりますのでそのタイミングまでには生産を終えて出荷工程に製品を渡す必要があります。時々生産が間に合わないので出荷トラックを待たせることがありますが、これは避けなければならない行為です。

 

もし店にお客さんが来られたら待たせるようなことが許されるでしょうか。常識ある店であればそのようなことは行いませんし仮にお客様を待たせたとしたらそのお客様は二度とその店の商品を買うことは無いでしょう。これと同じ意識を組立工程は持たなければならないのです。万一待たせてしまった場合はその分の代償を支払うべきでしょう。

 

組立工程責任で出荷製品が定刻に仕上がらないのであれば組立工程の責任と費用で別便を仕立ててお客様の所に届けなければならないでしょう。では組立工程の生産遅れが設備の不具合だったとしましょう。その責任は一義的には組立工程にあります。自工程で使う設備は日常点検で常に良い状態に保つことは自分たちの役割だからです。

 

一方で設備保全部署がやらなければならないほどの業務だったらいかがでしょうか。その場合は設備保全部署がお客様である組立工程にサービスを提供しなければならないのです。つまり設備保全部署の後工程は組立工程であり、そこがお客様であるという認識を持つ必要があるわけです。

 
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3. サプライチェーンの同期化

サプライチェーン上で後工程合わせの仕事をするうえで重要になってくることの一つに納期管理があります。各工程には計画時間が提示されていなければなりませんし、それを守って仕事をする必要があります。まったくもって当たり前の話ですが。

 

しかしこの当たり前のことができていますでしょうか。出荷に関してはおそらく時刻が定められていると思われます。

 

トラックが何時に出発するのか、これが決まっていないとお客様に対する納期を守れないことになりかねません。

 

ではその前工程はいかがでしょうか。前工程を出荷準備工程、すなわち荷揃え工程だとすると何時何分から何時何分までにその仕事を行わなければならないのかが不明確だということになっていませんでしょうか。

 

よく出荷トラックが18時に来るからすべての仕事はそれに合わせてやって欲しいといった曖昧な指示をする会社がありますがこれは望ましくありません。すべての工程は一日の終わりの時刻だけが決まっているだけのようなので、8時間分の仕事であろうと4時間分の仕事であろうと実際には8時間かけてやるようになります。

 

そうなると常にゆとりを持って仕事を行うことになります。仕事にある程度のゆとりはあってもよいかもしれませんが、アウトプットにつながらないゆとりはロスに他なりません。

 

ですから後工程を基準に前工程は何時何分までに後工程に渡すということを決める必要があります。これをすべての工程で行うことで納期について後工程に対する保証ができるようになるのです。

 

サプライチェーンの理想形は最終工程を起点にすべての工程が一本のコンベアでつながっているイメージです。これがサプライチェーンの同期化です。サプライチェーンのいずれかで問題が発生するとすべての工程が止まってしまうことになります。これくらいの危機感を持って仕事をすべきであり、実際にそのようにならないように体質を改善していかなければなりません。

 

最低限後工程に対して迷惑をかけないこと、プロとしてこれを実現することが最優先課題ではないでしょうか。ぜひ皆さんの会社でも後工程と同期化し、少ない在庫で運営できるように努力をしていきましょう。

 

 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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