1. 値引きの原因は、人は痛みを避けたいから
人の行動は複雑怪奇。親切に「ありがとう」と感謝する人もいるし、「余計なことをするな」と怒る人もいます。しかし、行動原理は意外に単純で、極論すれば「嫌なことを避ける」「楽しいこと、ラクなことをしたい」に従って行動しています。
根本原理は変えられないので、嫌だけど必要だからやるべき、のような行動は成功できません。例えば、ダイエットはその典型です。仕事だって同じです。いくら理由があって「やるべき」であっても、「嫌なものはできない」のです。
だから、「やるべきだ!どうしてやらないんだ!」と説得しても無駄。原理に反した状態で説得しても、お互い嫌な思いをするだけです。嫌なことを言う相手、やるべきことをできない自分自身も嫌になってしまいます。工事代金の支払いは「嫌」なのか「楽しい」のか。支払いは財産が減る痛みを伴う嫌なことです。だから、痛みを軽減するために、値引きをしてもらいたいののは「当然」の結果です。
お客様が、痛みが少ない、つまりより安いほうを買おうとする。これは私たちの行動原理に沿っているのです。
2. 値引きが「満額払いたい!」に変わる?!
根本原理は変わらないのですが、変えることができる部分があります。「嫌」「楽しい」と感じるものを変える、です。例えば、ダイエットなら「痩せれば〇〇さんみたいにカッコよくなってモテる!」という確信です。ダイエットを楽しいと感じるようになれば続くのです。
化粧品や服装もCMのモデルみたいになれる(という思い込み)という期待が、支払いを「楽しい」に変えるのです。同様に仕事も「楽しい」に変えることが可能で、そうなると社員は自主的に仕事をします。これらと同じで、工事の支払いも支払いの痛みを、「楽しい」「ラク」に変えれば値引きの要求はなくなるのです。
3. 具体的なアプローチ
まずは相手を嫌にさせる会話をみてみます。
「10人工と資材費が〇〇かかったので、代金は〇です。」という工事の事後の請求です。この会話を「どこに問題があるの?あたり前の会話でしょう?」と、疑問を感じない人はかなり危ない。もし、独立するとあちこちから値引きを要求される生活が待っています。さて、値引きの理由ですが、相手は下記のように感じています。
「そんな都合知らないよ!もっと合理化できるだろう?値引き!」割高だと感じているのです。
一方、工事発注時に「〇〇の工事ですか?前例から考えると15工数かかりますよ。でも、工事期間を短縮すれば、早く仕上がるし工数も10工数で済みます。それで行きますか?」
工事中に「ご質問の対応もあって期間も工数もちょっと無理っぽいのですが、がんばります!」とコミュニケーションをとっていれば、「最初お約束した10工数」はそのまま了解してもらえます。
相手は「本当はもっと費用がかかったのに努力して費用をおさえて貰った。自分は得した。」と感じています。つまり、支出の基準が引き上げられており、予定どおりの支出は安いと理解しているのです。
前者は両者が不満なLose-Loseで、後者は両者が満足なWin-Win。皆さんはどちらを選びますか?
4. 会話の結果は日常でも再現されている
会話の仕方には各自の根本原理の理解がそのまま表れますので、日常会話でもLose-Loseの会話、Win-Win...