自動化設備対応はロボット、専用機それとも人で対応?

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 自動化設備を導入しようと考えていて、その構成をロボットにするのか、それとも専用機にするのが良いのか、あるいは人で対応したほうが良いのか。この判断をどう考えれば良いのでしょうか。今回は、このテーマの解説です。

◆ 特定用途で作業量が多い場合は専用機、複雑な作業で変更が多い場合は人、その中間がロボット

 人にとって作業しやすい環境を整えるため、危険が伴ったり悪い環境の作業などには専用機やロボットを使います。また専用機やロボットは、決められた作業を決められた時間内で正確に繰り返す能力を持っているので活躍します。したがって、プレス、溶接、塗装の工程では専用機やロボットが多いのです。組立や検査など複雑な判断が必要な作業のほかカンやコツのいる仕事は人が中心に行っていきます。このようにロボット、専用機、人それぞれの長所を生かすことで、高品質の製品を作り上げることができます(図1)。

生産工学

図1. 設備導入における人と専用機とロボットの関係

【専用機とロボットの違い】

  • ロボットは多品種対応で、汎用性が高い。専用機は複雑な機械構成になりやすく段取り替えも多くなってしまう
  • ロボットは新品種対応や他作業転用が容易。専用機は新設計、製作部品が多い
  • ロボットはシステム立ち上げが早い

 しかし、必ずしも自動化にロボットが必要というわけではなく、ロボットは非常に汎用性が高いが、ときにオーバースペックになってしまいます。そのため作業内容がロボット、専用機、人のいずれ向いているかを、よく検討する必要があります(図2)。

1. ロボットに向く作業

生産工学

図2. 設備自動化における人とロボットと専用機の特徴

 ロボットは専用機に比べるとパワーやスピード、精度で劣る場合もありますが、多くは専用機より低価格で導入が可能で、耐久性や信頼性も高く、作業変更への対応も一定程度可能です。さらに、ロボットは加工条件や溶接条件を含むティーチングデータを蓄積することができるので、他のロボットへの2次利用が可能になる点が人手よりも優れています。向いている(費用対効果が高い) 作業の観点からも、ロボットは人と専用機の中間に位置づけられます。ロボットは、ある程度の変更には柔軟に対応し、繰返しや大量の作業にも対応できます。ロボットが得意とする領域を正確に見定めることができれば、大きな成果を上げることが期待できます。

2. 専用機に向く作業

 専用機は、画一的で単純な繰返し作業や大量作業に向いています。作業量が継続的に一定規模以上あり、初期投資回収の見込みが十分である場合は、専用機のほうが費用対効果の高いケースが多いのです。

 また専用機は、特定用途に特化させることでパワー、スピード、精度など高い性能を追求できますが、一般に特注品となるため高額な上、スペースも取るため作業変更への対応が難しいでしょう。そして、専用機は自由度も少ないため、調整に時間を多く費やしてしまいます。

3. 自動化が向かない作業

 人は柔軟さが持ち味なので、複雑な作業や作業変更にも対応できますがランニングコストがかかり、過酷な作業は厳しく、人手不足を背景として新規採用が困難です。一方で、人員削減が必要になった場合も人員調整が容易ではないのです。

 

4. ロボット導入の適応判断と具体的な手段

 それでは、 ロボット導入の適応を判断するための具体的な手段を考えてみましょう。

 ロボットに何をさせるのか。自社におけるロボットの役割を正確に見定めることが重要です。的確な役割を与えて使いこなせば、大きな成果を上げることが期待できます。そのためには、人や専用機とロボットの違いを知る必要があります。もちろん、業種や業態、製品品目の違いによって、ロボットに何をさせるかは異なりますが、ロボットが得意なことを見つけることが重要です。

(1)特定用途で作業量が多い場合は、専用機が向いている。

 ただし、作業量が多くとも、作業の複雑さや変動の度合いによって、段取り替えや調整作業に時間がかかるため、ロボットの活用が専用機以上の費用対効果を生む場合があります。

(2)複雑な作業で、作業変更が多い場合は人手作...

