1. 物流の実態
会社全体の物流がどのレベルなのかをきっちりと把握しておくことが望ましいと思います。しかし多くの会社でその実態を数字で把握できていないと言わざるを得ません。その大きな理由の一つとして、会社が物流に興味を示していなかったことが挙げられます。会社が物流に関心が無いと担当者もあえて物流に関するデータを取ろうとはしません。しかし、
物流コストは会社の営業利益に匹敵する規模だということに気づいていただきたいのです。日本ロジスティクスシステム協会の調査によりますと、会社の売上高に対する物流コストの比率は4%になっています。
いかがでしょうか。御社の売上高営業利益率は4%を大きく上回っていますでしょうか。これが倍以上である10%規模の利益であればまだしも、ほぼ同水準あるいは営業利益率の方が低いとなった場合、物流は全く無視できない存在となるのです。もちろん物流はコストだけという考え方は正しくありません。物流は顧客に対するサービスでありバリューです。一定の物流コストをかけてでも会社のバリューを高め、売り上げを伸ばしていくことも十分にありえます。
そうは言いつつも物流の実態がわかっていないということは望ましい姿ではありません。そこで、物流の現状を把握する必要性が出てくるのです。一方で物流とは何を指すのかという定義も議論を呼びます。この定義は必要であるとともにやや難しい領域でもあります。そこでまず物流として現状を把握すべき機能について考えてみたいと思います。物流では、一般的に5つの機能があると言われています。それは以下の5つです。
・輸送 ・保管 ・荷役 ・包装 ・流通加工
さらに情報という機能を加えて5機能プラスワンと呼ばれます。これらの機能が皆さんの会社の中であるいはアウトソース先で発生していたとしたらその実態について把握するとよいでしょう。ではどのような把握方法があるでしょうか。保管を例にとって考えていきましょう。
2. 保管の現状把握
物流の重要機能である保管について現状把握をしてみましょう。この時にまず保管に関わるコストを見ていくとよいでしょう。保管機能を4M(人、もの、設備、方法)の4つの視点から見てみます。人はまさにその保管機能に関わる人件費です。その倉庫あるいは保管エリアで入出庫作業や在庫管理などを行っている作業者の方の人件費を把握します。社員であれば法定福利費や福利厚生費などを含めたすべての人件費で把握するということがポイントです。パートやアルバイトであれば実際の支払賃金と採用にかかったコストを加えます。
物であれば入出庫に使うフォークリフトの燃料、棚番表示などにつかう器材、安全保護具や消火器などの安全対策用品など倉庫運営に関わるもののコストを把握します。設備は倉庫建屋やラック、自動倉庫やフォークリフトなどの機器が対象になります。情報はその保管場で必要な情報、例えば入出庫指示情報や在庫管理情報など、保管を管理するための情報投資のコストが対象になります。
さらにそこで発生している地代、自社倉庫であれば償却費や近隣の地代などで明らかに発生しているコストを明確にしていきます。また水道光熱費や固定資産税、保険料、補修費などいろいろなコストが発生していると思われます。これらについて一度調査を行い、その保管にかかっているトータルコストを明らかにしましょう。
意外とここまで気を配ってみることは少な...