経済性工学は、費用対効果、損得計算、意思決定のための経済性分析などとも表現されており、不確実性の時代には、技術者が成果を確かなものにするための差別化スキルとなることでしょう。今回はその手始めとして、前段階のR&D評価法を、次回以降で技術者が押さえておくべき経済性工学のエッセンスとして、下記の番号順にまとめました。最初にお断りしておきますと、一本釣りした研究開発テーマだけを計算してもあまり意味がありません。いくつかの代替案を示し、どの案の利益が大きいかで判断するところに価値があります。さらに、不確実性が高い場合には、感度分析で条件を変えてみることで最適な意思決定に繋がります。
1. R&Dを定量評価する
1.1 企業の目標とは
研究及び技術開発を定量的に評価することは、将来にわたって恒久的な課題です。いくつかの企業やシンクタンクなどで知識生産性測定を模索する試行錯誤が行われており、問題意識は非常に高くなっています。目標の高い技術者にとって、ここが勝負どころとなります。
企業活動を、図1.1に示すように顧客の視点、業務プロセスの視点、財...