物流委託先とのパートナーシップとは

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1. 管理技術の伝授

 皆さんの会社では、多くの物流業務を物流委託先に外注(アウトソース)しているのではないでしょうか。物流アウトソーシングを行っていても、実際にはコスト削減や物流品質向上の効果が見られないというケースに遭遇することがあります。もし、皆さんでしたらこのような場合にはどういった対応を取りますでしょうか。口うるさく物流委託先に指導し続けますか。もちろん、こういった愚直かつ根気強い対応も必要です。一方で、もし委託先が改善手法について知らなかったとしたらどうでしょうか。
 
 皆さんは、外注先指導を行った経験はありますでしょうか。外注先に直接出向き、問題点を指摘するとともに解決方法を指南するのです。この時にとても有効になってくるものが「管理技術」です。皆さんが普段当たり前に使っている改善手法や現場管理技術などは実際のところ製造業以外ではあまり一般的ではない事実があります。日本はこのような現場改善手法があったからこそ、日本の製造業が世界一になることができたともいえるのです。
 
 製造業以外で一般的ではないということは、皆さんの委託先である物流委託先でも同様であると考えられます。そこで、これらの手法を伝授してあげるととても喜ばれると思います。なぜなら、委託先は学んだ手法を活用してさらなる改善を進めることができるようになるからです。ここは出し惜しみをせずに、存分にノウハウを伝授していきましょう。
 
 「ムダを見つける視点」や「現場分析手法」、「QCストーリーによる改善の進め方」など委託先にとっては目からウロコの内容が盛りだくさんだと考えられます。このように相手に「Give」を与えることで、最終的には自社の効率化にも貢献してもらうことができるはずなのです。改善はお互いのためになることですから Win-Winの状況を築くように実施すべきです。それは取引が長続きすることにもつながりますし、お互いが成長することにもなります。そこで皆さんが委託先にこのような「Give」を行い、「Win-Win」を目指しましょう。
  SCM
 

2. 定期ミーティングで情報提供

 運送会社に限らず取引先であるサプライヤーを育成することは皆さんの責務であると認識していただきたいと思います。筆者も数多くの運送会社や倉庫会社を見ていますが、ここはよくできているな、と感じる現場を持っている会社は間違いなく「うるさい顧客」を抱えています。うるさい顧客とは取引したくないと思われるかもしれません。しかし、運送会社でも部品サプライヤーでも同様にいえることは「うるさい顧客」がいないと成長しないということです。
 
 うるさい顧客の担当者は、ことあるごとに運送会社の現場を訪問し、改善を促します。5Sができていなければ具体的な手順を示し実行を促すのです。もし、皆さんが運送会社の立場だったらこのような顧客をどう思いますでしょうか。考えてみて下さい。このように顧客から指導を受けるということはコンサルタントを入れて改善を行うことと同じです。高額な報酬を支払って行うことを無償でできてしまう。これほどおいしい話はないのではなかでしょうか。
 
 さらに現場管理技術を備えている物流委託先は多くありません。これらの会社が他社に拡販する際の大きな武器にもなることを付け加えておきましょう。物流委託先とは共同改善を行い、お互いそのメリットを享受したいものです。発注側と委託先が共同で改善活動を進め、その状況については定期ミーティングで確認していくとよいでしょう。
 
 定期ミーティングを実施することにより、PDCAサイクルを回していくのです。併せてこのミーティングで自社の中長期生産計画(販売計画)や現時点での会社の状況などの情報を委託先に提供するとよいと思います。委託先が事前情報に基づいた効率的な業務運営ができる環境整備をサポートするのです。急激に生産(販売)が増えて物流業務に支障をきたすようなことを防ぐためにも、情報提供は欠かせません。
 
 また、年に2回ほど、パフォーマンスレビュー・ミーティングを実施することをお勧めします。これはお互いの会社のトップマネジメントが出席して会社の状況や最新の生産(販売)状況、物流情報などについての意見交換を行うとともに、改善の進捗状況についてのパフォーマンス確認を行う場です。
 

3. 共同改善で Win-Win を目指す

 パフォーマンスレビュー・ミーティングは節目である上期終了時点と年度終了時点に実施します。お互い年初に合意した約束事項を確実に実行しているのかを、両社のトップマネジメントの前でそれぞれの会社の担当者が報告を行うのです。トップマネジメントはその報告に対して的確なアドバイスを実施します。これがまた、次年度の活動に生きてくることになるのです。
 
 お互い共通のサプライチェーンの構成メンバーであるため、それをよりよくしていくという共通認識を持ちます。どちらか一方だけの利益を考えるのではなく、すべての参加会社のそしてサプライチェーン全体の利益を考えて実行計画を検討する場でもあるのです。せっかく物流の委託先を選定したからには彼らのプロとしての力を借りない手はないでしょう。工場の管理者なら物流改善のネタのカードは多く持っているに越したことはありません。
 
 そこで委託先との共同改善の手法を実施し、工場物流改善にぜひ協力してもらうことに...

