豊洲市場をクリーン化視点で考える

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1.クリーン化を幅広く捉える

 私にクリーン化を指導してくれた恩師ともいうべき人は、「クリーン化を幅広く捉えなさい」と言っていました。現場のゴミという小さなものだけでなく、その先に存在する大きなものを見ることも大切。また逆に大きなものから段々絞り込んで、小さなものを見ることも大切です。
 
 自分は定年退職したら地球の環境を考えたい。とりあえず畑の草取りからだ。変な草もあるから、などと昼食後の雑談の時、冗談を交えて色々話をしてくれました。たぶん、物事は視野を広く、多面的に見たり考えたり、その先にある影響も考え行動しなさいと言いたかったのだと思います。
 
 確かに、田んぼの土手を散歩すると、休耕田には外来植物が溢れています。また自宅の小さな家庭菜園でも、タヌキやキツネではなく、アライグマなどの外来の動物をたまに見ることがあります。このトマトは明日採ろうという会話を聞いているのか、夜の間になくなっているのです。
 
 外来魚やその他の動植物などが、日本の固有種を脅かしているのです。こういう状況に接すると、昔の諺にある“悪貨は良貨を駆逐する”というのを思い出します。
 

2.豊洲市場の事例から

 豊洲市場のことですが、建物の下に大量の水が溜まっている報道を見た瞬間、私は環境的に心配になりました。あまり表面的には話題になっていませんが、あれだけ水が溜まるということは、市場全体では想像できない水たまりが存在するでしょう。ここにボウフラなどは瞬く間に発生すると思います。しかもおびただしい量でしょう。すると、最近話題になっているジカ熱やデング熱などの発生も容易に推測できます。
 
 クリーン化諏訪湖では春、秋ウンカが大発生します。正式にはユスリカと言います。諏訪の会社に通勤している時は、そのおびただしい数に圧倒されたものです。その時期には箒で掃くのが日常的に起こります。これから連想すると、豊洲市場でも相当な量が発生するでしょうが、一匹ずつの退治は不可能であり薬剤散布がされるかもしれません。食の安全を守る面からすればこれも問題になるでしょう。
 
 虫は紫外線への直進性という性質があります。紫外線に向かって集まるのですが、クリーンルームの蛍光灯などに向かって万が一入ってしまうと、エサがないのでやがて死にます。その死骸が粉になって舞うことで製品品質に影響する場合があります。
 
 一方、豊洲市場で大発生した場合も、鮮魚などの売り場の蛍光灯に沢山集まるでしょう。そこで殺虫剤は使えません。ハエや蚊が日常的に舞うことは不衛生なイメージを与えます。築地でも皆無ではなかったと推測しますが、量的には少なかったのでしょう。
 
 リオ五輪は気温が低い時期であり、ジカ熱の発生は抑えられたとのことですが、真夏は要注意とのことです。東京五輪は真夏に行われます。しかも東京の夏の暑さは他の暑い地域に匹敵しますから大量に発生するでしょう。日当たりが良ければたまり水はすぐ乾くでしょうが、建物の中であれば水場を提供しているようなものです。
 
 私は田舎に住んでいて、昔はあまり新鮮な魚介類は口に入りませんでした。築地直送などと言うトラックが来たり、スーパーの広告にも同様の記載があれば興味を持ったものです。築地=新鮮という印象であり、高級ブランドが人を呼ぶんですね。
 
 これが豊洲でも同じように継承できるのでしょうか。都民の台所ではなく日本の台所なのです。もしかすると世界の台所の一部かもしれません。もっと広い視野で、企業の役割とその果たすべき責任と同じ目で見てもらいたいものです。(CSRの考え方ですね)
 
 日本食は世界遺産にも登録されました。これは、料理の味や見た目の美しさ上品さだけでなく、清潔、安全をも含んでいると思います。外国からの旅行者も、築地市場に来たり、日本食に触れて食の安全も感じながら心を満たしているに違いありません。ここにおもてなしの心も存在するはずです。ところが、現状では、評判が落ちることは避けられません。特に観光客の増加やオリンピックという格好の宣伝の機会があるのに、悪い評判が出てしまっては残念なことです。
 
 グッドマンの第二法則...

