前回のその2:物流に表れる 生産・調達・営業の結果に続いて解説します。
1. 物流部門からの情報発信
物流は往々にして何らかの行動の結果として生まれる現象ととらえることができます。前回の事例のように各部門が部分最適を求めて勝手に動くとその傾向が強まります。そこで物流についてはその要因を発生させる部門で費用を負担する方向に改めると良いと思います。たとえば次のような例です。
・ ロット生産で必要になる物流エリア、容器、機器、工数等 ==> 生産部門
・ 調達方法で必要になる物流エリア、容器、機器、工数等 ===> 購買部門
・ 売買契約で必要になる輸送コスト =============> 営業部門
物流コストは、その恩恵を受ける部門で負担するという思想です。受益者負担と考えればわかりやすいのではないでしょうか。こうすることで必要以上の行為が改められる可能性があります。ただし、そうなる前に物流は自部署で発生しているさまざまな現象についてその要因部署へ情報発信することが必要です。なぜならば、生産部門や営業部門、購買部門などは物流現場に行くことがほとんど無いと思われます。そうなると物流現場にどのような影響があるかなど、知る由もないからです。
物流部門は影響度合いについて数字で示すことが望ましいでしょう。エリアが何m2必要になっているのか、物流工数がどれくらい余分に必要になっているのか、容器が不足して詰め替えコストがどれくらい発生しているのかなど、数字で示せば相手も納得するでしょう。実はこの物流による情報発信ですが、社内でのやりとりに限られるわけではありません。顧客との間でも情報を渡して改善要請を行った方が良いケースもあるのです。例えば、当初の契約時と状況が大幅に変更されたのであれば、契約内容の見直しも必要になります。この状況変化は軽油価格、労務費、荷量の大幅な変動、為替の変動などが挙げられます。何の情報も発信しなければ物流の状況は変わりません。そこで契約時との状況変化があれば、それについて顧客と話し合いをするべきなのです。
2. 荷主に喜ばれる情報とは
物流側から情報を発信することで、本来部署の改善につながるということを頭の中に入れて活動しましょう。例えば、まとめて大ロットで生産する工程に対してもの申すことにより、その部署ではロットサイズを小さくする活動を迫られます。これによって結果的にその工程が小ロット生産に対応できるようになれば、その工程が改善され体力が向上したことになるのです。
どこの部署も今のやり方がベストであると思い込んでいる節があります。しかし他社ではもっと良いやり方をしている可能性があります。物流からプレッシャーをかけることで競争力を身につけることができるのであれば、こんな大きな貢献はありません。
他業界で実施している先進物流の情報を荷主会社に対して行うと喜ばれます。もちろん秘匿情報もありますから常識の範囲内で情報提供することは言うまでもありません。荷主会社は他社、他業界でどのような物流を実施しているのかをとても気にしているのです。なかなか同業他社を見に行くことができず情報源を掴みかねています。
しかし、物流会社はいろいろな会社に入り込める特権を持っています。そのため、ドライバーは意識して見ていればいろいろな情報を収集することができるのです。物流会社はこのドライバーの情報を吸い上げ、それを営業に活用すると良い...