1. 梱包作業:袋詰め作業
物流工程の一つに梱包作業があります。この作業は機械化されているものも一部でありますが、手作業で一つひとつ行っていくパターンの方が多いようです。この梱包作業が人による手作業であるからには極力効率的な作業にしていきたいものです。
梱包作業の一つに「袋詰め作業」があります。小さな製品を小さなポリ袋に入れていく作業は簡単なようですが、実際は神経を使うものです。この「袋詰め作業」の効率化について考えてみましょう。まず「袋詰め作業」のメイン作業はというと、製品を袋に入れる、という作業になります。袋に入れて封をしたところで付加価値が生まれます。では、これ以外にはどういった作業があるでしょうか。製品を準備する、ポリ袋を準備する、完成品を運搬する、といった作業が考えられます。
まず、メインの作業である「袋詰め」と、これらの作業の分担をしましょう。なぜなら、これらをいっしょくたにすると本業である「袋詰め作業」のペースが乱され、効率を落とすからです。別の人が「製品・ポリ袋」を袋詰め作業者に渡す作業、完成品を引き取る作業を担当します。その心は、その人が袋詰め作業のペースメーカー的役割を果たし、倉庫内の作業効率を上げることにあります。
次に、袋詰めの作業改善です。作業者は袋を取り、袋を広げ、製品を取り袋の中に入れ、封をする、という手順で作業を進めていくと思われます。この工程以外の作業があったら、そこを改善する必要があります。例えば、袋を入れてある梱包を開くとか、封をするために使うホチキスの針を補充するといった作業です。
梱包を開く、針を補充するといった作業は梱包作業中に行わないようにします。そのためには別の人が行う、あるいは、その人が針の十分入ったホチキスを作業開始時に届ける、といった改善をすることで前述のムダを省くようにします。よくポリ袋に入れた後ラベルを貼付する作業があります。袋詰めをすべて行った後にやるべきか、袋詰めの都度貼り付けるか迷うところです。
2. 標準作業の確立
ポリ袋に入れた後、ラベルを貼付する作業について、それをまとめてやるのか、一袋詰め終わる単位にやるのか、迷うところです。望ましい作業の仕方は一つひとつ、片づけていくことであるのではないかと思います。つまり、ポリ袋詰め作業の完成がラベル貼りで終わるのであれば、一袋詰めるごとに貼り付けていくことです。
生産には一個送り生産と、ロット生産との二通りがあります。袋詰め作業は梱包作業とはいえ製品の入った袋を作るという意味では一種の生産作業です。従ってラベルを一枚ずつ貼れば一個送り生産、まとめて貼ればロット生産ということになります。
ロット生産ではロット在庫が発生するため、ジャストインタイムの思想からは望ましくないと言われます。ただし、すでに発注がかかっているものであれば、そのロット在庫はすぐにはけることになりますので、それほど神経質になることはないでしょう。むしろ間違いのない品質の高い梱包、効率のよい梱包はどちらなのかを考えて判断すればよろしいのではないかと思います。
さて、倉庫内での梱包作業を見ていると、複数の人が同じ梱包作業をやっていることに気づくことがあります。これは多量の梱包を短時間でやる場合、いわゆる手分け作業で初めから終わりまで各作業者が行うことがあるのです。
この作業を見ていると作業の仕方、手順などが異なることに気づきます。実は、これは標準作業が確立されていないことで発生するのです。やり方や要領が異なることで、一人当たりの出来高も違ってきます。それだけではなく、品質に差が出ることが考えられます。
AさんとBさんとで梱包品質が異なることは望ましいことではありません。梱包作業改善を行う場合には標準作業の確立は必須要件です。そして、その中に品質上の急所を必ず記載する必要があります。これによって梱包品質不良による返品も減ることになりますから、場合によっては大きな改善につながる可能性があります。
3. 作業性の工夫
複数の作業者で同じ梱包作業を行う、これは限られた時間内で仕事を終わらせる必要性から生じるのですが、この作業者への仕事の与え方には二通りがあります。たとえば、その梱包作業が袋詰め、ホチキス止め、ラベル貼り、箱詰め、出荷ラベル貼りという工程だったとします。
この一連の流れをそれぞれの作業者が最初から最後まで行うのが一つ。そして、この作業を分割してライン作業で行うのがもう一つです。できれば二人以上に分割して流れ作業で行ったらよいのではないかと思います。その理由は後工程の人が前工程の人の作業品質を確認しながら行うことで、梱包不良を減らすことができるためです。
よく手袋作業と素手で行う作業を同一...