1.クリーン化を幅広く捉える

 私にクリーン化を指導してくれた恩師ともいうべき人は、「クリーン化を幅広く捉えなさい」と言っていました。現場のゴミという小さなものだけでなく、その先に存在する大きなものを見ることも大切。また逆に大きなものから段々絞り込んで、小さなものを見ることも大切です。
 
 自分は定年退職したら地球の環境を考えたい。とりあえず畑の草取りからだ。変な草もあるから、などと昼食後の雑談の時、冗談を交えて色々話をしてくれました。たぶん、物事は視野を広く、多面的に見たり考えたり、その先にある影響も考え行動しなさいと言いたかったのだと思います。
 
 確かに、田んぼの土手を散歩すると、休耕田には外来植物が溢れています。また自宅の小さな家庭菜園でも、タヌキやキツネではなく、アライグマなどの外来の動物をたまに見ることがあります。このトマトは明日採ろうという会話を聞いているのか、夜の間になくなっているのです。
 
 外来魚やその他の動植物などが、日本の固有種を脅かしているのです。こういう状況に接すると、昔の諺にある“悪貨は良貨を駆逐する”というのを思い出します。
 

2.豊洲市場の事例から

 豊洲市場のことですが、建物の下に大量の水が溜まっている報道を見た瞬間、私は環境的に心配になりました。あまり表面的には話題になっていませんが、あれだけ水が溜まるということは、市場全体では想像できない水たまりが存在するでしょう。ここにボウフラなどは瞬く間に発生すると思います。しかもおびただしい量でしょう。すると、最近話題になっているジカ熱やデング熱などの発生も容易に推測できます。
 
 クリーン化諏訪湖では春、秋ウンカが大発生します。正式にはユスリカと言います。諏訪の会社に通勤している時は、そのおびただしい数に圧倒されたものです。その時期には箒で掃くのが日常的に起こります。これから連想すると、豊洲市場でも相当な量が発生するでしょうが、一匹ずつの退治は不可能であり薬剤散布がされるかもしれません。食の安全を守る面からすればこれも問題になるでしょう。
 
 虫は紫外線への直進性という性質があります。紫外線に向かって集まるのですが、クリーンルームの蛍光灯などに向かって万が一入ってしまうと、エサがないのでやがて死にます。その死骸が粉になって舞うことで製品品質に影響する場合があります。
 
 一方、豊洲市場で大発生した場合も、鮮魚などの売り場の蛍光灯に沢山集まるでしょう。そこで殺虫剤は使えません。ハエや蚊が日常的に舞うことは不衛生なイメージを与えます。築地でも皆無ではなかったと推測しますが、量的には少なかったのでしょう。
 
 リオ五輪は気温が低い時期であり、ジカ熱の発生は抑えられたとのことですが、真夏は要注意とのことです。東京五輪は真夏に行われます。しかも東京の夏の暑さは他の暑い地域に匹敵しますから大量に発生するでしょう。日当たりが良ければたまり水はすぐ乾くでしょうが、建物の中であれば水場を提供しているようなものです。
 
 私は田舎に住んでいて、昔はあまり新鮮な魚介類は口に入りませんでした。築地直送などと言うトラックが来たり、スーパーの広告にも同様の記載があれば興味を持ったものです。築地=新鮮という印象であり、高級ブランドが人を呼ぶんですね。
 
 これが豊洲でも同じように継承できるのでしょうか。都民の台所ではなく日本の台所なのです。もしかすると世界の台所の一部かもしれません。もっと広い視野で、企業の役割とその果たすべき責任と同じ目で見てもらいたいものです。(CSRの考え方ですね)
 
 日本食は世界遺産にも登録されました。これは、料理の味や見た目の美しさ上品さだけでなく、清潔、安全をも含んでいると思います。外国からの旅行者も、築地市場に来たり、日本食に触れて食の安全も感じながら心を満たしているに違いありません。ここにおもてなしの心も存在するはずです。ところが、現状では、評判が落ちることは避けられません。特に観光客の増加やオリンピックという格好の宣伝の機会があるのに、悪い評判が出てしまっては残念なことです。
 
 グッドマンの第二法則(良い情報は伝わりにくいが、悪い情報は非常に速く、しかも広範囲に拡散する)を重ねてしまいます。こういうことは、環境影響評価(環境アセスメント)を事務的に行ってはいけないんですね。他人事ではなく一歩進んで、現場をよく見て自分の問題として捉えると、おのずと進め方や責任が見えてくると思います。これはクリーン化の考え方と同じです。
 
 少し拡大した話題になりましたが、クリーン化活動でものづくり現場を改善し、積み上げていく。それが日本のものづくりの良さ、強さだと思います。地味に地道にコツコツと積み上げて来てその信頼を得て来たはずですが、一度信頼を失うと、あっという間に崩れます。築地市場も先人たちの苦労が積み重なって、今に至っていると思います。形だけの引っ越しではなく、それらも考えながら、世界の手本となる市場にして欲しいものです。

 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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