 自動化設備を導入しようと考えていて、その構成をロボットにするのか、それとも専用機にするのが良いのか、あるいは人で対応したほうが良いのか。この判断をどう考えれば良いのでしょうか。今回は、このテーマの解説です。

◆ 特定用途で作業量が多い場合は専用機、複雑な作業で変更が多い場合は人、その中間がロボット

 人にとって作業しやすい環境を整えるため、危険が伴ったり悪い環境の作業などには専用機やロボットを使います。また専用機やロボットは、決められた作業を決められた時間内で正確に繰り返す能力を持っているので活躍します。したがって、プレス、溶接、塗装の工程では専用機やロボットが多いのです。組立や検査など複雑な判断が必要な作業のほかカンやコツのいる仕事は人が中心に行っていきます。このようにロボット、専用機、人それぞれの長所を生かすことで、高品質の製品を作り上げることができます(図1)。

生産工学

図1. 設備導入における人と専用機とロボットの関係

【専用機とロボットの違い】

  • ロボットは多品種対応で、汎用性が高い。専用機は複雑な機械構成になりやすく段取り替えも多くなってしまう
  • ロボットは新品種対応や他作業転用が容易。専用機は新設計、製作部品が多い
  • ロボットはシステム立ち上げが早い

 しかし、必ずしも自動化にロボットが必要というわけではなく、ロボットは非常に汎用性が高いが、ときにオーバースペックになってしまいます。そのため作業内容がロボット、専用機、人のいずれ向いているかを、よく検討する必要があります(図2)。

1. ロボットに向く作業

生産工学

図2. 設備自動化における人とロボットと専用機の特徴

 ロボットは専用機に比べるとパワーやスピード、精度で劣る場合もありますが、多くは専用機より低価格で導入が可能で、耐久性や信頼性も高く、作業変更への対応も一定程度可能です。さらに、ロボットは加工条件や溶接条件を含むティーチングデータを蓄積することができるので、他のロボットへの2次利用が可能になる点が人手よりも優れています。向いている(費用対効果が高い) 作業の観点からも、ロボットは人と専用機の中間に位置づけられます。ロボットは、ある程度の変更には柔軟に対応し、繰返しや大量の作業にも対応できます。ロボットが得意とする領域を正確に見定めることができれば、大きな成果を上げることが期待できます。

2. 専用機に向く作業

 専用機は、画一的で単純な繰返し作業や大量作業に向いています。作業量が継続的に一定規模以上あり、初期投資回収の見込みが十分である場合は、専用機のほうが費用対効果の高いケースが多いのです。

 また専用機は、特定用途に特化させることでパワー、スピード、精度など高い性能を追求できますが、一般に特注品となるため高額な上、スペースも取るため作業変更への対応が難しいでしょう。そして、専用機は自由度も少ないため、調整に時間を多く費やしてしまいます。

3. 自動化が向かない作業

 人は柔軟さが持ち味なので、複雑な作業や作業変更にも対応できますがランニングコストがかかり、過酷な作業は厳しく、人手不足を背景として新規採用が困難です。一方で、人員削減が必要になった場合も人員調整が容易ではないのです。

 

4. ロボット導入の適応判断と具体的な手段

 それでは、 ロボット導入の適応を判断するための具体的な手段を考えてみましょう。

 ロボットに何をさせるのか。自社におけるロボットの役割を正確に見定めることが重要です。的確な役割を与えて使いこなせば、大きな成果を上げることが期待できます。そのためには、人や専用機とロボットの違いを知る必要があります。もちろん、業種や業態、製品品目の違いによって、ロボットに何をさせるかは異なりますが、ロボットが得意なことを見つけることが重要です。

(1)特定用途で作業量が多い場合は、専用機が向いている。

 ただし、作業量が多くとも、作業の複雑さや変動の度合いによって、段取り替えや調整作業に時間がかかるため、ロボットの活用が専用機以上の費用対効果を生む場合があります。

(2)複雑な作業で、作業変更が多い場合は人手作業が向いている。

 品種が毎回変わるような組立工程、柔軟物を含む高度な組立工程などは、ロボット化による費用対効果が十分に得られない場合が多いのです。しかし、たとえ作業が複雑であっても、ロボット技術をうまく導入することで、自動化あるいは作業の簡易化(省力化・省スキル化)が実現できる場合があります。例えば、作業内容があまり頻繁に変わる時は、人の作業習熟が追いつかず、ロボット化のメリットが出てくる事があります。

 このように、自社の事情に合わせて大きな成果を上げるためには、十分な検討が必要です。ロボットは、据え付ければすぐに使えるという機械ではないので、ロボット導入の効果を高めるためには、ロボットメーカーやロボット導入を支援する専門事業者(ロボットシステムインテグレーター)に、自社のニーズを正確に理解してもらうことが有効です。

 この記事は、『工場管理』2019年12月号に掲載の内容を筆者が改編したものです。

 

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この記事の著者

竹内 利一

自動化設備の生産性向上は、おまかせ下さい!  自動化設備のことならどんなことでも、あなたと一緒に考えます。

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