1. 管理技術の伝授

 皆さんの会社では、多くの物流業務を物流委託先に外注(アウトソース)しているのではないでしょうか。物流アウトソーシングを行っていても、実際にはコスト削減や物流品質向上の効果が見られないというケースに遭遇することがあります。もし、皆さんでしたらこのような場合にはどういった対応を取りますでしょうか。口うるさく物流委託先に指導し続けますか。もちろん、こういった愚直かつ根気強い対応も必要です。一方で、もし委託先が改善手法について知らなかったとしたらどうでしょうか。
 
 皆さんは、外注先指導を行った経験はありますでしょうか。外注先に直接出向き、問題点を指摘するとともに解決方法を指南するのです。この時にとても有効になってくるものが「管理技術」です。皆さんが普段当たり前に使っている改善手法や現場管理技術などは実際のところ製造業以外ではあまり一般的ではない事実があります。日本はこのような現場改善手法があったからこそ、日本の製造業が世界一になることができたともいえるのです。
 
 製造業以外で一般的ではないということは、皆さんの委託先である物流委託先でも同様であると考えられます。そこで、これらの手法を伝授してあげるととても喜ばれると思います。なぜなら、委託先は学んだ手法を活用してさらなる改善を進めることができるようになるからです。ここは出し惜しみをせずに、存分にノウハウを伝授していきましょう。
 
 「ムダを見つける視点」や「現場分析手法」、「QCストーリーによる改善の進め方」など委託先にとっては目からウロコの内容が盛りだくさんだと考えられます。このように相手に「Give」を与えることで、最終的には自社の効率化にも貢献してもらうことができるはずなのです。改善はお互いのためになることですから Win-Winの状況を築くように実施すべきです。それは取引が長続きすることにもつながりますし、お互いが成長することにもなります。そこで皆さんが委託先にこのような「Give」を行い、「Win-Win」を目指しましょう。
  SCM
 

2. 定期ミーティングで情報提供

 運送会社に限らず取引先であるサプライヤーを育成することは皆さんの責務であると認識していただきたいと思います。筆者も数多くの運送会社や倉庫会社を見ていますが、ここはよくできているな、と感じる現場を持っている会社は間違いなく「うるさい顧客」を抱えています。うるさい顧客とは取引したくないと思われるかもしれません。しかし、運送会社でも部品サプライヤーでも同様にいえることは「うるさい顧客」がいないと成長しないということです。
 
 うるさい顧客の担当者は、ことあるごとに運送会社の現場を訪問し、改善を促します。5Sができていなければ具体的な手順を示し実行を促すのです。もし、皆さんが運送会社の立場だったらこのような顧客をどう思いますでしょうか。考えてみて下さい。このように顧客から指導を受けるということはコンサルタントを入れて改善を行うことと同じです。高額な報酬を支払って行うことを無償でできてしまう。これほどおいしい話はないのではなかでしょうか。
 
 さらに現場管理技術を備えている物流委託先は多くありません。これらの会社が他社に拡販する際の大きな武器にもなることを付け加えておきましょう。物流委託先とは共同改善を行い、お互いそのメリットを享受したいものです。発注側と委託先が共同で改善活動を進め、その状況については定期ミーティングで確認していくとよいでしょう。
 
 定期ミーティングを実施することにより、PDCAサイクルを回していくのです。併せてこのミーティングで自社の中長期生産計画(販売計画)や現時点での会社の状況などの情報を委託先に提供するとよいと思います。委託先が事前情報に基づいた効率的な業務運営ができる環境整備をサポートするのです。急激に生産(販売)が増えて物流業務に支障をきたすようなことを防ぐためにも、情報提供は欠かせません。
 
 また、年に2回ほど、パフォーマンスレビュー・ミーティングを実施することをお勧めします。これはお互いの会社のトップマネジメントが出席して会社の状況や最新の生産(販売)状況、物流情報などについての意見交換を行うとともに、改善の進捗状況についてのパフォーマンス確認を行う場です。
 

3. 共同改善で Win-Win を目指す

 パフォーマンスレビュー・ミーティングは節目である上期終了時点と年度終了時点に実施します。お互い年初に合意した約束事項を確実に実行しているのかを、両社のトップマネジメントの前でそれぞれの会社の担当者が報告を行うのです。トップマネジメントはその報告に対して的確なアドバイスを実施します。これがまた、次年度の活動に生きてくることになるのです。
 
 お互い共通のサプライチェーンの構成メンバーであるため、それをよりよくしていくという共通認識を持ちます。どちらか一方だけの利益を考えるのではなく、すべての参加会社のそしてサプライチェーン全体の利益を考えて実行計画を検討する場でもあるのです。せっかく物流の委託先を選定したからには彼らのプロとしての力を借りない手はないでしょう。工場の管理者なら物流改善のネタのカードは多く持っているに越したことはありません。
 
 そこで委託先との共同改善の手法を実施し、工場物流改善にぜひ協力してもらうことにしましょう。委託先からの提案を実際に実現できるように、お互いに協力し合って進めていくようにしたいものです。委託先との定期ミーティングを実施していくことを書かせていただきました。ぜひこのミーティングを活用し共同改善を実施していきましょう。
 
 この共同改善は、自社にメリットがある改善のみならず委託先にも効果が及ぶ改善も含まれます。また、一つの改善の効果はどちらか一方が享受するのではなく、お互いが享受できるようなルールを作ることが長続きの秘訣です。すべての改善について効果を半々で享受するパターンもあれば、より改善に貢献した方が多く取るパターンもあるでしょう。
 
 大切な点は「独り占め」は避けた方がよいということです。委託先との良好な関係を保つためにもフェアなやり方で進めていくことが重要です。委託先である物流会社とは、お互い改善数値目標を握る必要があります。自社が改善すべき目標、委託先に改善してもらう目標が数値化されていれば、後はこの数値を実現できるアイデアを出す過程に入ります。輸送方法や運搬のやり方などは、委託先の方が知識を持っているはずなので積極的に改善案を出してもらいましょう。いかがでしょうか。物流委託先とのパートナーシップにはさまざまなことがあります。お互いが Win-Win になるように努力していきましょう。
 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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